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「朝なら大丈夫だと思ってたの」毎朝6時のピアノで眠れなかった私。寝不足の私がお隣のお母さんに伝えると返ってきた事情

  • 2026.9.27

朝6時に始まる練習曲

私は20代で、駅に近いアパートの二階に一人で住んでいる。

仕事は朝が早く、家を出るのは7時過ぎだ。

寝室の窓のすぐ向こうには、隣の一戸建ての白い壁が見える。

春になったころから、毎朝決まった時間にピアノの音が聞こえるようになった。

同じ練習曲の同じところを、何度も繰り返している。

時計を見ると、いつも朝6時だった。

まだ眠っていたい時間なのに、音で目が覚めてしまう。

布団をかぶっても、窓を閉めていても、低い音まで響いてきた。

そんな日が続き、職場でもあくびをこらえることが増えた。

ある日、同じ部署の先輩に声をかけられた。

「最近、ちょっと疲れてない?ちゃんと寝てる?」

「それが、お隣のピアノで朝起きちゃって……」

「何時ごろ?」

「毎朝6時からです。だいたい30分くらい続くんです」

先輩は少し驚いた顔をした。

「それなら、一度伝えてもいいんじゃない?困ってるって普通に話せば大丈夫だと思うよ」

そう言われても、ご近所だと思うとなかなか言い出せなかった。顔を合わせれば会釈をする相手だけに、気まずくなるのが怖かったのだ。

門の前で返ってきた一言

ある朝、寝不足のまま階段を下りると、隣の家の前でお母さんがほうきを動かしていた。40代くらいで、いつも穏やかにあいさつをしてくれる人だ。

私は少し迷ってから、足を止めた。

「おはようございます。あの……朝のピアノなんですけど、うちの部屋までかなり聞こえていて。6時だと、まだ寝ている時間で……」

お母さんの手が止まった。私のアパートの窓を見上げ、それから自分の家の二階へ目を向けた。

「そうだったの…。娘が学校へ行く前しか練習できなくて。朝なら大丈夫だと思ってたの。ごめんなさいね」

そう言って、お母さんは深く頭を下げた。

ちょうど向かいの家から出てきたおじいさんが、私たちのほうを見て小さくうなずき、そのまま歩いていった。

それから数日後の土曜日、部屋のチャイムが鳴った。ドアを開けると、お母さんが小さな菓子折りを手に立っていた。

「ピアノ、朝はヘッドホンで練習できるようにしました」

「そこまでしていただいて、ありがとうございます」

「ううん。言ってもらえてよかった。気づかないままだったら、ずっと迷惑をかけてたもの」

それ以降、朝6時にピアノの音で目を覚ますことはなくなった。目覚ましが鳴るまで眠れるようになり、職場の先輩からも「最近、元気そうだね」と笑われた。

数か月たった日曜の午後、窓の外からピアノの曲が聞こえてきた。

あのころ何度も途中で止まっていた練習曲だった。けれど今度は、一度もつかえることなく最後まで続いた。

私は窓を開け、しばらくその曲に耳を傾けた。

弾き終わると、隣の家から小さな拍手と、お母さんの明るい笑い声が聞こえてきた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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