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「落としちゃったんだけど、まあ、借りてたやつだから」貸出携帯を壊した客。だが、貸し出し時に交わしていた同意書

  • 2026.9.27

画面にひびが入った貸出携帯

ショッピングモールの中にある携帯電話ショップで働いていた頃の話です。土曜の午後、修理で端末を預かっていた男性が、貸し出していた代わりの携帯電話を返しに来ました。

受け取って確認すると、画面の角から斜めにひびが入り、電源を押しても何も映りません。背面の縁にも細かな傷が残っていました。

「落としちゃったんだけど、まあ、借りてたやつだから」

男性はそう言いました。

「確認しますね。貸出中の端末を破損された場合は、費用をご負担いただくことになっています」

そう伝えると、男性の表情が変わりました。カウンターに両手をつき、少し身を乗り出します。

「いや、ケースも付けずに貸すほうが悪いだろう」

「貸し出しの際に、破損した場合についてもご案内しているのですが」

「だからさ、ケースも付けずに貸すほうが悪いって言ってるんだよ」

男性はさらに、「そもそも、買ったばかりで壊れる携帯を売るな」と不満を口にしました。

記録を確認すると、その端末を購入したのは別の店舗でしたが、男性は同じ主張を繰り返していました。

貸し出した日に交わしていた一枚

僕は言い返さず、カウンターの引き出しから貸し出し時の同意書を取り出しました。

注意事項には、落下などで端末を破損した場合の費用について記載があり、その下には男性本人のサインがあります。

「こちら、貸し出しのときにご説明して、サインをいただいています」

男性は書類に目を落としましたが、すぐに顔を上げました。

「そんなの、いちいち全部読んでないよ」

声がまた大きくなったところで、バックヤードから店長が出てきました。

「どうした?」

僕が事情を短く説明すると、店長は同意書を確認し、男性の前に置きました。

「こちらの内容に沿って、ご案内させていただきます」

「でも、ケースが付いてなかっただろ」

「その点も含めて、貸し出し時にこちらの内容でご了承いただいています」

店長が落ち着いた声で伝えると、男性の視線が自分のサインに止まりました。

何か言おうと口を開いたものの、しばらくすると黙って財布を取り出しました。

費用の手続きをしている間、男性はほとんど顔を上げませんでした。控えを受け取ると、小さく会釈をして通路へ出ていきました。

「こういうときのためにも、記録は残しておかないとな」

店長はそう言って、同意書を戻しました。

僕はひびの入った貸出携帯を所定の箱に入れ、次のお客さまを呼びました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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