1. トップ
  2. エピソード
  3. 友達に断られたその日、俺が彼女に送ってしまった言葉と送れなかった本音

友達に断られたその日、俺が彼女に送ってしまった言葉と送れなかった本音

  • 2026.9.26
ハウコレ

謝りの文章を2度打って、2度消しました。彼女に送れたのは、呼ぶ相手のいない部屋の掃除を終えたあとの、いちばん短い1文です。断られたことを知られるより、彼女に「俺を選べ」と言うほうを選んでしまいました。

冷蔵庫には、2人で飲むつもりだった缶が並んでいました。そのうちの1本を取り出そうとして、俺はスマホを先に手に取りました。画面には、友達から届いた短い断りのメッセージが残っていました。

2人分を用意した部屋に残ったのは俺だけ

彼女と付き合って1年になります。その週末、彼女が友人の引っ越しを手伝うことは、先週のうちに聞いていました。

俺は「了解」とだけ返しました。

その日は自分も地元の友達を家に呼ぶ予定があったからです。前日に飲み物とつまみを買い、散らかっていた部屋も片づけました。

ところが朝になって、友達から急に行けなくなったと連絡が来ました。

理由は書いてありました。仕方がない内容でした。

それでも、冷蔵庫に並んだ2本の缶と、いつもより片づいた部屋を見ていると、急に予定だけがなくなったことが嫌になりました。

彼女のチャットを開きました。

「今日、やっぱり無理?」

送ってから、彼女には先約があるとわかっていることを思い出しました。

そのまま、

「友達より俺のほうが大事だろ」

と続けました。

「会いたい」と送れなかった理由

送信した直後、自分でも嫌な言い方だと思いました。

俺が言いたかったのは、

「予定なくなった。今日会えない?」

それだけだったはずです。

でも、その言い方なら彼女から「今日は無理」と断られるかもしれません。

朝から友達に断られたあとで、彼女にも断られるのが嫌でした。

だからお願いする代わりに、彼女に順位を決めさせました。

俺を大事に思っているなら予定を変えるはずだ、という言い方にすれば、断るほうが悪いようにできると思ったのかもしれません。

彼女から返ってきました。

「引っ越しの手伝い、先週から言ってたよね」

そのとおりでした。

俺はスマホを置きました。

打っては消した2つの文章

昼を過ぎても、彼女から予定を変えるという連絡は来ませんでした。

俺は謝ろうと思い、チャットを開きました。

1度目は、

「ごめん、友達に断られて」

まで打ちました。

消しました。

2人で飲むつもりで缶まで買っていたことや、掃除までして待っていたことを知られるのが、妙に恥ずかしかったからです。

2度目は、

「急にひとりになって、会いたくなった」

まで打ちました。

それも消しました。

最初からそう送ればよかった言葉なのに、一度「俺のほうが大事だろ」と言ったあとでは、急に弱いことを言うようで送れませんでした。

彼女から、

「終わったら連絡する」

と届きました。

俺は既読だけつけました。

彼女の予定を変えさせずに、自分で別の過ごし方を探せばいい。そう思っても、誰かに連絡する気にはなれませんでした。

冷蔵庫の缶を奥へ押し込み、朝にも掃除した床をもう一度拭きました。

ようやく送れた、いちばん短い1文

夕方になっても、部屋には俺しかいませんでした。

テーブルを元の位置に戻してから、もう一度スマホを開きました。

送れたのは、

「ごめん、今のは忘れて」

だけでした。

本当は、忘れてほしかったのは、友達に断られて暇になった俺のほうだったのかもしれません。

しばらくして、彼女から返事が来ました。

「忘れないよ。でも、ちゃんと話は聞く」

何度か読み返しました。

忘れてもらえないなら、何があったのか話すしかありません。

それでも、その日のうちに友達に断られたことを書くことはできませんでした。

そして...

翌日、俺は文章を打ちました。

「昨日は、急にひとりになったのが嫌であんな言い方した。会いたいって言えばよかったのに、友達と俺を比べさせるようなこと言ってごめん」

友達に断られたことまでは書きませんでした。

彼女からは、

「次からは、会いたいならそう言って」

と返ってきました。

「わかった」

と送りました。

それからしばらくして、あの日は友達から断りの連絡が来ていたことを彼女に話しました。2人分の缶を買っていたことまでは言いませんでした。

今でも、彼女から「その日は予定ある」と返ってくると、残念には思います。

「誰と行くの」と聞きたくなることもあります。

でも、「俺よりそっち?」と打ちそうになったときは、一度スマホを閉じるようになりました。

冷蔵庫の奥へ押し込んだ缶は、次にその友達が遊びに来た日に2人で開けました。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ