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「アイスコーヒーの氷が多すぎる、金返せ」と怒鳴った男性。だが、店長が静かに示したレシピ表

  • 2026.9.25

土日の昼、7人ほどが並ぶレジで

大学生のころ、僕は駅前のカフェでアルバイトをしていた。土日の昼はいつも混んでいて、その日もレジの前には7人ほどの列ができていた。僕はひとりでレジに立ち、次々と注文を受けていた。

次のお客さまを呼ぼうとしたとき、さっきアイスコーヒーを買った五十代くらいの男性が、再びレジの前へやってきた。手には、僕が渡したカップを持っている。

「遅いんだよ」

いきなりそう言われ、僕は頭を下げた。

「お待たせして、申し訳ありません」

「謝ればいいってもんじゃないだろ。教育がなってないんだよ」

男性はカップをカウンターに置き、透明なふたを指でたたいた。中に入っている氷は、いつもレシピどおりに入れている量だった。

「アイスコーヒーの氷が多すぎる。金返せ」

「申し訳ありません。こちらは決められた量で」

最後まで言う前に、男性がかぶせるように繰り返した。

「アイスコーヒーの氷が多すぎる。金返せ」

同じ言葉が2度、混み合う店内に響いた。

後ろで待っている人たちの視線がこちらへ集まり、僕はどう対応すればいいのか分からなくなった。

店長がカウンターに置いた一枚

「でしたら、氷を少なめにして作り直します」

なんとかそう答えたものの、男性はすぐに手を振った。

「作り直しなんていらない」

そのとき、奥のキッチンから店長が出てきた。四十代の穏やかな人で、手には厨房の壁に貼ってあるものと同じ、ラミネートされたレシピ表を持っていた。

「話はうかがいました」

店長は男性の前にレシピ表を置いた。

「アイスコーヒーはこちらの分量でお作りしています」

そう言って、氷とコーヒーの量が書かれた部分を順に示した。男性は黙ったまま、しばらく紙を見ていた。

「氷少なめでしたら、お代はそのままでお作り直しできます」

「いや、だから…」

男性は何か言いかけたが、店長は声を荒らげることなく、もう一度説明した。

「今お渡ししたものは、このレシピどおりです。氷少なめをご希望でしたら、すぐにお作りします」

男性はそれ以上言い返さず、紙から目をそらした。列の中ほどにいた年配の女性が、連れの人と顔を見合わせているのが見えた。

店長が氷少なめのアイスコーヒーを作って差し出すと、男性は黙って受け取り、そのまま窓際の席へ歩いていった。

店長はレシピ表を手に取り、僕にだけ聞こえる声で言った。

「レシピどおりだったよ。大丈夫。次の方、お願いね」

「はい。お待たせしました。ご注文をお伺いします」

次のお客さまがメニューを指さし、止まっていた列がようやく動き始めた。店長が感情的にならず、決められた分量をきちんと示して対応する姿を見て、僕も少し落ち着きを取り戻した。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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