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「うっせーな、早く泣きやませろよ」赤ちゃんの泣き声に何度も謝る母親。しかし、満員のバスで運転手が流したアナウンス

  • 2026.9.25
「うっせーな、早く泣きやませろよ」赤ちゃんの泣き声に何度も謝る母親。しかし、満員のバスで運転手が流したアナウンス

バス乗り場でたたんだベビーカー

去年の秋の夕方、私は仕事帰りにバス乗り場の列に並んでいた。すぐ前には赤ちゃんを抱っこした若いお母さんがいて、到着時刻が近づくと、片手でベビーカーをたたみはじめた。

赤ちゃんを落とさないよう体を傾けながら、金具と格闘している。見ていられなくなって、私は声をかけた。

「よかったら、ベビーカー運びますよ」

「すみません、助かります」

バスが着くと、私はたたんだベビーカーを抱えて乗りこみ、邪魔にならない場所に置いた。

座席はすべて埋まっていて、お母さんはつり革につかまって立った。私はその少し後ろに立った。

走りだしてしばらくすると、赤ちゃんがふにゃふにゃと声を上げはじめた。

お母さんは体を小さく揺らしながら、耳元で何かささやいている。そのとき、隣に立っていた男性が深いため息をついた。

「うっせー、早く泣きやませろよ」

小さな声だったが、すぐそばの私にははっきり聞こえた。男性は少し間を置いて、同じ言葉をもう一度口にした。

「すみません、すみません」

お母さんは肩をすぼめ、赤ちゃんの頭を胸に寄せるようにして謝った。それでも男性のつぶやきは止まらなかった。

「迷惑だから降りろよ」

私は何か言うべきか迷いながら、つり革を握る手に力を入れることしかできなかった。

車内に流れた運転手さんの声

次のバス停で乗り降りが終わったあと、バスはすぐには動かなかった。

車内のスピーカーから、運転手さんの落ち着いた声が流れた。

「赤ちゃんも、大切なお客さまです。お近くの方、よろしければお席のご協力をお願いいたします」

車内が一瞬静かになった。すると前の席に座っていた高校生くらいの女の子が、かばんを抱えてすっと立ち上がった。

「どうぞ、座ってください」

「ありがとうございます。本当に助かります」

お母さんは何度も頭を下げて座り、赤ちゃんを膝の上であやしはじめた。隣の男性は口を閉じたまま窓の外を見ていて、次のバス停に着くと、黙って降りていった。

揺れる車内で赤ちゃんの声はだんだん小さくなり、やがてお母さんの腕の中で眠ってしまった。女の子が振り返ってその寝顔をのぞき、小さく笑った。

お母さんが降りるとき、私はベビーカーを出口まで運んで手渡した。お母さんは眠った赤ちゃんを抱いたまま、私に頭を下げた。

「ベビーカー、ありがとうございました」

その夜、夕飯の席で夫にこの話をした。

「それはお母さん、つらかっただろうな」

「うん。でもあの放送ひとつで、車内の空気が変わったのよ」


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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