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「誰にも言わないでほしいんですけど」の相談を、僕は飲みの席の話題にしていた

  • 2026.9.24
ハウコレ

メッセージが3通、届きました。話したのは自分だと、誰にも分からないはずでした。僕がそう決めていた半年間の話です。

会議室から戻る途中でスマホが震え、画面には同じ部署の同僚の名前と、いつもと違う書き出しが並んでいました。

「もちろん」と打った指

同僚とは入社時期も近かったものの、業務の連絡以外で個別にメッセージが来ることはほとんどありませんでした。

「相談したいことあるんですけどいいですか?」

僕が「いいよ」と返すと、すぐ次が届きました。

「誰にも言わないでほしいんですけど」

「実は、営業部の人と付き合ってるんです」

自分が相談相手に選ばれたことが、少し誇らしかったのを覚えています。僕は迷わず打ちました。

「もちろん。誰にも言わない」

それから社内恋愛はどうしたら良いのかなど相談に乗り、そのままその話題は終わりました。

話題としてちょうどよかった

数週間後、先輩と2人で飲む機会がありました。僕は人と話すのが苦手で、いつも話題に困ってしまいます。沈黙が長くなったところで、頭に浮かんだのが同僚のチャットでした。

「あの人、営業部の人と付き合ってるらしいですよ」

言った瞬間、先輩の目が変わりました。「誰から聞いたの」と聞かれ、僕は「本人から」と答えました。それだけで、その席は大盛り上がりしました。僕は相手が誰なのかは知らないと繰り返しながら、会話が途切れない安心感の方を選んでいました。

店を出た後、僕は同僚とのチャットを開きました。「もちろん。誰にも言いません」の吹き出しが、送った時のまま残っています。先輩は口が軽いけれど、誰から聞いたかまでは広めない人だ。自分が話したことは、悟られないはずだ。そう決めて、画面を閉じました。

半年後に届いたメッセージ

半年が過ぎて、同僚とはそれまでと変わらず業務の連絡を続けていました。営業部の話が職場で出ることもなく、僕はあの飲みの席のことを思い出さなくなっていました。

先輩から個別のメッセージが届いたのは、退勤の電車の中でした。

「あの営業部の話、嘘だったんだって。誰が信用できるか試してたって本人が言ってたよ」

僕はそれを何度も読みました。同僚が何人かに別々の話を送っていたことも、先輩は書いていました。

先輩がその場でどんな顔をしていたのか、同僚が僕のことをどう思ったのか、画面からは何も分かりません。でも、相談事をばらしてしまったことに気づかれてしまいました。僕は既読だけを残しました。

そして...

同僚から、営業部の話が嘘だったと直接伝えられたことはありません。業務の連絡は今も届き、僕もこれまでと同じように返しています。同僚に、謝罪の言葉を自分の口から言うつもりです。そのために、半年前のチャットをもう一度上まで戻って、僕が打った「もちろん。誰にも言わない」を読み直しています。

(20代男性・事務職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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