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ノロウイルスのNG5つ 食中毒は12月に10月の約7倍

  • 2026.9.24

ノロウイルスの食中毒は、厚生労働省の10年分の月別データを合計すると11月から増え、12月は10月の約7倍。家庭で家族が吐いたときにやりがちな、アルコールだけの消毒、目分量の漂白剤、治ってすぐの料理などのNG5つと、製品の濃度別の消毒液の薄め方をまとめました。

朝晩が冷えてくると気になり始めるのが、ノロウイルスです。家族が夜中に突然吐いてしまい、慌てて片付けた……という経験がある人もいるのではないでしょうか。
この記事でわかることは次のとおりです。
・ノロウイルスの食中毒は何月から増えるのか(厚生労働省の10年分の月別の数字を合計して計算)
・家族が吐いたとき、片付けや消毒でやりがちなNG5つと代わりにできること
・漂白剤の濃度ごとの、消毒液の薄め方の早見
・治った後も気をつけたいこと
根拠にしたのは、厚生労働省・農林水産省と自治体の公表資料です。

ノロウイルスの食中毒は11月から増え 10年合計で12月は10月の約7倍

厚生労働省は、ノロウイルスの食中毒について「11月くらいから発生件数は増加しはじめ、12~翌年1月が発生のピークになる傾向があります」としています。農林水産省も、冬(12月から3月)はノロウイルスなどのウイルス性の食中毒が見られるとしています。
では、実際にはどのくらい増えるのでしょうか。厚生労働省が公表している平成28年から令和7年までの10年分の月別の事件数(計2,171件)を、weboo編集部で月ごとに合計しました。
・10月:40件
・11月:105件(10月の2.6倍)
・12月:292件(10月の7.3倍)
さらに、11月から3月までの5か月で1,662件。10年間の件数の76.6%が、この5か月に集まっていました。10年の合計でいちばん多いのは2月(470件)、いちばん少ないのは8月(24件)です。

出典 www.mhlw.go.jp

年ごとに見ると、いちばん多い月は年によって違い、12月が2回、1月が3回、2月が2回、3月が3回。10年すべてで、いちばん多い月は12月から3月のどこかでした。また、12月の件数が10月より多かったのも10年すべてです。
直近の令和7年は462件で、この10年でいちばん多い年でした。食中毒全体の1,172件のうち39.4%、患者数では24,727人のうち18,566人(75.1%)がノロウイルスでした。食中毒で具合が悪くなった人の、およそ4人に3人にあたります。

出典 www.mhlw.go.jp

数字を見るときの注意
・これは食中毒として集計された事件の数です。家族の間で人から人へうつった胃腸炎(感染症)は、この件数には入っていません
・厚生労働省は、ノロウイルスによる急性胃腸炎(感染症)も、毎年11月頃から2月の間に乳幼児や高齢者の間で流行するとしています
・月ごとの合計・倍率・割合は、weboo編集部が厚生労働省の月別の数字から計算した値で、増える理由を示すものではありません
10月のうちに、家族が吐いたときの片付け方と消毒液の作り方を確認しておくと安心です。

ノロウイルスはどうやってうつる? 家庭で知っておきたいこと

厚生労働省によると、ノロウイルスの感染経路はほとんどが口から入る経口感染で、次のような経路があると考えられています。
・感染した人の便や吐いたものから、人の手などを介してうつる
・家庭など人同士が接する機会が多いところで、人から人へ飛沫などでうつる
・感染した人が調理した食品を食べる(調理する人には、家庭で調理を行う人も含まれます)
・汚染された二枚貝を、生や加熱不十分なまま食べる
感染してから症状が出るまでは24〜48時間ほど。主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、熱は軽度です。通常は1〜2日続いた後に治りますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐いたものを誤って気道に詰まらせたりすることがあるとされています。
便や吐いたものには大量のウイルスが含まれています。家族のひとりが吐いたとき、その片付け方しだいで、家の中に広げてしまうおそれがあります。

NG1|吐いたものを、あとで片付けようとそのままにする

夜中に吐いてしまったとき、看病を優先して、床の片付けは朝に回したくなるかもしれません。でも厚生労働省は、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるとしています。
また、12日以上前に汚染されたカーペットを通じて感染が起きた事例も知られていて、時間がたっても、吐いたものや汚れた床にはウイルスが残っている可能性があるとされています。

代わりに:すぐに片付けて、乾かさない。窓を開けて換気する。
吐いたものは乾かないうちに、床などに残らないよう速やかに片付けます。片付けた後は、ウイルスが屋外に出ていくよう空気の流れに注意しながら、十分に換気しましょう。

NG2|アルコールスプレーで拭いて、消毒したつもりになる

手元にあるアルコールスプレーで、とりあえず床やドアノブを拭いておく。つい、やりがちです。
厚生労働省は、一般的な感染症対策として消毒用エタノールなどが用いられることはあるものの、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水、加熱による処理があるとしています。次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用の塩素系漂白剤でも代用できます。

代わりに:塩素系漂白剤を薄めた液で消毒。手は石けんと流水で洗う。
手についても同じで、厚生労働省は消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはならないとしています。すぐに手洗いができないときの補助として使いましょう。
手洗いは、手指についたノロウイルスを減らす最も有効な方法とされています。片付けの後(手袋をしていても)、トイレの後、調理や食事の前には、石けんをよく泡立てて洗い、流水で十分にすすぎます。

NG3|素手でティッシュを使い、ゴシゴシこすって拭く

慌てていると、近くのティッシュで素手のままゴシゴシ拭いてしまいがちです。こすると汚れが広がり、ウイルスが手につくおそれもあります。

代わりに:使い捨て手袋・マスク・エプロンをつけ、外側から静かに拭く。
厚生労働省と自治体の資料をもとにした、片付けの流れは次のとおりです。
・片付ける人は、使い捨ての手袋・マスク・エプロンをつける
・ペーパータオルなどで、飛び散らないよう外側から内側へ、拭き取る面を折り込みながら静かに拭き取る
・拭き取ったペーパータオルや手袋はビニール袋に入れ、口をしっかり閉じて捨てる
・拭き取った後の床を、薄めた塩素系漂白剤で浸すように拭き、しばらくしてから水拭きする
・片付けが終わったら、石けんと流水で手を洗い、換気する
大阪府の資料では、汚物が残った状態では消毒液の効果が下がるため、先に汚物をきれいに取り除くことが大切だとしています。なお、汚れた服やシーツは、汚物を取り除いてから洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、85℃・1分以上の熱水洗濯か、薄めた塩素系漂白剤で消毒します(ほかの衣類とは分けて洗います)。塩素系漂白剤には漂白作用があるので、色柄物は色が抜けるおそれがあります。布団などすぐに洗濯できないものは、汚物を取り除いたうえでよく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的とされています。

NG4|漂白剤を原液のまま、または目分量で使う

「濃いほうが効きそう」と原液をそのままかけたり、目分量で薄めたりしていませんか。佐世保市は、酸性の吐いたものに原液をかけると有毒ガスが発生する場合があるとして、使用上の注意を確認するよう呼びかけています。中野区も、消毒の際に塩素ガスが発生する可能性があるので、使うときは十分に換気するよう案内しています。
もうひとつ見落としやすいのが、漂白剤の濃度は製品によって違うことです。神奈川県は台所用などで市販されているものは5〜6%程度がほとんどとしていますが、中野区は1〜12%など製品によって濃度が異なるとしています。

どの濃度に薄める?
厚生労働省のQ&Aでは、吐いたものを拭き取った後の床は塩素濃度約200ppm(0.02%)で浸すように拭き、拭き取りに使ったペーパータオルなどを捨てる袋には約1,000ppm(0.1%)を入れることが望ましいとしています。一方、中野区・神奈川県・大阪府などの自治体は、吐いたものや便の処理には0.1%、調理器具やトイレ、ドアノブなどには0.02%を案内しています。床に使う濃度は資料によって違うため、住んでいる自治体や保健所の案内と、製品の「使用上の注意」に合わせましょう。
必要な原液の量は「目標の濃度 × 作る量 ÷ 製品の濃度」で計算できます。製品の濃度ごとに、weboo編集部で計算しました(水を足して全体をその量にする場合)。
・1%の製品:0.02%なら500mLに10mL・2Lに40mL/0.1%なら500mLに50mL・2Lに200mL
・5%の製品:0.02%なら500mLに2mL・2Lに8mL/0.1%なら500mLに10mL・2Lに40mL
・6%の製品:0.02%なら500mLに約1.7mL・2Lに約6.7mL/0.1%なら500mLに約8.3mL・2Lに約33.3mL
・12%の製品:0.02%なら500mLに約0.8mL・2Lに約3.3mL/0.1%なら500mLに約4.2mL・2Lに約16.7mL

「キャップ2杯」はどのキャップ?
中野区の案内の「キャップ2杯」は1杯5mL(計10mL)、神奈川県の案内は「ペットボトルのキャップ2杯」です。一方、大阪府の資料は漂白剤のキャップ1杯を約25ccとして説明しています。
5%の製品で0.1%を作るつもりで、漂白剤のキャップ2杯(約50mL)を入れて全体を500mLにすると、濃度は約0.5%(0.1%の5倍)になります。反対に、1%の製品をペットボトルのキャップ2杯(10mL)で500mLにすると0.02%で、0.1%には足りません。濃ければ安心というものではなく、目的に合った濃度にすることが大切です。
代わりに:製品の濃度とキャップの大きさを確かめ、使う直前に薄める。
・製品の濃度(表示や使用上の注意)と、量るキャップの大きさを確かめる
・作り置きはせず、使う直前に薄める(時間がたつと効果が下がる)
・ペットボトルで作ったときは「消毒液・飲めません」と書いておく(誤って飲まないように)
・手指の消毒には使わない。金属に使ったときは、しばらくしてから水拭きする

NG5|吐き気がおさまったら、すぐ家族の料理を作る

吐き気や下痢がおさまると、いつもどおり家族の食事を作りたくなるものです。でも厚生労働省は、ノロウイルスは症状がなくなっても、通常では1週間程度、長いときには1か月程度、ウイルスの排泄が続くことがあるとしています。
感染していても症状が出ない人がいることも知られていて、ノロウイルスの食中毒では、感染した人を介して食品が汚染されたケースが多いとされています。

代わりに:症状が消えても、しばらくは調理を控え、手洗いを徹底する。
症状がおさまった後も、しばらくの間は、できればほかの家族に調理を代わってもらうと安心です。調理するときは、トイレの後と調理の前に石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。家族に症状がある間は、トイレやお風呂を清潔に保ち、ドアノブなど手がよく触れるところも薄めた塩素系漂白剤で拭いておきます。

出典 www.mhlw.go.jp

よくある質問

牡蠣などの二枚貝は加熱すれば食べても大丈夫?

厚生労働省は、ノロウイルスに汚染された二枚貝による食中毒は生や加熱不足のもので発生しているとし、十分に加熱すれば食べても問題ないとしています。汚染のおそれのある二枚貝などは、中心部が85〜90℃で90秒以上の加熱が望まれるとしています。

ノロウイルスの食中毒が一番多いのは何月?

厚生労働省は、12〜翌年1月が発生のピークになる傾向があるとしています。平成28年から令和7年の10年分を合計すると、いちばん多いのは2月の470件でした(令和7年を除いた9年分でも2月326件・1月324件で、1月と2月はほぼ同じです)。年ごとのいちばん多い月は、10年すべて12月から3月のどこかです。

家族が吐いたとき、どこに相談すればいい?

厚生労働省は、感染が疑われる場合は最寄りの保健所やかかりつけの医師に相談するよう案内しています。子どもやお年寄りは重症化することがあるとされています。いつもと様子が違うときは、早めに相談しましょう。

まとめ ノロウイルスは11月から増える 10月のうちに準備を

ノロウイルスでやりがちなNGと、代わりにできることをおさらいします。
・吐いたものを、あとで片付けようとそのままにする → すぐに片付けて、乾かさない。窓を開けて換気する
・アルコールスプレーで拭いて、消毒したつもりになる → 塩素系漂白剤を薄めた液で消毒。手は石けんと流水で洗う
・素手でティッシュを使い、ゴシゴシこすって拭く → 使い捨て手袋・マスク・エプロンをつけ、外側から静かに拭く
・漂白剤を原液のまま、または目分量で使う → 製品の濃度とキャップの大きさを確かめ、使う直前に薄める
・吐き気がおさまったら、すぐ家族の料理を作る → 症状が消えても、しばらくは調理を控え、手洗いを徹底する
厚生労働省の10年分の月別の数字を合計すると、ノロウイルスの食中毒は11月に10月の2.6倍、12月に7.3倍に増えていました。
すぐ片付けて乾かさない、消毒は薄めた塩素系漂白剤、手袋とマスクで静かに拭く、濃度とキャップを確かめる、治っても手洗いを続ける。使い捨て手袋やマスク、ペーパータオル、ビニール袋は、流行の時期に入る前にひとまとめにしておくと、いざというときに慌てずにすみます。

※本記事はノロウイルスの予防と家庭での片付けに関する一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の助言や個別の診断に代わるものではありません。
症状が重いとき、子どもや高齢の方の具合が心配なときは、かかりつけの医師や保健所にご相談ください。塩素系漂白剤は、製品の「使用上の注意」を必ず確認してから使ってください。
※件数は厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」に掲載の食中毒の事件数によります(令和8年6月30日更新の値)。月ごとの合計、10月に対する倍率、11〜3月の割合、消毒液の原液の量と濃度は、weboo編集部がこれらの数字から計算した値です。記事の情報は2026年9月23日時点のものです。

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