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「もっと気持ちを込めろよ」謝っても許してくれない電話口の客。だが、上司が落ち着いて対応した結果

  • 2026.9.24

思わず口にした、否定の一言

会社のお客様窓口で、電話のクレーム対応を担当している。その日の午後、年配らしい男性から電話がかかってきた。

男性は名乗るより先に、商品の不具合について話し始めた。

「説明書どおりに使ってるのに、すぐ調子が悪くなるんだよ。これ、どうなってるの?」

私はメモを取りながら話を聞いていた。しかし、三つ目の指摘を聞いたところで、私の知っている商品の仕様とは違うように思えた。

本当なら、最後まで聞いてから確認するべきだった。それなのに、思わず口を挟んでしまった。

「いえ、それは違います」

言った瞬間、「しまった」と思った。

電話の向こうが一瞬静かになったあと、男性の声が大きくなった。

「……は?今、違うって言った?」

「申し訳ございません。お話の途中で」

「こっちがまだ話してるだろ。途中で否定するって、どういうことなんだよ」

男性が腹を立てるのも無理はなかった。私は姿勢を正し、受話器を握り直した。

「申し訳ございませんでした。お話の途中で否定するような言い方をしてしまいました」

すると男性は、少し間を置いて言った。

「…もっと気持ちを込めろよ」

私はもう一度謝った。

それでも、返ってきたのは同じ言葉だった。

「いや、そうじゃないんだよ。もっとちゃんと謝ってくれ」

言い方を変えても、声の調子を落としても状況は変わらない。

何度目かの謝罪をしたあと、ふと壁の時計を見ると、最初に謝ってから10分ほどが過ぎていた。

上司が電話を代わって確認したこと

そのとき、隣の席でやり取りを聞いていた女性の上司が、私の机に小さなメモをすべらせた。

「代わります」

そう書かれていた。

上司は私のほうへ少し身を寄せ、小声で聞いた。

「今、どういう状況?」

私は受話器を押さえて答えた。

上司は「分かった」とうなずき、私から受話器を受け取った。

「お電話代わりました。担当の上司です。先ほど、こちらがお話を途中で遮るような言い方をしてしまったことは、申し訳ございませんでした」

男性は再び、私の謝り方について不満を口にした。

上司は途中で遮らず、男性が話し終えるのを待った。

「はい。ご不快な思いをされたことは分かりました。申し訳ありません」

そして少し間を置いて続けた。

「商品のことも確認したいので、最初にどんな症状が出たのか教えていただけますか?」

「いや、その前にさ、さっきの人の言い方がひどいんだよ」

「はい。その点はこちらでも気をつけます。そのうえで、商品の状態も確認させてください」

上司の声は最後まで変わらなかった。

少し沈黙したあと、男性が話し始めた。

「最初は普通に動いてたんだよ。でも、しばらく使ってたら急に調子が悪くなって……」

上司は「はい」「それはいつ頃ですか」と一つずつ確認しながら、内容をメモしていった。

しばらくすると、男性の声も少し落ち着いていた。

「まあ、そういうことだから。確認してもらえる?」

「分かりました。伺った内容はこちらで確認します」

「じゃあ、よろしく」

最後は男性のほうからそう言って、電話を切った。

上司は受話器を置くと、書き留めたメモを私に渡した。

「最初の『違います』は気をつけよう。電話だと、思っているより強く聞こえるからね」

私は「はい……すみません」とうなずいた。

すると上司は、少し表情をやわらげた。

「でも、そのあとはちゃんと謝れてたよ。次からは、まず最後まで話を聞いてから確認しよう」

渡されたメモには、男性が話した商品の不具合が、起きた順番どおりに整理されていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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