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「今、入りましたよね?」何度注意されても割り込みした客。しかし、店員さんの一言で変わった空気

  • 2026.9.23
「今、入りましたよね?」何度注意されても割り込みした客。しかし、店員さんの一言で変わった空気

列の途中に、すっと入ったかご

夕方のスーパーは、仕事帰りの人でいちばん混む時間だった。

開いているレジは二つだけで、私が並んだ列にも何人もの人が待っていた。

かごに入れた牛乳が、少しずつ重く感じはじめたころだった。

横の通路から、40代くらいの女性がかごを提げて歩いてきた。

そのまま列の途中まで来ると、60代くらいの男性と、その後ろにいた親子連れのあいだにすっと入った。

そして何事もなかったように、かごを足元へ置いて財布を取り出した。

親子連れのお母さんが驚いたように一歩下がった。

私も思わず後ろを見ると、すぐ後ろにいた年配の女性と目が合った。

「…今、入りましたよね?」

私が小声で聞くと、女性も困ったようにうなずいた。

「入りましたね…」

「やっぱり、そうですよね」

声をかけたほうがいいのだろうか。けれど、こちらから注意して言い合いになるのも怖い。

親子連れのお母さんも何か言いたそうにしていたが、結局そのまま黙っていた。

私も声を出せないまま、列だけが少しずつ前へ進んでいった。

男性が振り返って伝えたこと

すると、女性のすぐ前にいた男性が後ろを振り返った。

一歩下がった親子連れと、その前に立っている女性を見比べて、状況に気づいたようだった。

男性は少し迷ってから、穏やかな声で言った。

「すみません。列の最後、あちらですよ」

女性は財布を見たまま、顔を上げなかった。

男性は少しだけ声を大きくした。

「みなさん、後ろから並んでますよ」

それでも女性は動かなかった。

男性もそれ以上強く言うことはなく、困ったような顔で前を向いた。

そのやり取りに気づいたのか、レジの店員さんもこちらへ視線を向けた。

先頭のお客さんの会計がひと区切りしたところで、女性へ声をかけた。

「お客様、恐れ入ります。最後尾からお並びいただけますか?」

女性がようやく顔を上げた。

一瞬、何か言いたそうに店員さんを見たものの、その場からは動かなかった。

店員さんは列の後ろを手で示しながら、もう一度だけ伝えた。

「申し訳ありません。皆さま順番にお待ちなので、あちらからお願いいたします」

女性は周りを見て、それから小さく「はい」と答えた。

財布をしまい、足元のかごを持ち上げると、そのまま列の最後へ歩いていった。

私の後ろにいた年配の女性が、ほっとしたように息を吐いた。

「よかった…。私も言おうか迷ってたんです」

「私もです。なかなか言えないですよね」

そう答えると、女性は小さくうなずいた。

前にいた男性もそのまま会計を済ませ、店員さんは次の親子連れへいつもの調子で声をかけた。

「お待たせしました。どうぞ」

それまで少し張りつめていた列の空気も、ようやく元に戻ったように感じた。

列の最後を見ると、あの女性もかごを提げたまま、今度はその場所で自分の順番を待っていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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