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言った直後に「ごめん、今のなし」と送った俺が、3ヶ月かけて用意していたもの

  • 2026.9.23
ハウコレ

既読の表示を見て、俺は取り消す指を引っ込めました。消したところで、読まれた事実は変わらない。だったら、次に同じ言葉を渡すときの形を変えるしかありませんでした。

送った直後の自分のメッセージを、俺は上から何度も読み返していました。

打ってしまった言葉

付き合って2年、離れて暮らす彼女とのやりとりは、俺にとって毎日の区切りのようなものでした。その日の彼女の返信があまりに可愛くて、気づいたときには「結婚しよう」と送っていたのです。指輪もない。両親への挨拶も、住む場所の話も、何一つ考えていない。取り消しの操作に指を伸ばしかけて、画面の表示に気づきました。もう既読がついていたのです。消しても、読まれたあとでは意味がない。むしろ、なかったことに見せかけるほうが失礼だと思いました。それで俺は「ごめん、今のなし」と送りました。

短い返事のあとで

彼女からの返事は「わかった」だけでした。画面の向こうで彼女がどう受け取ったのか、俺には確かめようがありません。呆れられたのだろうか。それとも、軽い男だと思われたのだろうか。会う日はいつも通りに続きましたが、俺からその話を出す資格はない気がして、言えないまま帰る日が重なりました。その間、俺は動いていました。指輪を見に行き、貯金の残高を確かめ、彼女の親に何を話すかを紙に書き出しました。

言い直すための席

3か月かけて準備がひととおり形になったとき、俺は会って話すことに決めました。画面の上で渡してしくじった言葉だから、今度は顔を見て話すべきだと思ったのです。駅前のカフェで向かい合い、勢いで言ってしまったこと、何も用意がなかったこと、取り消そうとして既読を見てやめたこと、隠さず話しました。彼女は最後までさえぎらずに聞いてくれました。「準備が何もないまま、いちばん大事な言葉を使いたくなかった」。そう伝えてから、「ちゃんと言い直させてほしい」と言って、予約した店のページを開いた画面を彼女へ向けました。「来週ここに行かない?」。席を立つ前に、もう1つだけ付け足しました。「綺麗な格好してきて」。

そして...

上着の内ポケットに収まる小さな箱は、もう手元にあります。来週は、取り消さない言葉だけを持っていくつもりです。

(20代男性・メーカー勤務)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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