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「え、30円?30円くらいまけてよ」バスの入口で動かなかった乗客。だが、運転手さんが最後まで伝え続けた正論

  • 2026.9.23
「え、30円?30円くらいまけてよ」バスの入口で動かなかった乗客。だが、運転手さんが最後まで伝え続けた正論

乗車口で鳴った短いエラー音

仕事帰りの夕方、私はバス停の列に並んでいた。前には50歳くらいの男性、後ろには年配の女性がいて、その後ろにも何人か続いていた。

バスが着き、男性が乗車口でカードをタッチした。すると短いエラー音が鳴り、読み取り機の表示が赤く変わった。

運転手さんが表示を確認し、男性に声をかけた。

「すみません。カードの残高が30円足りないようです」

男性は読み取り機をのぞき込み、少し笑うような口調で言った。

「え、30円?30円くらいまけてよ」

冗談なのかと思ったが、男性はステップに片足をかけたまま動かなかった。

運転手さんは一度だけ間を置き、落ち着いた声で答えた。

「申し訳ありません。不足分はお支払いをお願いしています」

すると男性は眉をひそめた。

「たった30円でしょ。30円くらいまけてよ」

後ろで待っていた私も、思わず男性の背中を見つめた。私の後ろには5〜6人が並んでいたが、男性は乗車口から動こうとしなかった。

動かない男性に、運転手さんは

運転手さんは声を荒らげることなく、運賃箱のほうを手で示した。

「不足している30円は、現金でお支払いいただけます」

男性は返事をせず、車内の空いている席へ目を向けた。

運転手さんはもう一度、少しゆっくりした声で伝えた。

「恐れ入りますが、30円のお支払いをお願いします」

それでも男性が動かないため、運転手さんは困ったように息をついてから続けた。

「このままですと発車できませんので、ご協力をお願いします」

そのとき、私の後ろにいた年配の女性が遠慮がちに声をかけた。

「すみません…後ろもみんな待ってますよ」

男性はそこで振り返った。

後ろまで続く列を見ると、何か言いたそうに口を開いたものの、結局何も言わずに財布を取り出した。

そして10円玉を3枚、運賃箱に入れ、そのまま車内の奥へ進んでいった。

私たちも順番に乗り込んだ。最後の人が乗り終えると、運転手さんは車内を確認してからマイクを取った。

「お待たせいたしました。それでは発車します」

バスはようやく走り出した。

その夜、夕飯の支度をしながら夫に今日の出来事を話した。

「今日ね、バスでカードの残高が30円足りなかった人がいて」

「うん。それで?」

「『30円くらいまけてよ』って2回も言って、入口から動かなかったの。後ろにずっと人が並んでるのに」

夫は少し驚いた顔をした。

「結局、どうなったの?」

「後ろにいた人が『みんな待ってますよ』って声をかけたら、やっと30円払って奥に行ったよ」

ほんの30円のことだったが、その間、バスに乗ろうとしていた人たちは全員その場で待つことになった。最後まで声を荒らげず、淡々と対応していた運転手さんの姿が印象に残った出来事だった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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