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「同期って私たち二人だけでしょ?」休みの同期がビルの入口にいた。私に残った小さな違和感

  • 2026.9.23

研修で並んだきりの、ただ一人の同期

三十代の私が、派遣でシフト制の仕事をしていたころの話だ。同じ月に入ったのは、同年代の女性がもう一人だけだった。

研修の三日間は隣の席だったものの、配属後は持ち場が分かれ、勤務日が重なることも少なかった。顔を合わせても会釈をする程度で、休憩室で少し話すことがあるくらいだった。

研修の最終日に連絡先は交換していたが、一度も連絡を取り合ったことはない。

ある日の夕方6時、仕事を終えてビルの入口を出ると、柱の横に見覚えのある女性が立っていた。

同期だった。その日は休みだとシフト表で知っていたので、思わず足が止まった。

同期は私を見つけると、少しうれしそうに手を上げた。

「あ、お疲れさま」

「え、どうしたの?今日、休みだよね」

「うん。同期って私たち二人だけでしょ?」

そこで少し笑ってから、同期は続けた。

「今日6時までってシフトで見たから、待ってた」

「え、私を?」

「うん」

「何かあった?」

「いや、何かあるわけじゃないんだけど……全然ゆっくり話したことないなと思って」

休憩室の壁には翌月までのシフト表が貼られていて、スタッフなら誰でも確認できた。

だから私の勤務時間を知っていること自体はおかしくない。それでも、休みの日にわざわざ来て、仕事が終わる時間に合わせて待っていたことに、私は少し戸惑った。

「だったら、連絡くれればよかったのに」

「そうだよね。でも、連絡するほどでもないかなって。ちょっと話せたらいいなと思っただけ」

悪気があるようには見えなかった。それだけに、私は「そっか」と曖昧に笑うしかなかった。

それから、すぐには入口へ向かわなくなった

その日は入口の前で十分ほど話して別れた。仕事の話や当たり障りのない世間話だけで、次に会う約束をしたわけでもない。

「じゃあ、また仕事でね」

「うん。またね」

同期は最後までいつも通りだった。

それでも帰りの電車では、「シフトを見て待ってた」という言葉が何度も頭に浮かんだ。

あの日のように入口で待たれることは、その後なかった。連絡が来ることもない。

ただ、一度気になってしまうと、自分の勤務時間を見られていることまで意識するようになった。

次の週から、私は仕事が終わってもすぐには外へ出ず、更衣室で少し時間を置いてから入口へ向かうようになった。

同じフロアの先輩に話したこともある。

「この前、同期が休みなのに入口で待ってたんです。私のシフトを見たみたいで」

先輩は少し考えてから言った。

「仲良くなりたかっただけかもしれないね」

「ですよね。たぶん、そうなんだと思います」

私もそう思う。けれど、あのとき感じた戸惑いまで消えるわけではなかった。

今でも勤務日が重なれば、同期は廊下ですれ違ったときに笑顔で声をかけてくる。

「お疲れさま。今日、6時までなんだね」

「うん、お疲れさま」

私も普通に笑って返す。

ただ夕方、ビルの入口を出るときだけは、今でも一度だけ柱の横を見てしまう。誰もいないことを確かめてから、私は駅へ向かって歩き出す。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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