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「ナチュラルなのが好き」と言っただけの俺が、彼女の赤いネイルを笑ってしまった理由

  • 2026.9.23
ハウコレ

彼女がベージュを選び続けていた理由に、サロンのお姉さんの一言から思い当たりました。謝るより先に出てきたのは、言ってないのに、という言い分でした。

サロンの椅子は、俺が想像していたよりずっと彼女の手元に近い位置にありました。

待ち時間のつもりで座った席

付き合って2年の彼女とは、サロンのあとに食事の予約を入れていました。開始が遅れたと連絡があり、「店で待ってて」と送られてきたので、小さな個人サロンに顔を出すと、担当のお姉さんが彼女の隣にもう1脚椅子を置いてくれました。

座ってすぐ、俺はテーブルの色見本を彼女より先に手に取り、めくり始めました。付き合い始めに「ナチュラルなのが好き」と言ったのは覚えていましたが、それ以降の彼女の爪の色を意識して見たことはありませんでした。

3回見送っていた赤

彼女は俺の手から色見本を受け取り、最後のページの赤を指しました。

「え、派手じゃない?」

笑いながらそう言ったのは、彼女も一緒に笑うと思ったからです。お姉さんは筆を用意する手を動かしたまま、彼女に向かって答えました。

「でもこの赤、前からずっと見てましたよね」

「前から?」

俺が聞き返すと、お姉さんは続けました。

「3回くらい前からですね。いつも最後はベージュに戻していましたけど」

俺は彼女のほうを見て、「前から赤にしたかったの?」と聞きました。彼女は「うん」とだけ答えました。ベージュに戻していた3回と、自分が言った「ナチュラルなのが好き」が、そこで初めてつながりました。

俺は椅子の上で小さくなり、「そうなんですか」とだけ返して、色見本をテーブルの端に戻しました。彼女は「今日は赤で」と言いました。施術の間、俺はスマホの画面を見ていましたが、内容は頭に入っていませんでした。

さかのぼった写真

外に出て駅へ向かいながら、俺は先に口を開きました。

「俺、別にベージュにしろなんて言ってないよね?」

「言われてない。でも今日、私が赤を選んだら笑ったよね」

「好みを言うのもダメなの?」

「好みを言うのと、私の好みを笑うのは違う」

返事を探しているうちに信号が変わりました。頼んでいないのに合わせられて、それで責められるのは納得できない、というのがそのときの本音でした。

予約していた店を出て解散し、帰宅してから、何となくスマホの写真をさかのぼりました。しばらくさかのぼると、付き合う前の彼女が赤や濃い色のネイルをしている写真もありました。付き合い始めてから、手元が写っている写真はベージュ系ばかりでした。俺はそれを、好みが合っているのだと思っていました。

それでも、ベージュにしろとは言っていない、という気持ちは残りました。写真を閉じても、「え、派手じゃない?」と笑った自分の声が頭に残っていました。

そして...

その週の休み、俺は彼女の部屋へ行きました。座るなり「俺はまだ、ベージュのほうが好き」と言いました。彼女は「うん」と答えました。

「でも、赤を選んだときに笑ったのは悪かった」

「私も、勝手に合わせて勝手に我慢してた」

「じゃあ次から、俺が何色好きか聞かないで選べば」

「聞いてないけど」

俺は少し笑って、彼女の爪を見ました。感想は言いませんでした。翌月、彼女の爪は緑になっていました。聞かれなかったので、俺も言いませんでした。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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