1. トップ
  2. エピソード
  3. 「注文、ちゃんと通してる?」急ぐ常連客に責められた私。だが、店長の確認で分かった本当の理由

「注文、ちゃんと通してる?」急ぐ常連客に責められた私。だが、店長の確認で分かった本当の理由

  • 2026.9.23
「注文、ちゃんと通してる?」急ぐ常連客に責められた私。だが、店長の確認で分かった本当の理由

いつもより落ち着かない常連客

当時、私は住宅街にある小さな定食屋でホールを担当していた。夕方6時を過ぎると仕事帰りのお客さんが増え、厨房もホールも一気に慌ただしくなる。

その日、週に何度も来てくださる常連の女性が、いつものカウンター席に座った。

ただ、普段とは少し様子が違った。席についてから何度も腕時計を見ていて、メニューを開くとすぐ私を呼んだ。

「日替わりと、小鉢ひとつ。ご飯は普通で」

「はい。日替わり定食と小鉢、ご飯は普通ですね」

復唱すると、女性は短くうなずいた。

「今日はちょっと急いでるから、できれば早めにお願いね」

「かしこまりました」

私は注文を書いた伝票を厨房へ渡し、次のお客さんの対応に向かった。

ところが、その日は揚げ物の注文が重なっていた。厨房では次々と料理を作っていたものの、日替わり定食がなかなか出来上がらない。

カウンターを見るたび、女性が腕時計を確認しているのが見えた。

しばらくすると、女性が私を呼び止めた。

「ねえ、まだ?さっきから結構待ってるんだけど」

「申し訳ありません。今、確認してきます」

そう答えると、女性の表情がさらに険しくなった。

「注文、ちゃんと通してる?」

「はい。ご注文をいただいて、すぐ厨房には伝えています」

「本当に?急いでるって言ったよね。ちゃんとしてよ」

声が少し大きくなり、隣の席のお客さんがこちらを見た。

厨房の伝票を確認した店長

その声に気づいた店長が、レジからこちらへ来た。

「お待たせして申し訳ございません。確認してまいります」

店長はそう言って厨房へ入り、注文の伝票を確認した。

少しして戻ってくると、女性に頭を下げた。

「ご注文は厨房に入っております。今日は揚げ物が重なっていて、調理に時間がかかってしまっています」

女性は私を見たあと、店長に聞いた。

「じゃあ、この人が忘れてたわけじゃないの?」

「はい。担当から注文はきちんと届いています。お待たせしているのはこちらの都合です。申し訳ありません」

店長は私をかばうために女性を責めるのではなく、店側の事情として説明してくれた。

女性は一瞬黙り、それから小さく息を吐いた。

「…そう。ごめんなさい。てっきり注文が通ってないのかと思って」

間もなく料理が出来上がり、私が運ぶと、女性は今度は何も言わずに「ありがとう」と受け取った。

会計を終えたあと、女性は出口へ向かう途中で私の前に立ち止まった。

「さっきはきつく言ってごめんね。急いでて、ちょっと焦ってた」

「いえ。お待たせしてしまって、すみませんでした」

「あなたのせいじゃなかったのにね」

そう言って軽く頭を下げ、女性は店を出ていった。

閉店後、店長がレジを締めながら声をかけてくれた。

「注文はちゃんと通ってたから大丈夫。ああいうときは、一人で抱えずすぐ呼んでね」

私はようやく肩の力を抜いて、「はい」と答えた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ