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「は?金払ってるんだから文句ないだろ」朝食バイキングで料理を次々タッパーへ。だが、支配人が伝えた正論

  • 2026.9.23

大皿の前で、ふたの開いたタッパー

30代になって初めて、夫と2人で温泉旅行に出かけた。

前の晩から朝食のバイキングを楽しみにしていて、会場が開く時間に合わせて部屋を出た。

料理の並ぶコーナーで順番を待っていると、少し前にいた40代くらいの男性が、大皿の焼き魚や卵焼きを取り分けていた。

ところが、男性が料理を入れていたのは皿ではない。持参したらしいプラスチックのタッパーに、次々と詰めていた。

「あれ…持って帰るのかな」

夫が私の耳元で小さく言った。

「そう見えるよね…」

私も声を落として答えた。

私たちも料理を取り終え、少し離れた席に座った。先ほどの男性を見ると、今度はパンや果物を手さげの袋に入れている。

会場の壁や柱には、「お持ち帰りはご遠慮ください」という張り紙が出ていた。

しばらくして、近くにいた若い女性スタッフが男性のテーブルへ向かった。

「お客様、すみません。こちらのお料理は、お持ち帰りをご遠慮いただいているんです」

男性は手を止め、スタッフを見上げた。

「は?金払ってるんだから文句ないだろ」

思った以上に大きな声だった。近くにいた何人かが振り返る。

私も箸を止め、夫と顔を見合わせた。

支配人が手のひらで示したもの

女性スタッフは言い争うことはせず、「少々お待ちください」と伝えてその場を離れた。

やがて、年配の男性と一緒に戻ってきた。胸の名札を見ると、支配人だった。

スタッフから事情を聞いた支配人は小さくうなずき、男性のテーブルの横へ立った。

「おくつろぎのところ失礼いたします」

男性は不満そうな顔をした。

「何だよ。こっちは宿泊代だって払ってるんだぞ」

支配人は言い返さず、すぐそばに貼られている張り紙を手のひらで示した。

「はい。ただ、朝食のお料理は、こちらの会場内でお召し上がりいただくようお願いしております」

「ちょっと持って帰るくらい、いいだろ」

「申し訳ございません。お持ち帰りはご遠慮いただいております。どうしても衛生上お断りしております」

支配人の声は穏やかだったが、対応を変える様子はなかった。

すると、男性と一緒にいた女性がそっと袖を引いた。

「もういいじゃない。ここで食べようよ」

男性はしばらく黙っていたが、やがて小さく息を吐いた。

「…分かったよ」

そして、タッパーに入れていた焼き魚や卵焼きをテーブルの皿へ移し、空になった容器をかばんにしまった。袋に入れていたパンや果物も取り出し、テーブルの上に置いた。

支配人はそれを確認すると、

「ありがとうございます。どうぞごゆっくりお召し上がりください」

と一礼して離れていった。

女性スタッフも料理台へ戻り、少なくなっていた焼き魚や卵焼きを補充し始めた。

しばらくすると、会場にはまた食器の音や話し声が戻ってきた。

夫がお茶をひと口飲んでから、私を見た。

「なんか、びっくりしたね」

「うん。朝からちょっと緊張した」

そう答えて、私はようやく止めていた箸を動かした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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