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『彼女への誕生日プレゼントにしようと思っているんです』と頼まれた中古のネックレスに忍ばせた1枚のカード

  • 2026.9.22
ハウコレ

受け取りの評価には、包みをそのまま渡すと書かれていました。カードが彼女の手に届いたのかどうか、取引が終了した画面の前で、私はもう知る手立てを持ちません。

売れました、の通知のすぐ下に、購入者からの長いメッセージが並んでいました。

「彼女への誕生日プレゼントに」と続いた頼みごと

出品していたのは、何年か前に買った細いチェーンのネックレスでした。小さな石が1つ付いているだけの形で、たまに使っていたものの、今の服装には合わなくなり、フリマアプリに出していました。

購入者は男性のようで、メッセージにはこうありました。

「彼女への誕生日プレゼントにしようと思っているんです。彼女がよく見ているお店で買ったことにしたいので、そのお店の包装と似た感じでラッピングしてもらえませんか。おまけもあれば、彼女が喜ぶと思います」

私は画面を閉じて、洗い物に戻りました。蛇口の水を出しながら、文面が頭の中で繰り返されました。包装紙もリボンも、代金には含まれていません。それを私が用意して、その店で買ったふりをする手伝いまでするのかと。

それ以上に引っかかったのは、彼女への贈り物を、知らない人が使っていた品で済ませようとしていることでした。

返信は短くしました。

「承知しました。できる範囲で包みます」

ネックレスの上に重ねた、彼女宛てのカード

帰り道に100円ショップへ寄り、紺色の不織布の袋と細い白のリボンを買いました。あの店の袋の色に、いちおう寄せたつもりです。

台所のテーブルでネックレスを箱に入れ、それを袋に入れリボンを結びました。結び目が斜めになり、2度結び直しました。

おまけは入れませんでした。その代わりに、名刺ほどのカードを1枚、箱の中のネックレスの上に重ねました。

「ご購入ありがとうございました!あのお店に寄せたラッピング、上手くできているでしょうか。要望されていたおまけですが、ちょうどよいものが無く、入れられませんでした。またご縁がありましたら、よろしくお願いいたします」

読み返して、これで十分だと思いました。購入者へのお礼の形をしていますが、包みを開ける人は彼ではないということを前提にした皮肉です。頼まれた包装とおまけのことが、受け取る彼女に届くように書きました。

箱をコンビニの窓口に出して、私にできることは終わりました。

「このまま渡せそうです」で閉じた取引画面

数日後、受け取りの通知と並んで評価が届きました。コメントはこうです。

「迅速なご対応ありがとうございました。包みも、このまま渡せそうです」

このまま、という言い方を2度読みました。彼はラッピングを開けていません。カードは、包みの中でまだ誰にも読まれていないということでした。

評価を返すと、画面に取引終了の表示が出て、メッセージの入力欄が消えました。この先、彼から私に連絡は来ませんし、私からも送れません。

彼女は今頃、リボンをほどいているのでしょうか。カードを先に読むのか、ネックレスを先に見るのか。そこから2人がどんな話をするのかは、私が知る場所にありません。

書いたときは、彼への意地が半分ありました。あのカードが彼女の手に届いていればそれでいいと思っています。

そして...

あの日買った紺の袋のあまりは、まだ引き出しに残っています。彼女がどう受け取ったのかは分かりません。ただ、贈る相手にも出品者にも、事情を正直に話してほしかったと思います。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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