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姉に理由も書かず5万を頼んだ俺が、母に口止めをしていたわけ

  • 2026.9.22
ハウコレ

姉から返ってきたのは断りではなく、母さんから聞いたというメッセージでした。返せる当てもないまま月末と書いた俺は、その文を2度読み返します。

実家の風呂場には、水しか出ない蛇口と、業者から聞いた工事の金額だけが残っていました。父は出張中で、母は「戻るまで我慢する」と言うだけでした。俺はその場で業者に日取りを頼み、帰りの電車の中で姉の名前を開きました。

理由を書かずに送った1通

工事代は8万で、俺はカードで払いました。引き落としまでに用意できるのは3万です。母には、姉には言わないでほしいと頼みました。10年前、大学生のころに姉から借りた3万を、俺は返した記憶がありません。それを言われるのが分かっていたから、理由も内訳も書かずに「金貸して」とだけ送りました。少しして「5万。月末には返す」と足しました。月末に返せる当てはありませんでした。頭を下げる文を打つより、そのほうが楽だったからです。

既読のあとに来た1行

既読は付いたのに、返事はしばらく来ませんでした。断りの文を打っているのだろうと思い、俺はスマホを伏せて洗濯物を畳んでいました。届いたのは「お母さんから聞いた。給湯器なんだね」。母が姉に何かを送ったのだと、その文で分かりました。口止めをしたのは、姉に借りる理由を並べたら、10年前の話まで一緒に出てくると思ったからです。俺は「言うなって頼んだのに」と返しました。母に向けたつもりの文を、姉に送っていました。

「振り込む。領収書は私にも送って」

姉からは「振り込む。領収書は私にも送って」と届きました。責める言葉はありませんでした。代わりに領収書という条件が付いていました。俺は「わかった」とだけ返しました。ありがとうも、ごめんも、打ちかけて消しました。工事の間、母は業者に「息子が全部やってくれて」と繰り返していました。俺が姉に隠したかったのは、その言葉に見合う金を自分が持っていないことでした。

そして...

領収書の写真は、振込を確かめてから送りました。8万という数字を見て姉が何を思ったのかは、書かれていません。俺は封筒を1枚用意し、表に姉の名前を書きました。中に入れる額を5万にするか、10年前の分を足すか、まだ決められないまま机に置いてあります。

(30代男性・工場勤務)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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