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「虫が1匹も出ない有機の土をちょうだい」ホームセンターで難しい注文を受けた学生バイト。だが、店長が伝えた選び方

  • 2026.9.22
「虫が1匹も出ない有機の土をちょうだい」ホームセンターで難しい注文を受けた学生バイト。だが、店長が伝えた選び方

園芸コーナーで受けた難しい注文

学生のころ、ホームセンターの園芸コーナーでアルバイトをしていた。

春先の週末は特に忙しく、培養土の袋を台車で運んでは棚に補充する作業が朝から続いていた。

その日、中年の女性客に「ちょっといい?」と呼び止められた。

ベランダで野菜を育てたいという女性は、棚に並んだ土をしばらく見比べたあと、私に尋ねた。

「有機の土を使いたいのよ。でも私、虫が本当に苦手で。虫が1匹も出ない有機の土をちょうだい」

思っていなかった条件に、私は一瞬返事に詰まった。

「虫が出にくいタイプの土はあるんですが、絶対に出ないとは言い切れなくて…」

すると女性は少し眉をひそめた。

「でも、ネットで見たのよ」

「ただ、こちらのものとは少し違うんです」

私が別の商品を示すと、女性は首を横に振った。

「それじゃ意味がないのよ。せっかく野菜を育てるんだから、有機がいいの」

そして少し強い口調で、もう一度言った。

「だから、虫が1匹も出ない有機の土をちょうだい」

「申し訳ありません。『絶対に虫が出ません』とお約束できる有機の土は、私からはご案内できなくて…」

女性は困ったようにため息をついた。

「じゃあ、どうしたらいいの?虫が嫌だから聞いてるのに」

袋の裏を見せた店長

そこへ店長が通りかかった。私たちが同じ棚の前でしばらく話していたため、気になったようだった。

「どうしました?」

私が事情を説明すると、店長は「なるほど」とうなずき、棚から女性が見ていた有機培養土を一袋下ろした。

そして袋を裏返し、注意書きの部分を確認した。

「お客様、ここを見ていただいてもいいですか」

女性が袋をのぞき込むと、店長は虫の発生について書かれた部分を指した。

「こちら、有機質の原料を使っている商品なので、虫が絶対に出ないとはお約束できないんです」

女性は注意書きを読んでから、店長の顔を見た。

「じゃあ、虫が出ることもあるってこと?」

「そうですね。まったく出ないと言い切ることもできないんです」

店長は別の商品も手に取り、袋を確認しながら続けた。

「ですので、虫が絶対に出ないことを一番に考えるなら、先ほどスタッフがご案内した別のタイプの土を選ぶ方法もあります」

女性はしばらく二つの商品を見比べていた。

「なるほどね…。有機も使いたいし、虫も絶対嫌っていうのは難しいのね」

「はい。そこは、どちらを優先されるかですね」

少し考えたあと、女性は最初に見ていた袋を指した。

「分かった。じゃあ、こっちにするわ。虫が出にくくなるような対策も、あとで教えてもらえる?」

「もちろんです。ご案内しますね」

女性は土をカートに載せ、店長と一緒に売り場の奥へ歩いていった。

少しして戻ってきた店長は、私に小さく笑った。

「さっきの説明で合ってたよ。ああいう聞かれ方をすると、答えるの難しいよな」

「はい。途中から、何て言えばいいのか分からなくなってました……」

「無理に『あります』って言わなかったんだから、それで大丈夫」

そう言うと、店長はまた売り場へ戻っていった。

商品について知っているだけでなく、できることとできないことをきちんと伝えるのも接客なのだと感じた出来事だった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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