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年末調整2026 基礎控除104万円は12月に反映

  • 2026.9.21

令和8年分の年末調整は、基礎控除が104万円、給与所得控除の最低保障が74万円に引き上げられます。ただし11月までの毎月の天引きは変わらず、12月の年末調整でまとめて精算される仕組みです。所得税が0円になる年収は160万円から178万円へ。扶養は136万円、勤労学生は163万円が新しい境目になります。

2026年(令和8年)の年末調整は、ここ数年でいちばん金額の動きが大きい回になります。基礎控除が最大104万円、給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられるためです。
ただ、今年いちばん外しやすいのは金額そのものではなくタイミングのほうです。国税庁の資料には、令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じないと明記されています。つまり毎月の給与から引かれる所得税は11月まで去年と同じ計算のままで、12月の年末調整で1年分を計算し直して、そこで差額をまとめて精算するという順番になっています。
この記事でわかるのは次のことです。
・11月までと12月で何が違うのか、という今年だけの仕組み
・所得税がかかり始める年収が160万円から178万円に上がること
・年収別に、去年のルールと今年のルールでいくら変わるかの試算(webooの計算)
・136万円・163万円・197万円…2026年の「年収の壁」を1枚に並べた図
・年末調整で出す書類の、全員/該当者だけの仕分け
金額の根拠は国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)と「令和8年分 年末調整のしかた」、社会保険の部分は厚生労働省の資料です。試算はweboo編集部が同じ資料の数値を使って計算しました。

11月までは去年のまま 12月の年末調整でまとめて精算

今年の改正でいちばん大事なのは、いつ反映されるかです。国税庁の資料の書き方はこうなっています。
・改正は原則として令和8年分以後の所得税について適用される
・令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じない
・令和8年12月に行う年末調整の際に、引き上げ後の基礎控除額などで1年間の税額を計算し、改正前の源泉徴収税額表で計算した源泉徴収税額との精算を行う
毎月の天引きに使う「源泉徴収税額表」が改正されるのは令和9年分以後です。令和8年分の月々の天引きは、改正前の表のまま進みます。
言い換えると、1月から11月までの給与明細を見ても、改正のあとは何も見当たらないということです。「今年から控除が増えるはずなのに手取りが変わらない」と感じていたなら、それが正常な状態でした。増えた控除は、12月の年末調整でまとめて効いてきます。

出典 www.nta.go.jp

年末調整そのものの時期も決まっています。国税庁は「年末調整は、本年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますので、通常は12月に行います」と説明しています。なお国税庁の資料には、扶養親族等の所得要件の改正は令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用されると書かれています。これは所得要件の改正が効き始める日のことで、申告書の様式をいつから使うかという話ではありません。
一方で、書類が配られる時期は法律で決まっていません。国税庁の説明は「用紙をあらかじめ各人に配付しておき、年末調整を行う時までに提出を受けてください」というもので、締切は勤務先が決めます。勤務先によりますが、10月から11月にかけて配られることが多いのはこのためです。いつまでに出すのかは、配られた用紙か社内の案内で確認してください。

基礎控除は最大104万円 給与所得控除の最低保障は74万円

令和8年分の年末調整で実際に使う金額です。まず基礎控除から。本人の合計所得金額に応じて、次のように決まります(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の〈控除額の計算〉)。
・合計所得金額 489万円以下 … 104万円
・489万円超 655万円以下 … 67万円
・655万円超 2,350万円以下 … 62万円
・2,350万円超 2,400万円以下 … 48万円/2,400万円超 2,450万円以下 … 32万円
・2,450万円超 2,500万円以下 … 16万円/2,500万円超 … なし
去年(令和7年分)は合計所得132万円以下で95万円、132万円超336万円以下で88万円、336万円超489万円以下で68万円と3段に分かれていました。令和8年分は489万円以下がまとめて104万円になります。去年68万円だった帯(合計所得336万円超489万円以下)は36万円も増えることになり、ここが今年いちばん動く部分です。
もうひとつが給与所得控除の最低保障額です。国税庁の資料の原文は「給与所得控除について、65万円の最低保障額が74万円に引き上げられました」。給与収入220万円以下の人は一律74万円になります。なお給与収入が220万円を超える場合の給与所得控除額に改正はありませんと注記されています。

基礎控除の104万円は令和8年分と令和9年分の2年限り

この104万円は、所得税法の本則62万円に、租税特別措置法の加算を上乗せした金額です。加算が乗るのは令和8年分と令和9年分の2年で、令和10年分以後は別の金額に切り替わります。
資料の表には令和10年分以後の欄も並んでいるため、そちらの数字を令和8年分だと思って読むと間違えます。今年の年末調整で使うのは、合計所得489万円以下=104万円の列です。
さらに令和10年分以後については、基礎控除額と給与所得控除の最低保障額を2年ごとに、直前の見直し後の額に消費者物価指数の変化率を乗じた額を基準として見直すことが基本とされました。今回の引き上げは一度きりではなく、物価に連動させる仕組みの入口でもあります。

所得税が0円になる年収が160万円から178万円に上がる

給与所得控除の最低保障74万円と基礎控除104万円を足すと178万円。収入が給与だけで、ほかの所得控除を使わない場合、年収178万円までは所得税がかからない計算になります。去年は65万円+95万円=160万円でしたから、非課税の上限が18万円広がったということです。
実際に計算してみます。社会保険料控除がない場合(扶養の範囲で働いていて、自分は社会保険に入っていない場合)の年税額です。
・年収150万円 … 令和7年分 0円 → 令和8年分 0円
・年収170万円 … 令和7年分 5,100円 → 令和8年分 0円
・年収180万円 … 令和7年分 10,200円 → 令和8年分 1,000円
・年収200万円 … 令和7年分 18,800円 → 令和8年分 11,200円
年収160万円から178万円までの人は、今年の年末調整で所得税が0円になります。
計算の前提は、収入が給与だけ・賞与や副業はなし・所得控除は基礎控除だけ・課税給与所得金額は1,000円未満切捨・税額は国税庁の「令和8年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」により、年調所得税額×102.1%(復興特別所得税を含む)・100円未満切捨、です。生命保険料控除や扶養控除などを使えば、非課税になる年収はさらに上がります。

減り方がいちばん大きいのは年収600万円前後

次に、会社の社会保険に入っている人の想定で計算します。社会保険料は年収の15%として、去年のルールと今年のルールで年税額を出し、その差を見ます。
・年収200万円 … 3,500円 → 0円(3,500円減)
・年収250万円 … 21,100円 → 13,000円(8,100円減)
・年収300万円 … 35,200円 → 27,000円(8,200円減)
・年収400万円 … 65,300円 → 57,100円(8,200円減)
・年収500万円 … 117,900円 → 90,300円(27,600円減)
・年収600万円 … 184,200円 → 147,500円(36,700円減)
・年収650万円 … 217,400円 → 180,700円(36,700円減)
・年収700万円 … 282,300円 → 274,100円(8,200円減)
・年収800万円 … 435,400円 → 427,200円(8,200円減)
ここに、あまり言われていない逆転があります。減り方がいちばん大きいのは低い年収帯ではなく、給与収入が475万1,999円を超えて665万5,556円までの帯だということです。600万円・650万円で年36,700円まで届き、年収700万円を超えると差は8,200円程度に戻ります。
理由は基礎控除がいくら増えるかが年収帯によって違うことにあります。減る税額は、おおまかにいえば「基礎控除が増えた額」×「その人の所得税率」で決まります。そして基礎控除の増え方は一律ではありません。次の合計所得金額の区切りは、改正前(令和7年分)の合計所得で判定した場合のもので、カッコ内の給与収入は国税庁の資料が示している換算です。
・合計所得132万円超336万円以下 … 88万円→104万円で16万円増(給与収入で206万円超 475万1,999円以下)
・合計所得336万円超489万円以下 … 68万円→104万円で36万円増(給与収入で475万1,999円超 665万5,556円以下)
・合計所得489万円超655万円以下 … 63万円→67万円で4万円増
・合計所得655万円超2,350万円以下 … 58万円→62万円で4万円増
36万円も増えるのは真ん中の帯だけです。給与収入が665万5,556円を超えると増える控除は4万円分になるので、税率が上がっても差は8,200円前後に戻ります。
念のため計算のしかたも書いておきます。年収600万円の人は課税給与所得金額が195万円超330万円以下の区分に入るので所得税率は10%。36万円×10%=36,000円に復興特別所得税分の102.1%を掛けると、上に並べた36,700円になります。一方、年収800万円の人は税率20%と高いのですが、増える控除が4万円なので4万円×20%=8,000円どまり(100円未満の端数処理の関係で、上の試算では8,200円)です。税率の高さより、控除がいくら増えるかのほうが効いている、というのが今年の形です。

出典 www.nta.go.jp

この試算の前提もそろえて書いておきます。社会保険料を年収の15%としたのは、年収ごとの比較をそろえるためにweboo編集部が置いた仮の数字で、公的に定められた率ではありません。実際の保険料率は加入している健康保険や住んでいる都道府県、年齢(介護保険の有無)で変わります。生命保険料控除・扶養控除・配偶者控除・住宅ローン控除などは計算に入れていません。自分の場合の金額は、給与明細の社会保険料の合計と、勤務先から渡される書類で確認してください。

2026年の「年収の壁」は136万円と163万円が新しい境目

控除の金額が変わると、扶養に入れるかどうかの境目も動きます。令和8年分の所得要件は、給与だけで働いている場合の給与収入に直すと次のようになります。
・136万円(合計所得62万円)… 親や配偶者の扶養親族・同一生計配偶者でいられる上限。去年までは123万円
・163万円(合計所得89万円)… 勤労学生控除が受けられる上限。去年までは150万円
・197万円(合計所得123万円)… 親の特定親族特別控除がなくなる線。去年までは188万円
・207万円(合計所得133万円)… 配偶者特別控除がなくなる線。去年までは201万5,999円
ここに税とは別の制度である社会保険の基準が重なるため、話がややこしくなります。130万円は健康保険の被扶養者でいられるかどうかの基準で、厚生労働省の所管です。税の扶養とは判定の方法も時期も違います。

出典 www.nta.go.jp

よく話題になる106万円の壁についても触れておきます。これは短時間で働く人が勤務先の社会保険に入るかどうかの4つの要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件のことです。厚生労働省の資料には、この賃金要件は令和8(2026)年10月に撤廃予定と書かれています。あくまで「予定」という書き方なので、実際の扱いは勤務先や日本年金機構の案内で確認してください。撤廃されたあとは、週の所定労働時間が20時間以上かどうか、勤め先の規模、学生でないこと、で決まることになります。
また130万円の壁のほうは残ります。厚生労働省は、人手不足による労働時間の延長で一時的に年収130万円を超えた場合について、事業主の証明を添えることで原則として連続2回までは引き続き扶養に入り続けられる、という扱いを案内しています。
106万円の壁と最低賃金の改定については、別の記事でくわしく書いています。

大学生年代の子のバイト代は136万円を超えても控除が残る

子どもが19歳以上23歳未満(令和8年分の申告書では平成16年1月2日〜平成20年1月1日生まれ)で、アルバイトをしている家庭向けの話です。
子の給与収入が136万円以下なら、これまでどおり扶養控除(特定扶養親族)63万円。そこを超えても、197万円までは特定親族特別控除が段階的に残ります。国税庁の資料にある控除額を、子の給与収入で並べ直すとこうなります。
・子の給与収入 〜136万円(合計所得 62万円以下)… 63万円
・子の給与収入 136万円超159万円以下(合計所得 62万円超85万円以下)… 63万円
・子の給与収入 159万円超164万円以下(合計所得 85万円超90万円以下)… 61万円
・子の給与収入 164万円超169万円以下(合計所得 90万円超95万円以下)… 51万円
・子の給与収入 169万円超174万円以下(合計所得 95万円超100万円以下)… 41万円
・子の給与収入 174万円超179万円以下(合計所得 100万円超105万円以下)… 31万円
・子の給与収入 179万円超184万円以下(合計所得 105万円超110万円以下)… 21万円
・子の給与収入 184万円超189万円以下(合計所得 110万円超115万円以下)… 11万円
・子の給与収入 189万円超194万円以下(合計所得 115万円超120万円以下)… 6万円
・子の給与収入 194万円超197万円以下(合計所得 120万円超123万円以下)… 3万円
・子の給与収入 197万円超(合計所得 123万円超)… なし
去年までは、控除が完全に消える線が給与188万円でした。令和8年分は197万円まで動いています。
ひとつ注意があります。特定親族特別控除は2026年に新しくできた制度ではありません。創設は令和7年度の税制改正で、令和7年分の年末調整から使われています。今年変わったのは、その金額の区切りのほうです。

去年は扶養から外れた家族が、今年は入ることがある

見落としやすいのがここです。所得要件がゆるくなったことで、去年はわずかに超えて扶養から外れていた家族が、今年は扶養に入ることがあります。給与収入でいうと123万円から136万円の間にいる家族です。
ただし国税庁は、この改正で新たに扶養親族等の要件を満たすこととなった親族等について、扶養控除等の適用を受けるには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の提出が必要だと明記しています。黙っていても自動では入りません。去年の書類をそのまま出すのではなく、家族の今年の収入見込みをもう一度確認して書いてください。

23歳未満の子がいる人は生命保険料控除の枠が広がる

今年の年末調整で新しく登場するのが、子育て世帯向けの生命保険料控除の特例です。年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、令和8年分・令和9年分の一般生命保険料控除の適用限度額が40,000円から60,000円に引き上げられます。
由来も書き分けておきます。この特例をつくったのは令和7年度の税制改正で、そのときから令和8年分からの適用と決まっていました。令和8年度の税制改正がしたのは、適用期限を令和9年分まで延ばすことです。実際に使うのは今年の年末調整からですが、特定親族特別控除と同じで、制度ができた年と、実際に使いはじめる年は別です。
新しい計算のしかたはこうです(新生命保険料の年間の支払額に対して)。
・30,000円以下 … 支払額の全額
・30,000円超 60,000円以下 … 支払額×2分の1+15,000円
・60,000円超 120,000円以下 … 支払額×4分の1+30,000円
・120,000円超 … 一律 60,000円
ここで間違えやすい点が1つあります。一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の3本を合計した適用限度額は、改正前と同じ120,000円のままです。一般の枠が4万円から6万円に広がっても、3本合計で12万円を超えることはありません。3本とも限度いっぱいまで払っている人は、合計額は変わらないということです。
この特例に対応して、令和8年分の保険料控除申告書には記載欄が追加されています。去年の記憶で同じ位置に書き写すと、欄がずれます。

年末調整で出す書類 全員が出すものと、該当する人だけのもの

勤務先から配られる書類は種類が多く、どれが自分に関係あるのか分かりにくいものです。全員が出すものと、該当する人だけのものに分けます。
全員が出すもの
・令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
2枚目の「令和9年分」は来年の分です。原則として来年最初に給与の支払を受ける日の前日までに出すものですが、実務上は今年の分と一緒に配られます。3枚目は名前が長いですが、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の4つが1枚になった様式です。今年はこの用紙の〈控除額の計算〉の表と、配偶者控除等申告書の〈判定〉欄の金額が改正後の金額に修正されています。去年の記憶で埋めると、金額の区切りを間違えます。

出典 www.nta.go.jp

該当する人だけが出すもの
・令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書(生命保険料・地震保険料・自分で払った社会保険料・iDeCoなどがある人)
・令和8年分 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除の2年目以降の人。税務署から本人に届く)
・各種の控除証明書(保険会社・日本年金機構・金融機関から届く書類)
・前の勤務先の源泉徴収票(今年の途中で転職した人)
所得金額調整控除の欄は、年末調整の対象となる給与の収入金額が850万円超の人が記載するものです。850万円以下なら記載は不要と申告書自体に書かれています。
控除証明書が手元にそろわない場合の扱いも決まっています。国税庁は、証明書類の交付を請求中などで確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出または提示することを条件として、控除をしたところで年末調整を行ってもよいとしています。地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金・住宅ローン控除の証明書類も同じ扱いです。まずは勤務先の給与担当に相談してください。

年末調整ではできないもの=確定申告が必要なもの

年末調整で処理できない控除もあります。次のものは、自分で確定申告をすることになります。
・医療費控除
・寄附金控除(ふるさと納税。ワンストップ特例を使う人は不要)
・雑損控除
・住宅ローン控除の1年目
住宅ローン控除は1年目だけ確定申告で、2年目以降は年末調整でできます。2年目以降の人には税務署から「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」が本人あてに届くので、金融機関の年末残高等証明書とセットで勤務先に出します。
なお、年末調整が終わると源泉徴収票が交付されます。受給者への交付も税務署への提出も、期限は翌年1月31日と定められています。

12月の給与でいくら精算されるのか 目安の計算

11月まで去年と同じ計算で天引きされ、12月に今年の控除で計算し直すのですから、その差が12月の年末調整で精算されることになります。どのくらいの幅になるかを計算してみます。
前提は、社会保険料が年収の15%・ほかの所得控除なし・年間の給与に変動なし。「天引き年額」は改正前の考え方(基礎控除58万円相当・給与所得控除は令和7年分の額)で計算した概算です。
・年収150万円 … 天引き年額 約2,200円 / 12月に確定する年税額 0円 … 差 約2,200円(この年収では令和8年度改正による分はなし)
・年収200万円 … 天引き年額 約22,400円 / 12月に確定する年税額 0円 … 差 約22,400円(うち令和8年度改正による分 約3,500円)
・年収300万円 … 天引き年額 約50,500円 / 12月に確定する年税額 27,000円 … 差 約23,500円(うち令和8年度改正による分 約8,200円)
・年収500万円 … 天引き年額 約128,100円 / 12月に確定する年税額 90,300円 … 差 約37,800円(うち令和8年度改正による分 約27,600円)
・年収600万円 … 天引き年額 約194,500円 / 12月に確定する年税額 147,500円 … 差 約47,000円(うち令和8年度改正による分 約36,700円)
・年収700万円 … 天引き年額 約292,500円 / 12月に確定する年税額 274,100円 … 差 約18,400円(うち令和8年度改正による分 約8,200円)
この金額がそのまま戻るという意味ではありません。実際の源泉徴収税額表は1,000円刻みの区分で作られているため、上の概算とは数百円から数千円ずれます。そこに賞与の有無、年の途中での扶養の異動、生命保険料控除などが加わって、実際の精算額が決まります。
もうひとつ、この差の読み方に注意があります。ここで示したのは改正分だけではなく、月々の天引きに織り込まれていない控除の合計です。そもそも月々の天引きは多めに引かれる作りになっていて、12月に精算する仕組み自体は去年もありました。
たとえば年収600万円の約47,000円のうち、令和8年度改正による上乗せは約36,700円で、残りの約10,300円は去年も同じように精算されていた分です。年収700万円の約18,400円も同じで、改正による分は約8,200円、残りの約10,200円は去年からあった分です。今年始まったことではなく、今年はその幅が広がった、というのが正確な言い方です。

戻ってくる時期は12月とは限らない

還付の出方にも幅があります。国税庁の説明では、給与の支払者はその月分として納付すべき税額から還付した額を差し引いた残額を納付するしくみで、年末調整を行った月分の徴収税額だけでは還付しきれないときは、その後に納付する税額から順次還付するとされています。資料には過納額を翌年に繰り越して還付しているときという記述もあります。
つまり12月の給与で戻るのが基本ですが、勤務先の状況によっては翌年1月や2月にずれることもあるということです。12月の明細に出てこなくても、すぐに間違いだと決めつけず、給与担当に確認してください。
なお住民税は所得税とは別のルールで、金額も適用される年度もずれます。この記事では所得税だけを扱っています。住民税がどうなるかは、お住まいの自治体の案内で確認してください。

控除証明書をマイナポータルでまとめて取る 国民年金は10月中旬が期限

勤務先が年末調整を電子化している場合は、控除証明書をマイナポータルからまとめて取得して、申告書に自動入力することができます。対象になるのは次のような証明書です。
・生命保険料控除証明書/地震保険料控除証明書
・社会保険料控除証明書(国民年金保険料・国民年金基金掛金)
・小規模企業共済等掛金控除証明書(小規模企業共済掛金とiDeCoに限る)
・住宅ローン控除の年末残高等証明書・住宅借入金等控除証明書(データ交付を希望した人)
時期の制約があるものが1つあります。国民年金保険料の控除証明書データです。国税庁は「控除証明書データを受け取るには、発行年の10月中旬までにマイナポータルからねんきんネットを利用しておく必要があります」と案内しています。間に合わなかった場合は、ねんきんネットで再交付の申請を行うことになります。国民年金保険料を自分で払っていてマイナポータルで受け取りたい人は、9月から10月上旬のうちに準備しておくのが確実です。
準備するものはマイナンバーカードと2つのパスワード(利用者証明用の数字4桁と、署名用の英数字6〜16文字)、それにカード読み取りに対応したスマートフォンかICカードリーダライタです。家族分もマイナポータルで代理人登録をしておけば取得できます。
ただし誰でもすぐに使えるわけではありません。勤務先が年末調整を電子化していることと、契約している保険会社などが連携に対応していることの2つが必要です。取得できる時期も発行主体によって違います。

今年の年末調整には関係しない改正

2026年の改正として一緒に語られがちですが、令和8年分の年末調整の書類仕事とは別のものを整理しておきます。
・定額減税は令和6年分だけの措置で、令和8年分にはありません
・通勤手当の非課税限度額の引き上げ(片道65km以上の区分の新設など)は令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から。給与計算側の話で、年末調整の書類とは別です
・食事の現物支給の非課税限度額(月7,500円)も令和8年4月1日以後の支給分から
・ひとり親控除の35万円から38万円への引き上げは令和9年分以後。今年の年末調整では使えません
・防衛特別所得税の創設と復興特別所得税の引き下げは令和9年1月1日以後に生ずる所得から。令和8年分の年末調整は102.1%のままです
・NISAのつみたて投資枠の年齢下限撤廃は令和9年1月1日施行
どれも改正そのものは本当ですが、効いてくる年が違います。今年の書類に反映するものと、来年以降の話を分けて読んでください。

よくある質問

控除が増えたのに毎月の手取りが変わらないのはなぜですか

そういう仕組みになっているためです。国税庁の資料には令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じないと明記されています。毎月の天引きに使う源泉徴収税額表が改正されるのは令和9年分以後で、令和8年分は12月の年末調整でまとめて精算される流れになっています。

年収いくらまでなら所得税がかかりませんか

収入が給与だけで、ほかの所得控除を使わない場合、令和8年分は178万円までが計算上の上限です(給与所得控除の最低保障74万円+基礎控除104万円)。令和7年分は160万円でした。生命保険料控除や社会保険料控除などがあれば、この金額はさらに上がります。自分の場合にどうなるかは、勤務先の給与担当か所轄の税務署に確認してください。

扶養の範囲は136万円と130万円のどちらで考えればよいですか

別の制度なので、どちらも見る必要があります。136万円は税(所得税)の話で、親や配偶者が扶養控除・配偶者控除を受けられるかどうかの境目です。130万円は社会保険の話で、健康保険の被扶養者でいられるかどうかの基準です。判定のしかたも所管も違います。社会保険のほうは、勤務先か加入している健康保険組合に確認してください。

書類はいつまでに出せばよいですか

法律で決まった一律の期限はなく、勤務先が決めます。国税庁の説明は「用紙をあらかじめ各人に配付しておき、年末調整を行う時までに提出を受けてください」というものです。年末調整そのものは本年最後に給与の支払をする時、通常は12月に行われます。配られた用紙か社内の案内で締切を確認してください。

控除証明書が見つからない場合はどうなりますか

国税庁は、証明書類の交付を請求中などで確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出または提示することを条件として、控除をしたところで年末調整を行ってもよいとしています。まずは勤務先の給与担当に事情を伝えて相談してください。再発行が間に合わない場合の扱いも、勤務先によって運用が違います。

まとめ 今年の年末調整は12月に効いてくる

この記事の要点です。
・令和8年分は基礎控除が最大104万円(合計所得489万円以下)、給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げ
・令和8年11月までの源泉徴収事務に変更はない。12月の年末調整で1年分を計算し直し、そこで精算される
・所得税がかかり始める年収は160万円から178万円へ(給与だけ・ほかの控除なしの場合のwebooの計算)
・減り方が大きいのは低年収帯ではなく年収475万円〜665万円(社会保険料を年収の15%と置いた試算)
・扶養は136万円、勤労学生は163万円、配偶者特別控除は207万円が新しい境目
・去年は扶養から外れていた家族が今年は入ることがある。ただし申告書を出さないと適用されない
・23歳未満の扶養親族がいる人は一般生命保険料控除の枠が6万円へ。ただし3本合計12万円は変わらない
・106万円の壁(賃金要件)の撤廃は「予定」。130万円の社会保険の基準は残る
・国民年金保険料の控除証明書をマイナポータルで受け取るなら10月中旬までの準備が必要
配られた書類を前にして手が止まったら、まず「全員が出す3枚」と「自分に関係のある分」に分けるところから始めてください。

※この記事は国税庁・厚生労働省が公表している令和8年分の資料(2026年9月21日時点)にもとづいて、一般的な仕組みを説明したものです。掲載している試算は、収入が給与だけで所得控除を限定した条件のもとでweboo編集部が計算した目安であり、実際の税額や還付額をお約束するものではありません。控除額や書類の要否は一人ひとりの事情で変わります。個別の判断は、勤務先の給与担当か最寄りの税務署にご確認ください。社会保険の加入や被扶養者の認定については、勤務先または加入している健康保険の窓口にご確認ください。制度は今後変更される場合があります。最新の内容は各省庁の公表資料をご確認ください。

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