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「韓国文化通信」Vol.45 ミュージシャン・Whys Young

  • 2026.9.24

今、最も“要注意”すべき韓国カルチャーを牽引するキーパーソンにインタビューし、その変化を定点観測していく本連載。第45回は、「エモーショナル・ハードコア・フォーク」というジャンルを確立し、2026年5月に待望の来日をしたWhys Youngさん。

photo: Kana Tarumi / text: BRUTUS / translation: Hikari Matsuo

「韓国文化通信」Vol.45 ミュージシャン・Whys Young
BRUTUS

エモーショナルを音で表現する歌い手

──ミュージシャンを志したきっかけは何だったのでしょうか?

初めて楽器を触ったのは、幼稚園のときのピアノです。その後も、ギターやバイオリンをやって、いつも音楽が身近にある人生でした。大学では音楽の勉強をして、卒業してから写真とか映画にも興味があったのでその勉強もしてみたんですが、難しすぎて続けられなかった。

実は特に音楽をやろうとかミュージシャンになろうと思ったきっかけはなくて。ずっと音楽を続けていくうちにいつの間にかいろんな人と出会って、事務所と契約して、そのときにやっと、「あ、私、ミュージシャンになったのかも」と自覚したんです。

──学生時代によく聴いていた音楽は何がありますか?

Crystal Castlesというカナダのエモ系のバンドです。音楽もファッションも含めてすごく好きでしたね。

──2020年にリリースした「Blue bird」が多くの人に聴かれるきっかけになったかと思います。ヒットしたことで、どんな影響がありましたか?

どんな音楽を自分がやってるのかっていう自覚が「Blue bird」を出すまではなかったんです。あの曲を出してみて、リスナーの反応がすごく良かったので、そのジャンルが私にとって合ってるのかなと思いました。

──編曲は〈Silica Gel〉のKim Chunchuさんでしたが、きっかけは?

以前編曲をしてくれた「A Will」がとても良かったので、「Blue bird」も編曲をお願いすることにしたんです。

──MVで舞台となっていたソウルの入り組んだ坂道も印象的でした。

場所はソウルの鍾路(チョンノ)です。90年代の町の雰囲気が残っている場所で。私はサウンドに、ヴィンテージの風味を出すことが多くて、その場所を選びました。私たちの世代は経験してない昔の文化に触れたい気持ちが強いのかもしれません。だから趣味で昔の携帯電話とかもすごく集めているんです。

──毎回MVが独特で世界観が素晴らしいのですが、どのような作り方をしているのでしょうか?

私がアイデアを考えてMVを撮るときもあるんですけど、好きな監督に好きなように撮って、とお願いすることも多いです。例えば、「Blue bird」は映像作家のDQMさんにお願いしていて。その後、ベニー・シングスと合作した「My luv」の撮影もお願いしています。

──大学卒業後に映画の勉強もしていたとおっしゃっていましたが、好きな映画監督はいますか?

ティム・バートンがすごく好きで。私がやりたいイメージにとても影響したのが彼の映像ですね。ディテールを追求するのがすごく好きなんです。

──昨年リリースしたEP『The Myth of Sisyphus』ではドリームポップに近い音楽性を感じました。どのような気分で楽曲を作ったのですか?

確かにその通りです。サウンド的にドリーミーでノスタルジックな部分がよく出ているかと思うんですが、それは私の曲を聴いていて、誰かが何かを思い出したり、想起してくれたらいいなという思いがあるからです。

2026年11月リリースのEP『The Myth of Sisyphus』。タイトルは、アルベール・カミュの随筆のタイトルから。

──曲作りは何から始めるのですか?

歌詞とメロディは同時に作ります。別々でやるのが難しすぎて、出てくるまで座って待つんです。やりたいことをやろうとすると逆にできなくなっちゃうので、雷が落ちるまで待つみたいな。

──最後の質問です。Whys Youngさん自身、弘大(ホンデ)を拠点とするレーベルcollective artsからMagic Strawberry Soundまで、韓国のインディーズを象徴するような環境で活動されてきたかと思いますが、今の韓国の音楽シーンをどのように捉えていますか?

どんどん発展してるように感じます。ちょっと前までは“インディーズ”といえばロックしかなかったんですけど、今はいろんなジャンルが増えてきたかなと思います。歌手の数も増えましたし、ファンが探し出してくれることが増えました。

ただ、インディーズとメジャーの中間が大衆からは見えてないという感覚が強いんですよね。インディーズの歌手の間では、私たちの国にはK−POPかインディーズか、この2つしかないって、よくみんなで冗談を言ったりもします。

BRUTUS

Whys Youngが選ぶ、今の韓国を知る場所

曹渓寺  前身となった寺院が1910年に建立(こんりゅう)されたソウルの鐘路にある大韓仏教曹渓宗の総本山寺院。「私がソウルでも好きな光化門にあります。境内に入ると、高いビルに囲まれたような独特の雰囲気があります。一人でよく行くこともあり、2023年に出した『Do you remember I loved the snow?』のMVも一部ここで撮影しました」

profile

Whys Young

ワイス・ヨン/1997年生まれ。シンガーソングライター。2018年デビュー。20年に発表したEP『Blue bird』の同名曲が出世作に。韓国ではユン・ジヨン名義で活動するが25年に国外での活動名を「Whys Young」に変更。26年5月には新代田 FEVERにて初の日本公演を開催した。

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