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「普通に接客しただけなのに」毎日母のレジに並んだ客。朝7時、家の前を通ったバイクに感じた違和感

  • 2026.9.22

毎日レジに並ぶようになった人

母は昔から、困っている人を見るとつい声をかけてしまう人です。当時は近所のドラッグストアでレジの仕事をしていました。

ある日、年配の男性が財布の中を何度も探しながら、レジの前で困った顔をしていたそうです。ポイントカードがどれなのか分からなくなったらしく、母は一緒に確認しながら会計を済ませ、袋詰めも手伝いました。

「ああ、助かったよ。ありがとうね」

男性はほっとしたように笑い、何度も頭を下げて帰っていったといいます。

ところが翌日、その男性がまた店に来ました。買ったのはのど飴を一つだけ。それからも毎日のように現れ、ほかのレジが空いていても母のところへ並ぶようになりました。

電話でその話を聞いた私は、最初はあまり気にしていませんでした。

「昨日、親切にしてもらったからじゃない?」

「うん…そうなのかもしれないけどね」

母は少し間を置きました。

「でも、毎日なのよ。ほかが空いてても、わざわざ私のところに来るの」

「何か変なこと言われた?」

「それはないの。ただ、ちょっと気になって」

声はいつもの母でしたが、その言い方が妙に耳に残りました。

朝7時、家の前を通ったバイク

それからしばらくして、私が実家に泊まっていた朝のことです。

ごみを出しに行った母が、いつもより早足で玄関へ戻ってきました。そのままドアを閉め、鍵をかけます。

「どうしたの?」

「今、店に来るあのおじさんがいたの」

「え?ここに?」

母によると、ごみを出しているとき、少し先で男性がバイクにまたがるところを見たそうです。顔を見て、いつも自分のレジに来る男性だと気づいたといいます。

「赤いヘルメットかぶって、そのままこっちに走ってきたの」

「家を教えたことなんてないよね?」

「ないよ。住所なんて話したことない」

私が窓からそっと外を見ると、赤いヘルメットの後ろ姿が、ちょうど角を曲がっていくところでした。

その日は「たまたま近くを通っただけかもしれない」と話しました。

ところが数日後、母から電話がかかってきました。

「今朝も来たのよ」

「また?」

「うん。だいたい7時くらい。止まりはしないんだけどね」

さらに何日かすると、また母から連絡がありました。

「今日も通った。なんだか、うちの前だけ少しゆっくり走る気がするの」

そこまで続くと、私も偶然だと言い切れなくなっていました。

父も気になっていたようです。母から聞いた話では、ある朝バイクが通り過ぎたあと、父は窓の外を見ながらこう言ったそうです。

「今のところ、通っていくだけなんだよな……。でも、しばらく気をつけよう」

「そうね。私も朝は周りを見るようにする」

母はそれから、外へ出る前に窓から道を見るようになりました。

そんな日が1か月ほど続いたあと、バイクが通る日は少しずつ減り、やがて来なくなりました。店にも男性は姿を見せなくなったそうです。

結局、なぜ母の家の前を通っていたのかは分かりません。

母は今も同じ店で働いていて、困っているお客さんを見れば、変わらず声をかけています。

先日、実家で朝ごはんを食べていたとき、久しぶりにあの男性の話になりました。

母は箸を止め、少し困ったように笑いました。

「私、本当に普通に接客しただけなんだけどね」

「うん。何もしてないからこそ、余計に気になるよね」

「そうなのよ。結局、何だったのか分からないままだし」

ちょうど時計が7時を指しました。

すると母は立ち上がり、何気ないふりをしながら、窓のカーテンを指一本ぶんだけ開けました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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