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「この前、遅い時間だったでしょう?」世話好きなママ友が知っていた。誰にも話していない私の帰宅時間

  • 2026.9.22
「この前、遅い時間だったでしょう?」世話好きなママ友が知っていた。誰にも話していない私の帰宅時間

係決めの紙から消えた、2つの丸

息子が幼稚園に通っていたころの冬、行事の係を決める集まりがあった。保育室の小さな椅子に保護者が十人ほど座り、誰がどの係を担当するか話し合っていた。

進行役をしていたのは、同じクラスのママ友だった。園からのお知らせをこまめに共有してくれる、世話好きな人だった。

「飾り付けと受付、お願いしても大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ」

私が答えると、ママ友は一覧表の私の欄に二つ丸をつけた。

ところが、すぐに「あ、待って」と手を止めた。

「最近、仕事忙しいんじゃなかった? 二つもやったら大変じゃない?」

「年末だから少し忙しいけど……でも、係はできるよ」

そう答えたのに、ママ友は少し考えてから首を振った。

「無理しなくていいよ。今回は外しておこう」

そう言って、さっきつけた二つの丸を消した。

近くにいたお母さんが、少し驚いたように私を見る。

「そんなに忙しいの?」

私が返事をするより先に、ママ友が口を開いた。

「だって、この前も帰りは夜9時過ぎだったよね。結構遅かったじゃない」

私は思わず顔を上げた。

「……え?」

「この前、遅い時間だったでしょう? 大変そうだなって思って」

責めるような言い方ではなかった。むしろ、本気で私を気遣っているように聞こえた。

それだけに、私はすぐに言葉を返せなかった。

誰にも話していなかった、あの冬の夜

たしかにその月、年末の仕事が立て込んで、家に着いたのが夜9時を過ぎた日が一度だけあった。

けれど、そのことを園の誰かに話した覚えはなかった。

「よく覚えてるね」

近くのお母さんが笑うと、ママ友も軽く笑った。

「なんとなく気になっちゃうんだよね。みんな無理してないかなって」

それ以上、誰も気に留めていないようだった。

けれど私は、集まりが終わってからも「この前も帰りは夜9時過ぎだったよね」という言葉が頭から離れなかった。

どうして知っていたのだろう。

ママ友の家の窓から、わが家の前の道が見えるわけではない。たまたまどこかで私を見かけたのかもしれないし、深い意味はなかったのかもしれない。

そう思おうとしても、本人に「どこで見たの?」とは聞けなかった。

それ以来、私は園で仕事や家のことを以前ほど話さなくなった。帰宅が遅くなる日は、少し遠回りでも明るい道を選ぶようになった。

息子はもう小学生になり、あのころのような係決めに参加することもない。

それでも、ときどきスーパーでそのママ友に会う。

「久しぶり。元気?」

「うん、元気だよ」

「仕事、まだ忙しい? 無理しないでね」

「ありがとう」

私は笑って会釈をする。

あの夜、どこで私を見たのか。それとも、別のところから知ったのか。

今でも、そのことだけは聞けないままでいる。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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