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「後ろじゃ撮れないんです」運動会で横入りした父親。先生の一言に黙って列を離れた結果

  • 2026.9.21
「後ろじゃ撮れないんです」運動会で横入りした父親。先生の一言に黙って列を離れた結果

開門前の列に、横から入った父親

去年の秋、姪の小学校の運動会を見に行ったときのことです。

場所取りは禁止で、当日の朝、校門の前に並んだ順に入る決まりでした。

私は姉と二人、列の中ほどで開門を待っていました。

まもなく門が開くというころ、40代くらいの父親が大きなカメラバッグを肩にかけてやって来ました。

そして列を見回したあと、私たちの少し前へ横から入ったのです。

すぐ後ろにいた母親が、戸惑ったように声をかけました。

「あの、すみません。ここ、みんな並んでるんですけど…」

父親は振り返りました。

「いや、分かってます。でも、うちの子は足が速いから、前のほうで撮りたいんですよ」

「でも、皆さん朝から並んでますから」

そう言われても、父親は動きません。

「うちの子は足が速いから、後ろだと走ってるところをちゃんと撮れないんです」

怒鳴っているわけではありません。それでも、自分には事情があるのだから少しくらい構わないだろう、という様子でした。

姉が私の袖を軽く引きます。周囲でも困ったように顔を見合わせる人がいました。

係の先生が伝えたのは、特別なことではなかった

そのやり取りに気づいたのか、門の近くにいた係の先生がこちらへ来ました。

「どうされましたか?」

後ろの母親が事情を話すと、父親もすぐに口を開きました。

「子どもの徒競走を撮りたいんです。できれば前で見たくて」

先生は少しうなずきました。

「お気持ちは分かります。ただ、今日は皆さん、並んだ順に入っていただいています」

父親は前方を見ながら言います。

「でも、子どもの出番を撮りたいだけなんですけど…」

「はい。皆さん、そのお気持ちは同じだと思います」

先生は責めるような口調ではありませんでした。

「申し訳ありませんが、最後尾から並んでいただけますか」

父親はしばらく黙っていましたが、後ろまで続く列を見ると、小さく息を吐きました。

「……分かりました」

そう言って列を離れ、最後尾のほうへ歩いていきました。

後ろからでも、カメラを向けていた

その後、私たちも順番に校内へ入りました。

徒競走が始まるころ、少し離れた場所に先ほどの父親がいました。

最前列ではありません。それでもカメラを構え、自分の子どもが走り出すと、夢中でレンズを向けていました。

ゴールした瞬間にはカメラを下ろし、小さく拍手をしていました。

帰り道、姉がぽつりと言いました。

「撮ってあげたい気持ちは分かるんだけどね」

「うん。でも、みんな同じなんだよね」

朝、先生が言ったことを思い出しました。

特別に厳しい注意をしたわけではありません。ただ、全員に同じ決まりがあることを静かに伝えただけでした。

子どもの晴れ舞台だからこそ夢中になってしまうことはあります。それでも、自分の子を大切に思う気持ちは、そこにいるほかの保護者も同じなのだと感じた出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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