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【インタビュー】年を重ねても柔軟に。坂東龍汰さん、岡山天音さんが語る「本気ではしゃげる大人」

  • 2026.9.16

少年時代に出会い、友情を育んだ翼と暁太郎。時を経て、それぞれの人生を歩むふたりの約30年を描いたアニメーション映画『我々は宇宙人』。独特のタッチで描かれる映像と、実写映画のような繊細な人物描写も印象的な本作で、大人になった翼を坂東龍汰さん、暁太郎を岡山天音さんが演じています。

自分の封印していた記憶が開く感覚。唯一無二の作品世界

——完成した作品を観て、いかがでしたか?

坂東龍汰さん(以下、坂東) いやもう、圧倒されました。僕は作画の現場を見学させてもらったのですが、1枚1枚、細かい部分まで拡大しながら手で描いていて。「ここまでやってるんだ!」と。3年半かけて描いたという絵の迫力とクオリティにまずやられましたね。

岡山天音さん(以下、岡山) 自分が出ている作品って、いろんなノイズが頭のなかに響いてしまって、基本的にザワザワしながら見てしまうんです。でも、それでも間違いなくおもしろい作品だと感じられて。それはやっぱり今作の持つ力ですよね。

坂東 アニメーションだけど、どこか実写映画を見ているようなリアリティもあって。子どもたちのお芝居も自然で、スッと作品の世界に入り込めました。気付いたら自分のなかで閉ざしていた記憶の扉が開いて、自分が経験しているかのように劇中の出来事を受け止めていて。すごいものを見たなっていう、ひとことに尽きますね。これを観て、人にすすめたくならない人はいないんじゃないかな。

岡山 試写が終わったとき、試写室に入る前とは明らかにみんなの表情も空気も違っていたもんね。僕は子役のふたりのアフレコを見に行ったんですけど、門脇監督がすごく戦ってるな、と感じました。この作品は唯一無二の風合いがあるから、俳優が声を当てるときも、「こういうテンションでやればハマるよね」という正解がないんですよね。キャラクターの動きに合わせて、登るシーンなら実際に登る動きをしながらセリフを言ってもらうなど、試行錯誤の過程を見せていただきました。

坂東 逆に僕たちのシーンは、かなりお芝居優先でアフレコしてくれたよね。僕たちの声に合わせて、後から作画で表情や口の動きを付け加えたとも聞きました。完成したものを観るときれいにリンクしていて、感動したし、嬉しかったです。

——内気で“普通“であることに悩む・翼と人気者で“特別“な存在の暁太郎。それぞれのキャラクターの心情について、ご自身と重なる部分はありましたか?

坂東 大人になってからの翼には共感できました。でもどちらかというと、子ども時代は暁太郎の方が、自分に近いと思いました。僕も北海道から上京して、仕事をして、いろんな人と出会ってきたので、そのなかで昔のことに蓋をして、なかったことにしていく感覚もわかる。僕の実家は海が目の前にあって、父親が自分で建てた家に住んでいて、僕自身も超野生児だったんです。だから翼が住んでるような、いわゆる普通の一軒家の玄関とかにめっちゃ憧れてました(笑)。

岡山 僕は自分と重なるような具体的なエピソードはあまりなかったんです。でもコンプレックスから来る憤りのような感情は、もちろん同じ人間として理解できる。ただ、感情的な部分がシンクロしても、そのまま声にすれば成立するわけではないので。そこからかなり表現を調整しないといけないので、そのバランスが難しかったですね。

坂東 でも、監督も同じように悩んでたよね。翼に関しては、「これだ」と判断するのが早かったけど。暁太郎に関してはお互いが細かいニュアンスまですり合わせをしながら、作っていったイメージがあります。

カンヌ国際映画祭で実感した『本気の熱量』

——本作はカンヌ国際映画祭の監督週間で上映されました。現地の観客の反応はいかがでしたか?

坂東 実写映画が多いなかで、アニメーションであるこの作品がスクリーンで上映されて、関係者だけでなく、地元の人や映画が大好きな人が並んでチケットを買って観に来てくれる。その熱量は劇場に入ったときから感じていました。僕らが登壇して「ボンジュール」と挨拶しただけで「キャー!」みたいな反応が返ってきて(笑)。絶対に僕らのことは知らないと思うけど、映画祭はお祭りだから、みんな高揚しているんですよね。でも映画が始まると、静かに集中して観る。笑うところも細かく拾ってくれてたよね。

岡山 リアクションもすごくあったよね。映画に対する向き合い方というか、モチベーションの高さが僕には新鮮でしたね。心の底から映画を楽しもうとしてるんだな、って。

——おふたりにとって声の仕事ならではのおもしろさややりがいは?

坂東 自分の声の表現を見つめ直すきっかけになりますね。普段のお芝居でももちろん声は大事だけれど、声だけとなると、そこにフォーカスすることになる。その時間はすごく貴重な経験です。いままでやってきたことが声の仕事に活かせることもあるし、声の仕事で得たものを映像や舞台の仕事に持って帰ることもある。

岡山 僕は反対に、別の現場にも活かせるな、ということはあまり考えないんです。独立した別の場所、という感覚で。だからこそ、難しいですね。

『柔軟でカッコいい仕事をする人』お互いへのリスペクト

——お互いの俳優としての魅力を、どんなところに感じますか?

岡山 シンプルに、本当にうまい。どのフィールドにいても、どんな役でも、カッコいい仕事をしているなと思います。引き出しが多くて、柔軟で、求められているものに自分の形を沿わせられる。この前、舞台も観に行かせてもらったけど、華もあって。舞台という身体的にも晒される場所でも、声だけという絞られたところでも、それを感じました。

坂東 僕はやっぱり、岡山天音という俳優の背中をずっと見て育ってきたので。

岡山 いや、そんなに年齢差はないでしょ(笑)。子どもの頃からテレビで見てました、みたいな感じで言ってるけど(笑)。

坂東 僕はまっすぐの球は投げられるけど、変化球が苦手。でも天音っちはとにかく球種が多い。「こんなナックルボールみたいな球、三連続で投げるピッチャーいないよ!」みたいな芝居をするから、真似したくてもできない。だからおもしろいし、「次はどんな球が来るのかな?」とワクワクするんです。そういう人は希有な存在だし、ずっと見ていたくなりますよね。まだ映像の現場では、がっつり一緒にお芝居をしたことがないけど、きっとドキドキするんだろうな。

——おふたりにとっては、50代はまだ先ですが、「こんなふうに年を取りたい」というイメージはありますか?

坂東 自分の50代って想像できる?

岡山 きっとこのままなんだろうなって。昔からあまり変わらないから。ただ、固まってしまうのは嫌だな。柔らかい部分をたくさん残したままの人でいたいです。

坂東 もともとすごく柔軟なんだと思うよ。そうじゃなきゃ、あんなユニークな芝居は思いつかないもん。

岡山 僕はユーモラスな人に魅力を感じるんですよ。シリアスな空気になりがちななか、ずっとふざけていられる人って、遊びがあるというか、抜け感があってカッコいいなと思いますね。

坂東 仕事で締めるところはびしっと締めて、プライベートは本気ではしゃげる50代ってカッコいいよね。それに、何歳になっても夢は追ってたいですね。やりたいことがいっぱいある大人でいたいし、60代、70代になっても新しいことにチャレンジし続けたい。うちの親父を見ていても、「65歳からこんなことができるんだ」と思うから。そのときの自分が楽しみで仕方ないですね。

PROFILE

坂東龍汰(ばんどう・りょうた)
1997年ニューヨーク生まれ、北海道育ち。2017年に俳優デビュー。近年の出演作に映画『君の忘れ方』『ルノワール』『爆弾』『未来』『黒牢城』、ドラマ『RoOT/ルート』『366日』『ライオンの隠れ家』『シナントロープ』、舞台『ベイジルタウンの女神』『危険なワルツ』『カッコーの巣の上で』など。映画『わたしの知らない子どもたち』が10月16日に公開予定。

岡山天音(おかやま・あまね)
1994年生まれ、東京都出身。2009年に俳優デビュー。近年の出演作に映画『笑いのカイブツ』『キングダム』シリーズ、『Cloud クラウド』、ドラマ『ひらやすみ』『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』『アンメット ある脳外科医の日記』『冬のなんかさ、春のなんかね』『さよならノワール』など。2027年前期のNHK連続テレビ小説『巡るスワン』に出演予定。

映画『我々は宇宙人』

内気で“普通”であることに悩む小学生の翼は、クラスの人気者で“特別”な存在の暁太郎と出会い、親友になる。しかし、暁太郎は少しずつクラスのなかで浮いた存在となり、噂や視線が彼を囲んでいく。翼はその変化に気付きながらも、なにも言えず、なにもしないという選択を重ねていく。やがて取り返しのつかない事件が起こり——。

企画・脚本・監督:門脇康平
出演:坂東龍汰 岡山天音(ダブル主演)
配給 : TOHO NEXT・NOTHING NEW
2026 年 9 月 25 日(金)全国劇場公開
©NOTHING NEW, MIYU PRODUCTIONS

撮影/白井裕介 スタイリング/李 靖華(坂東さん)、岡村春輝[FJYM inc.](岡山さん) ヘアメイク/後藤 泰(坂東さん)、亀田 雅(岡山さん) 取材・文/工藤花衣

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