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ガルニエ宮の空間美を⽣かして演出された舞台作品6選。

  • 2026.9.11

劇場なのにその豪華さゆえにパラス(宮殿)と呼ばれるパリ・オペラ座。
建築物そのものが壮大なるスペクタクルで、昨シーズンは130万人の見学者を迎えた。そんなガルニエ宮の空間の美しさを生かして演出された舞台作品をご紹介。

Index

  • 『Etude』(エチュード)
  • 『Play』(プレイ)
  • 『Arena』(アリーナ)
  • 『Les E nfants du P aradis』(天井桟敷の人々)
  • 『Another Place 』(アナザー・プレイス)
  • 『Frôlons』(フロロン)

『Etude』(エチュード)

振付 Marcos Morau
初演 2026年3月11日

photography: Yonathan Kellerman / OnP

あの巨大なシャンデリアが、ステージを占拠。

パリ・オペラ座の日常、クラシックバレエにインスパイアを得たコンテンポラリー作品。花束を抱えたソリストがカーテンコールで観客に挨拶をするシーンから始まる。劇場内、見上げると目を奪うシャルル・ガルニエのデッサンをベースにJ・コルボーズが模型を製作した巨大なシャンデリア。その複製をマルコス・モラウは舞台装飾に取り入れた。その下でダンサーたちは踊り、あるところでステージ背景に設けられた鏡に観客席が映り込む仕掛けも。さらに最後はステージの仕切りが外され、フォワイエ・ドゥ・ラ・ダンスが登場。“ガルニエ”フルコースである。

『Play』(プレイ)

振付 Alexander Ekman
初演 2017年12月6日

photography :Agathe Poupeney / OnP( バックステージ)

観客席とダンサーが最後にキャッチボール!

アレクサンダー・エクマンが初めてパリ・オペラ座バレエ団のために創作した際、彼はガルニエ宮の特徴を作品に盛り込んだ。ミュージシャンたちは劇場の天井の高さを活用した段上で演奏し、空のオーケストラピットはボールで満たされたプールのように。その中でダンサーたちは踊り、演じて。最後はそのプールやステージ上から観客席とボール投げ。巨大な風船が観客の頭上を飛ぶなど、会場を興奮の渦に。遊びをテーマにした作品らしく、楽しい気分で観客は劇場を後にする。

『Arena』(アリーナ)

振付 Morgann Runacre-Temple, Jessica Wright
初演 2026年3月11日

photography: Yonathan Kellerman / OnP

21世紀の競技場に変身したガルニエ宮。

映像とダンスを重ね合わせた作品を生み出している2人組によるクリエイション。誰が生き残るのか。ゼ
ッケンを着けて競い合うダンサーたちの群れを81番が抜け出し、人けのないガルニエ宮の階段、廊下を全
力で突っ走る。その姿をカメラが追いかけてゆく。会場に座っている観客はステージ上で踊るダンサーたちと同時に、上部に映し出されるそのライブ映像も合わせて見ることに。ダンサーの顔の超アップなども含め、このデュオらしい映像美も見どころの作品。

『Les E nfants du P aradis』(天井桟敷の人々)

振付 José Martinez
初演 2008年10月21日

photography: Sébastien Mathé / OnP

ピエロと楽隊のお出迎え。ようこそフュナンビュル劇場に。

19世紀、タンプル大通りのフュナンビュル劇場の世界が作品の舞台となっている。俳優に扮したダンサーや楽隊たちが観客を出迎え、開演前から劇場内劇場へと招き入れられる楽しい趣向だ。幕間には観客席に上からふりまかれたチラシによって誘導され、ガルニエ宮の大階段で登場人物のひとりである俳優が演じる『オセロとデスデモーナ』を鑑賞。そして最後にヒロインは会場内の中央通路を抜けて、作品から姿を消して……とガルニエ宮あって生まれたシーンが多数。

『Another Place 』(アナザー・プレイス)

振付 Mats Ek
初演 2019年6月22日

photography: Ann Ray / OnP

フォワイエ・ドゥ・ラ・ダンス、その美しさに巨匠エックも抗えず?

マッツ・エックによるパ・ド・ドゥ“ふたりのためのソロ”に数えられるひとつで、カップルが日常生活の中で抱く不安、怒り、幸福感、個々の孤独などをユーモアを交えて男女が繊細かつ力強く踊る。シンプルな舞台装置の中で展開。作品最後、ステージ後ろの仕切りが外され、後方のフォワイエ・ドゥ・ラ・ダンスが豪華絢爛たる姿を現す。奥行きのできた空間を生かし、女性が座るテーブルを男性が押して穏やかなふたりの時間で閉幕する。

『Frôlons』(フロロン)

振付 James Thierrée
初演 2018年5月19日

photography: Agathe Poupeney / OnP

大理石のモザイク床の上で、両生類や昆虫のファンタジー。

チャールズ・チャップリンの孫にあたるジェームス・ティエレは俳優、作曲家、振付家などマルチな顔を
持つ。バレエ団のための彼の初創作は意表をつくもので、最後は劇場内で終わる作品だが、そこにいたるまでティエレが手がけた異様な生き物のコスチュームに身を包んだダンサーたちはガルニエ宮の大理石の床の上で、這い回り……。観客たちは約50名による同時進行スペクタクルを求め、ロトンド・デザボネ(昔の会員用入口)、大階段、グラン・フォワイエの3カ所を移動する。

*「フィガロジャポン」2026年9月号より抜粋

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