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「いつもの便秘かも」“腹痛”を放置した40代女性→ある日、激痛と高熱で救急搬送され…医師から告げられた“予想外の病気”に後悔

  • 2026.10.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、麻酔科専門医の松岡雄治です。

「いつもの便秘かも…」腹痛を無視し、市販薬で様子を見続けていた40代女性のAさん。しかしある日突然、差し込むような激痛と高熱で倒れて救急搬送されます。診断は、大腸が破れて便が腹腔内に漏れ出す「下部消化管穿孔」でした。

命は助かったものの緊急開腹手術により一時的な人工肛門(ストーマ)となり、装着管理や再手術への不安を抱えて過ごすことになったAさんは、油断したことを後悔しています。

今回は、いつもの腹痛の裏に潜む「大腸憩室の破裂」のメカニズムを解説します。

大腸のポケットが破裂し「便がお腹に漏れ出る」まで

「ただの便秘や腹痛」と思っていた症状が、なぜ人工肛門や命に関わる重大な事態につながるのでしょうか。その背景には、腸の壁にできたポケットが炎症を起こし、脆くなって破裂するメカニズムが存在します。

【腸が破裂して腹膜炎に至る悪循環フロー】

  1. 憩室(ポケット)の形成:便秘などで腸の内圧が高い状態が続き、大腸壁の弱い部分が外側に押し出されて小さなポケット(憩室)ができる
  2. 糞便の停滞と憩室炎:ポケットに固い便が入り込んで詰まり、腸内細菌が繁殖して炎症(大腸憩室炎)を起こし、腸壁が急速に脆くなる
  3. 憩室の破裂と糞便性腹膜炎:悪化したポケットが風船のように破裂し、無菌状態の腹腔内に便と細菌が漏れ出して、命に関わる「糞便性腹膜炎」を引き起こす

「軽症の腹痛」と「腸が破れる直前」の境界線

「お腹が痛むくらいで病院に行くなんて」「少し休めば治まるはず」と思うのは当然の心理です。不調を感じても「大したことない」と思おうとする自分を責める必要はどこにもありません。

特に近年では、膿瘍や破裂のない「軽症の憩室炎」であれば、過剰な抗菌薬を使わず安静や経過観察で治るケースも多いことが最新の世界的ガイドラインで分かってきました。だからこそ、「いつもと違う危険な兆候」を見極めることが重要なのです。

危険な境界線は、炎症が腸の壁を突き抜け、周囲の腹膜(お腹の膜)にまで広がり始めたとき(腹膜刺激症状)です。便秘や、逆に下痢・軟便を繰り返してきた部位に、「特定の場所を押すと飛び上がるほど痛む」「歩いたときの振動でお腹にひびく」といった症状が出始めているなら危険なサインです。

ここで市販の解熱鎮痛薬などを飲んで痛みを誤魔化してしまうと、腹膜炎や破裂のサインを隠してしまい、発見を遅らせる原因になります。この段階を「いつもの腹痛」と放置してしまうと、脆くなった憩室が破裂し、緊急開腹手術とお腹の洗浄、さらには腸を一旦休ませるための人工肛門造設という大きな代償を払うことになってしまうおそれがあります。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

腸が破れてお腹全体に便が漏れ出す前に、身体が出している危険なサインを見逃さないようにしましょう。

1.歩いたり咳をしたりすると「お腹にひびく痛み」がある

足を一歩踏み出す振動でお腹の奥が痛むのは、炎症が腸の壁を超えて腹膜にまで広がっているサインかもしれません。

2. 下腹部の特定の場所を「押すと激しく痛む」

特定のポケット(憩室)に便が詰まって強い炎症を起こしており、お腹全体のガス腹とは異なることを示す典型的な症状といえます。

3. 悪寒(ガタガタ震える寒気)を伴う発熱や、突然の激痛

憩室が破裂してお腹の中に便や細菌が漏れ出し、糞便性腹膜炎を起こしている極めて危険な状態かもしれません。

お腹の症状がいつもよりも強いことに気がついたら

「便秘を放置していた自分が悪いのかな」と後悔する必要は全くありません。油断してしまうのは誰もがすることであり、特別なことではないのです。

まずは今日から、水分を多めに摂ったりお腹を温めたりと、腸に優しい小さな習慣から始めてみませんか。そして、もし「歩くとひびくような腹痛」を感じたら、ぜひ躊躇なく消化器内科や救急外来を受診してください。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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