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「お酒は一滴も飲まないから」“肝臓は大丈夫”と思っていた30代女性→健診で“要精密検査”の通知が届き…判明した“意外な病気”

  • 2026.10.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「お酒は一滴も飲まないから、私の肝臓は大丈夫。仕事で疲れているから、大好きなスイーツをご褒美にしたいな」
そういって、毎日のようにケーキや甘い飲み物を楽しんでいたAさん(50代女性)。

しかしある日、健康診断で突然「要精密検査」の通知が。驚いて受診し詳しく調べると、知らぬ間に肝臓の線維化が進み、肝硬変の一歩手前だったと判明しました。

現在は厳しい食事制限や治療を続けていますが、「大好きな食事や家族との旅行を心から楽しめなくなってしまった。お酒を飲まないからと油断しなければよかった」といまでも後悔していると語っています。

今回は、お酒を飲まない人の肝臓に忍び寄る病のメカニズムについて解説します。

お酒を飲まない人の肝臓で起きる「細胞レベルのダメージ」

アルコールを飲まないのに、なぜ肝臓に強い炎症が起きるのでしょうか。その背景には、過剰な糖質や脂質が肝臓の細胞を傷つけ、硬く変性させていくメカニズムが存在します。

【糖質が肝臓を硬くするフロー】

  1. 中性脂肪の過剰蓄積:運動不足や過剰な糖質(菓子や果糖飲料など)の摂取により、使い切れなかったエネルギーが中性脂肪として肝臓に溜まる(脂肪肝)
  2. 酸化ストレスと炎症:溜まった脂肪は、酸化ストレスを生み出して、肝細胞を傷つけ、炎症を起こす(NASH/近年は代謝異常を強調しMASHとも呼ばれます)
  3. 線維化と肝硬変:炎症と修復が繰り返されることで肝臓に繊維(傷跡)が増えて硬くなり、やがて肝硬変や肝がんへと進行する

「ただの脂肪肝」と「危険な脂肪肝炎」の境界線

「お酒を飲まないのだから大丈夫」「少しお腹が出てきただけ」とやり過ごしてしまうのは自然なことです。日々の生活の中で甘いものを楽しむこともまた大切な癒しのはずです。

ただ、今回のケースを通してぜひ知っておいていただきたいのは、「ただの脂肪肝」と「危険な脂肪肝炎(NASH/MASH)」の境界線です。
お酒以外の原因による脂肪肝の8〜9割は、病気がほとんど進行しない「単純性脂肪肝」にとどまります。しかし、残りの1〜2割の方は、蓄積した脂肪によるインスリン抵抗性などが引き金となり、肝細胞が破壊され続ける危険な状態へと移行します。

特に「清涼飲料水や甘い物の常用」「内臓脂肪の増加」「糖尿病や高血圧などの合併」といった条件が重なると、炎症のリスクが一気に跳ね上がります。沈黙の臓器である肝臓は、ギリギリまで痛みやだるさといった症状を出しません。

自覚症状がないからこそ、「お酒を飲まないから安全」という思い込みの裏に隠れた変化を見逃さないことが大切なのです。複数因子が重なっていないかな、と都度ご自身の健康状態を振り返ってみてください。

早期発見のために確認すべき3つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

具体的にどういった点を振り返るべきか確認しましょう。沈黙の臓器と呼ばれる肝臓ですが、早期発見のためのサインは健康診断の結果や日常の中に現れています。以下の3つをチェックしてみてください。

1. 健診で「ALT値が30を超えている」

ALTは肝細胞のダメージを示す指標です。基準値内(40未満など)であっても「30」を超えている場合は、医療機関での精査が推奨されています。

2. ウエスト周囲径の増加や甘い飲料の習慣

男性85cm、女性90cm以上の腹囲や、果糖入りジュースの日常摂取は脂肪蓄積の強いリスク要因です。

3. 血液検査の「血小板数が20万/μL未満」

血小板の減少は、肝臓の線維化(硬化)が進み始めていることを示す非常に重要なシグナルです。

沈黙の臓器の声が気になったら

疲れたときに甘いものを食べたくなるのも、症状がないからと放置してしまうのも当たり前の心理です。ご自身を責め過ぎないでください。

まずは今日、直近の健康診断の結果を開き、ALTの値や血小板数をチェックすることから始めてみませんか。もし少しでも気になる数値があれば、遠慮なく消化器内科や肝臓専門医を受診してください。早期に発見できれば、生活習慣の改善で健康な肝臓を取り戻すことができます。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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