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「立ち仕事のせい」“片足のむくみ”を放置した50代女性→ある朝、呼吸困難に襲われ…搬送先で告げられた“恐ろしい病名”とは?

  • 2026.10.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「今日も一日立ち仕事を頑張ったから足がむくむのは当然よ。疲れているからお酒を飲んで寝ちゃうわ」そういって、家族の「片足だけ赤く腫れてない?」という心配を軽く流し、そのまま眠りについたAさん(50代女性)。

しかしある朝、立ち上がった瞬間に激しい胸痛と呼吸困難に襲われ救急搬送。受診したところ、足の血管でできた血栓が肺に詰まる「肺血栓塞栓症」と判明しました。

現在は治療によって一命を取り留めましたが、今も再発の恐怖に怯え、長期間に及ぶ服薬や慎重な日常管理によって「家族と気兼ねなく旅行を楽しむ日常」に不安を抱える日々を送り、「あの時、放置しなければ…」といまでも後悔していると語っています。

今回は、足のむくみの裏に潜む「深部静脈血栓症」のメカニズムについて解説します。

足のむくみは睡眠や日常生活に潜む「静かな爆弾」

「疲れているから」と足のむくみを放置することが、なぜ命に関わる事態を引き起こすのでしょうか。その背景には、足の静脈内で作られた血の塊(血栓)が剥がれ、血液に乗って肺の血管を塞ぐ恐ろしいメカニズムが存在します。

【血栓が肺を塞ぐ悪循環フロー】

  1. 血流の停滞:長時間のデスクワークや立ち仕事で足の血流が滞り、太い静脈内に血栓が形成される(深部静脈血栓症:DVT)
  2. 血栓の遊離:立ち上がりや歩行を始めた瞬間に血栓が壁から剥がれ、血流に乗って心臓を経由し肺へ流れる
  3. 肺動脈の閉塞:肺の太い動脈を血栓が突然完全に塞ぎ、激しい胸痛や呼吸困難、心停止を引き起こす(肺血栓塞栓症)ことも

「疲れによるいつものむくみ」と「危険な血栓」の境界線

「少し疲れたから休めば治る」「病院に行くほどではない」と思うのは、日々の忙しさの中で当然の心理です。「痛くないから大丈夫」と様子を見てしまうのは無理もないことです。

ただ、本件を通してお伝えしたいのは、「どのような条件が重なると危険な血栓に変わるのか」という境界線です。一般的なむくみはデスクワークや立ち仕事後に両足へ均等に現れ、一晩休めば和らぎます。しかし、危険なDVT(深部静脈血栓症)は「片足だけに急激に現れる」のが大きな特徴です。

特に、長時間の移動や同じ姿勢での作業、水分不足、加齢や肥満、経口避妊薬の服用、さらには感染症後などの条件が重なると、血液の固まりやすさと血流の停滞が同時に加速します。このとき、片足の違和感を「いつもの立ち仕事のせい」とやりすごさないように気をつけましょう。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

重症化する前に、身体が出しているSOSに気づくことが大切です。以下の3つのサインが現れたら、すぐに注意を払ってください。

1. 片足だけに急激な腫れ・太さの左右差がある

両足ではなく「片方のふくらはぎや太ももだけ」がパンパンに腫れるのは、深部静脈が詰まっている典型的なサインです。

2. 腫れた部位に赤みや熱感、押したときの痛みがある

血栓によって静脈の血流が途絶え、血管周囲に炎症が起きていることを示唆しているかもしれません。

3. 立ち上がった瞬間や歩き始めに突発的な息切れ・胸痛がある

足の血栓が剥がれて肺に達し始めている、危険なサインの可能性があります。激しい胸痛や息切れを伴う場合は一刻を争うため、自力で移動しようとせず、ためらわずに119番(救急車)を呼んでください。

片方だけの足のむくみが気になったら

「この程度のむくみで受診したら笑われるかも」と躊躇するのはごく自然なことです。日常の油断は誰もがすることであり、後悔もまた特別なことではありません。

まずは今日、お風呂上がりに鏡の前で左右の足の太さを比べたり、赤みがないかチェックしてみたりしましょう。少しでも怪しいと感じたら、遠慮なく循環器内科や血管外科を受診してください。早期に発見できれば、適切なお薬で血栓を溶かすなどして、これまで通りの日常を過ごすことができる可能性も高まります。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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