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「もっと早く相談すればよかった…」“奥歯の痛み”を放置した70代母→歯医者を受診したところ…検査で判明した“驚きの原因”とは?

  • 2026.10.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、歯科医師の鷹巣多紀です。

家族が食事を残すようになったとき、食欲がないのかと気になるものです。しかし、歯の痛みを我慢し、食べられる物だけ選んでいる場合もあります。

食べづらさを我慢した母娘の事例を通じて、薬を使いながら歯の治療を受ける際の注意点と、歯医者へ持参したい薬の記録についてお伝えします。

今回は骨粗鬆症の薬についての思い込みから、受診を控えた母娘のお話です。

母が肉や野菜を残すようになった理由

74歳の母と食卓を囲んだ50代の娘は、母の皿に肉や野菜が残っていることに気づきました。食事にも以前より時間がかかっています。尋ねると、奥歯の歯茎が腫れ、噛むと痛いことを打ち明けたのです。

母は骨粗鬆症の治療を受けており、薬が顎の骨に及ぼす影響を気にしていました。母は「骨の薬を使っているから、歯は治療できないと思います」と話したと言います。そのため、食べられる物だけでしのいでいたのです。

娘は、母が毎日の食卓で困っていたことを初めて知りました。母娘はお薬手帳を用意し、一緒に歯医者を受診します。

歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)の検査とエックス線検査で、奥歯を支える組織や骨の一部が失われていることが分かりました。診断は歯周炎(炎症で歯を支える組織が壊される病気)です。腫れや噛む痛みは、その歯周炎に伴って出ていました。

歯医者では薬の情報を処方医と共有したうえで、歯周病の治療を始めます。歯茎の状態に合わせて清掃や歯石の除去を進め、食べづらさも確認していく方針になりました。

「薬のことを最初に伝えて、もっと早く相談すればよかったです」。母が悔やんだのは、治療ができないと決めつけ、食べづらい日々を我慢していたことです。娘も、食事を残す理由を早く聞けばよかったと振り返りました。

骨粗鬆症の薬を使っていても、歯の治療は受けられる?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

骨粗鬆症治療薬の一部では、薬剤関連顎骨壊死(薬に関連して顎の骨の組織の一部が死んでしまう病気)が報告されています。ただし、骨粗鬆症の薬がすべて同じ性質というわけではありません。薬の種類や量、使用期間、治療の目的、口の状態などによって対応が異なります。

飲み薬か注射かだけで判断することもできません。過去に使った薬を含め、歯科医師に伝えることが大切です。

薬を使っていても、歯石の除去や歯の磨き方の確認を受けられます。口の中を清潔に保つための処置や指導です。抜歯も一律に禁止されるものではなく、歯を残せるか、感染への対応として抜く必要があるかを検討します。

実は、虫歯や歯周病などによる歯や歯茎の感染を放置し続けることこそが、顎の骨に細菌を侵入させ、顎骨壊死を引き起こす最大の引き金になります。「何も治療できない」と受診を避けることが、口の状態を守るとは限らないのです。

最初の受診では、腫れの原因や歯の状態を調べます。抜歯が必要かどうかも、薬と歯の状態を確認せずには判断できません。(※なお、これから骨粗鬆症の治療を始める予定がある方は、薬を使い始める前に歯科を受診し、あらかじめお口の清掃や必要な治療を済ませておくことが最大の予防につながります)

歯の治療前に薬を休む必要はある?

歯の治療前に休薬が必要かは、処方医と歯科医師が相談して判断します。また、最新の診療指針(ポジションペーパー)でも、薬を一時的に休んでも顎骨壊死を確実に防げるという根拠は乏しく、原則として安易な休薬は推奨されていません。

特に注意したいのは、患者さんの自己判断で薬を中止したり、注射の予定を延ばしたりしてしまうことです。薬を急にやめると骨密度が急低下し、背骨などが次々に折れて寝たきりにつながる「リバウンド骨折」を起こす重大な危険があります。骨の薬は決して自己判断で中断しないでください。

受診時は、お薬手帳と、注射や点滴の記録を持参してください。薬の名前、使い始めた時期、最後に投与した日、次回の予定日が分かると、確認を進めやすくなります。手帳に注射の記録がなければ、治療を受けている病院に聞いておきましょう。

母はその後も、歯石を取る処置や歯磨きの方法の確認を受け、口の状態を診てもらいました。薬の予定も歯医者へ伝え、食べづらさの変化を確かめながら治療を続けています。食事に支障が出る痛みや腫れは、我慢せず早めに相談しましょう。

薬の記録を持って、食べづらさを相談

もし、骨粗鬆症の治療中や抜歯のあとに「歯ぐきから白く硬い骨が飛び出している」「歯ぐきから膿が出る、嫌なにおいがする」「抜歯した後の傷口が何週間もふさがらない」「下唇や顎にしびれや違和感がある」といった症状が見られた場合は、顎骨壊死のサインの可能性があります。我慢せず速やかに歯科医師に相談してください。

骨粗鬆症の薬を使っていることは、歯医者を受診しない理由にはなりません。薬を自己判断で変えず、薬の記録と食べづらさを伝え、歯の治療をどう進めるか相談してください。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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