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“奥歯”が欠けた高齢父→足腰が弱く「病院に連れて行けない」と悩んでいた50代娘…ケアマネから教わった方法に「知らなかった」

  • 2026.10.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

退院した家族の食事を用意していて、以前より噛みにくそうだと気づくことがあります。歯医者で診てもらいたくても、外出に介助が必要な状態では、どう連れて行けばよいか迷うかもしれません。

退院後に足腰が弱った80代の父親は、奥歯が欠け、食事が進まなくなっていました。50代の娘Aさんは歯医者で診てもらいたいと思いながらも、父を連れて行く方法が見つからずに悩んでいたのです。

介護支援専門員への相談で知ったのは、自宅で診察を受ける「訪問歯科」でした。娘が相談を進めた経過とともに、自宅で受けられる治療や、家族が連絡するときに伝えたいことを紹介します。

父の歯が欠けても、連れて行く方法が見つからない

80代の父親は、退院後に足腰が弱り、立ち上がるときも歩くときも支えが必要になりました。玄関の段差を越えるのも難しく、50代の娘は、以前のように歯医者へ付き添えずにいました。

奥歯が欠けたのは、ちょうどそんな時期でした。食事が進まない父を見て、「診てもらいたいけれど、病院に連れて行けない」と悩んでいたのです。

食べやすいように食事を小さく切っても、歯が欠けたままでよいのか、気がかりでした。けれども通院する方法が見つからず、歯の相談は後回しになっていたのです。

ケアマネジャーへの相談で知った「訪問歯科」

娘が訪問歯科を知ったのは、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談したときでした。外出が難しい人には、自宅で歯の診療を受ける方法があると教わったのです。

娘はかかりつけの歯医者へ電話し、父の歯が欠けたことと、退院後に通院が難しくなった事情を伝えました。訪問で診てもらえることになり、自宅で欠けた歯や入れ歯、噛み方を確認してもらったのです。

診察では、欠けた歯にどんな処置が必要か、自宅で対応できるかを確かめてもらいました。医療機関での診療が必要になる場合も含めて、今後の進め方を相談しました。

自宅では、どこまで歯の治療を受けられる?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

訪問歯科では、口の清掃だけでなく、虫歯の処置や詰め物、歯石の除去、入れ歯の修理・作製などにも対応します。ただし、どの治療でも自宅で受けられるわけではありません。

例えば、欠けた歯を詰め物で補えるかどうかは、残った歯の状態によって異なります。持病や診察中に取れる姿勢、持ち込める機器も確かめて、自宅で進められる治療を歯科医師が判断します。

家では難しい処置が必要な場合は、紹介先や移動の方法も相談してください。「長く座っているとつらい」など、普段の様子を伝えておくと、診察を受ける姿勢についても話し合えます。

「そんな方法があったとは、知らなかった…」Aさんは驚いた様子でした。

寝たきりでなくても、相談してよいのでしょうか

訪問歯科は、寝たきりの方だけのものではありません。病気や障害などで通院が難しくなっている方は、要介護認定を受けていなくても相談できます。

ただし、年齢が高いことや、車がないことだけで利用できるとは限りません。「立ち上がるときに支えが必要」「玄関の段差を越えられない」など、外出するときに何が難しいのかを伝えましょう。

かかりつけの歯医者が訪問していなければ、地域の歯科医師会に対応先を尋ねてください。担当の介護支援専門員に、一緒に探してもらう方法もあります。

介護サービスをまだ利用していない場合は、地域包括支援センター(高齢者の暮らしや介護の相談窓口)でも相談できます。「歯を診てもらいたいが、通院が難しい」と話してみてください。

電話では、歯の状態や食事で困っていることを

連絡するときは、いつどの歯が欠けたか、食事で何に困っているか、通院が難しい理由を伝えましょう。訪問先の住所や、退院後の体調、持病、使っている薬も確認されます。

お薬手帳や退院時の書類があれば、手元に用意してください。本人が食べたい物や、使い慣れた入れ歯への希望も、一緒に伝えて構いません。

書類がそろっていなくても、電話をためらう必要はありません。何を用意するか、診察を受ける部屋で準備することはあるかなど、訪問する歯医者に聞いてみましょう。

費用は、医療保険での治療費や訪問診療料に加え、条件によって介護保険の管理・指導費などがかかります。予約の際に、自己負担の目安と交通費の有無も確かめておくとよいでしょう。

なお、口や顔が急に大きく腫れたり、急に飲み込みづらくなったりしたときは、通常の訪問予約を待たずに医療機関へ連絡してください。呼吸が苦しいときは、119番で救急車を呼びましょう。

「連れて行けない」ときは、その事情も相談を

娘は、父を歯医者へ連れて行く方法が見つからず、食事を小さく切るなどの工夫を続けていました。介護支援専門員に相談して訪問歯科を知り、欠けた歯に必要な治療を歯科医師と話し合えたのです。

通院が難しいからといって、歯や入れ歯の不具合を我慢し続ける必要はありません。訪問でできることは体調や設備によって異なりますが、自宅では難しい処置が必要な場合も、紹介先や移動の方法を相談できます。

まずは、かかりつけの歯医者や介護支援専門員に、「歯が欠けて食べにくそうだが、外出に介助が必要で通院できない」と伝えてみてください。かかりつけが訪問に対応していなければ、地域の歯科医師会に、訪問できる歯医者を尋ねてみましょう。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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