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「しっかり消毒できる」“入れ歯”を熱湯につけ置きした60代女性→翌朝、口に入れてみたところ判明した“異変”に「一体なんで…」

  • 2026.10.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

 

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

毎日口に入れる入れ歯は、できるだけ清潔にしておきたいものです。汚れやにおいが気になると、いつもの洗い方で足りているのか、不安になることもあるでしょう。

60代の女性Aさんは、入れ歯の汚れやにおいが気になり、熱湯でつけ置きしました。きれいにするつもりが、翌朝は浮く感じがあり、噛みにくくなってしまったのです。

熱湯で入れ歯を洗うと、なぜ合わなくなることがあるのでしょうか。女性の受診までの経過をたどりながら、入れ歯に合った手入れの方法を解説します。

きれいにしたかった入れ歯が、翌朝は噛みにくく

衛生に気を配る60代の女性も、入れ歯の汚れとにおいが気になっていました。「熱いお湯なら、しっかり消毒できる」と考え、洗面器に熱湯を注いでつけ置きしたのです。

その晩、取り出した入れ歯に目立った変化はありませんでした。ところが翌朝、口に入れてみると歯茎から浮く感じがあり、いつものように収まりません。

朝食のパンを噛むと、左右の歯の当たり方も違いました。「一体なんで…昨日までは普通に使えていたのに」と戸惑い、入れ歯を持って歯医者を訪ねたのです。

歯医者では、入れ歯の合い具合や噛み合わせ、口の粘膜の状態を確認しました。入れ歯には変形が見つかり、熱湯の影響が考えられるとの説明でした。そこで、調整や修理で対応できるかどうかを相談しました。

 見た目が変わらなくても、熱で合わなくなることがある

私も診療のなかで、熱湯で消毒しようとして、部分入れ歯が変形してしまった患者様を診たことがあります。その方は、つけ置きではなく、入れ歯に熱湯をかけていました。

入れ歯の土台などには、樹脂(プラスチックの材料)が使われています。樹脂は種類によって熱の影響を受け、形や大きさが変わることがあるため、熱湯を使った消毒は避けてください。

入れ歯は、歯茎に接する面の形や、上下の歯が当たる位置を合わせて作ります。ほんのわずかに形が変わっても、歯茎との間にすき間ができたり、一部だけ強く当たったりして、噛みにくくなるのです。

歯科医師会でも、60℃以上の高温環境を避けるよう案内しています。ただし、熱への強さは入れ歯の材質によって違うため、「60℃未満なら変形しない」とは言い切れません。

金属を使った入れ歯にも樹脂の部分があるため、「金属だから熱いお湯でもよい」とは判断できません。使える温度や洗い方が分からないときは、歯医者で確認しましょう。

 合わないときは、直そうとせず歯医者へ

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

急に合わなくなると、少し削ったり曲げたりすれば、元に戻せそうに思うかもしれません。けれども、自分で手を加えると形や噛み合わせをさらに変えてしまうおそれがあるため、温め直すことも含めて避けてください。

浮いたり痛んだりする入れ歯を、無理に押し込むのも控えましょう。合わないまま使うと、口の粘膜を傷つけるおそれがあります。調整や修理で対応できるか、作り直す必要があるかは、歯医者で入れ歯と口の中を診て判断します。

受診するときは、入れ歯を持参し、お湯の温度や、つけ置きしたのか上からかけたのかを伝えてください。つけ置きした時間や、「沸かした直後のお湯を使った」など、覚えている範囲で構いません。

いつから合わないのか、どこが浮くのか、噛むとどこが当たるのかも伝えましょう。洗浄剤を使っていた場合は、容器や説明書を見せると、手入れの方法も確認してもらえます。

 毎日の手入れは、ブラシと洗浄剤を組み合わせて

では、熱湯を使わずに、どうやって清潔に保てばよいのでしょうか。日本歯科医学会が案内しているのは、ブラシで汚れを落とすことと、入れ歯洗浄剤を使うことの両方です。

まず、入れ歯用ブラシで食べかすや表面の汚れを落とします。洗浄剤につけるだけで、ブラシでの手入れがいらなくなるわけではありません。

普段、歯を磨くときに使う研磨剤入りの歯磨き粉は、入れ歯には使わないでください。樹脂の表面に細かな傷をつけるおそれがあるためです。

洗浄剤は、説明書にある水温、つけ置き時間、使える材質を確認して使いましょう。長くつけたり、お湯を熱くしたりする自己流の使い方は避け、口に戻す前には水でよくすすいでください。

商品を替えたときも、前と同じ使い方でよいとは限りません。入れ歯の材質が分からず迷ったら、使いたい洗浄剤の説明書を歯医者に見せて相談できます。

 まとめ:清潔に使いたいからこそ、入れ歯に合う手入れを

女性は受診をきっかけに、ブラシの使い方や洗浄剤につける温度、時間を確かめました。きれいにしようと熱湯を使うのではなく、自分の入れ歯に合った方法で手入れをするよう見直したのです。

毎日の洗い方に迷ったら、入れ歯と洗浄剤の説明書を持って相談しましょう。急に浮いたり噛みにくくなったりしたときも、自分で直そうとせず、歯医者へ連絡してください。


参考:
・ 義歯はどうして必要、義歯になれるには(新潟県歯科医師会)
・ よくわかる補綴歯科講座(第2回)(日本補綴歯科学会)
・ 有床義歯の管理について(2026年3月)(日本歯科医学会)

執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

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