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“39度の熱”を繰り返す20代女性→「疲れているときになりやすいのかな」気になって病院を受診すると…判明した“驚きの検査結果”

  • 2026.10.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「また高熱と背中の痛み……どうして私ばっかり?」

膀胱炎や腎盂腎炎を何度も繰り返すと、そんな風に感じてしまいますよね。「疲れやすい体質だから」「水分が足りないから」と、自分の生活習慣のせいだと思っている方は少なくありません。でも実は、体のつくりそのものに「繰り返しやすい理由」が隠れていることがあります。

今回は、腎盂腎炎を繰り返していた女性が、検査で「膀胱尿管逆流」とわかり、日帰りに近い短い入院で治療を受けられたエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

いつも「左」の腎盂腎炎。検査でわかったこと

Sさん(27歳・女性)は、以前から左の腎盂腎炎(じんうじんえん:腎臓に細菌が入って起こる感染症)を何度か繰り返していました。そのたびに39度近い熱が出て、仕事も休まざるを得ません。「疲れているときになりやすいのかな」と、抗生剤で治っては、また日常に戻ることの繰り返しでした。

「毎回左側ばかりというのが気になります。一度、尿の流れを調べてみませんか?」

泌尿器科の主治医にすすめられ、Sさんは「排尿時膀胱造影(はいにょうじぼうこうぞうえい)」という検査を受けられました。細い管から膀胱に造影剤(レントゲンに写る薬)を入れ、尿を出すときの様子を撮影する検査です。

その結果、左側の尿管に、膀胱から尿が逆流していることがわかりました。診断は「左膀胱尿管逆流 I度」。逆流の中ではもっとも軽い程度のものです。

「膀胱尿管逆流」ってどんな病気?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

尿は腎臓でつくられ、尿管(にょうかん:腎臓と膀胱をつなぐ管)を通って膀胱にためられます。そして排尿のときには、膀胱から尿道を通って体の外へ出ていきます。

尿管と膀胱のつなぎ目には、本来「逆流を防ぐ弁」のようなしくみがあります。ところが、このしくみが生まれつき弱いと、尿を出すときに膀胱の尿が尿管のほうへ逆流してしまうことがあります。これが「膀胱尿管逆流」です。

逆流そのもので炎症や痛みが出るわけではありません。ただ、膀胱炎になったときに、細菌を含んだ尿が腎臓までさかのぼりやすくなるため、腎盂腎炎を繰り返すきっかけになるのです。腎盂腎炎を何度も起こすと、腎臓に腎瘢痕(じんはんこん)という傷あとが残り、将来的に腎機能の低下や高血圧を引き起こすリスクもあります。

子どものころに見つかることが多い病気ですが、軽い逆流は気づかれないまま大人になり、Sさんのように成人してからわかることもあります。逆流の程度は、I度(軽い)からV度(重い)の5段階で表されます。

入院は翌日まで。「デフラックス」という選択肢

逆流が重い場合は、尿管と膀胱のつなぎ目をつくり直す手術が一般的です。ただ、手術にはある程度の入院期間が必要になります。

Sさんはちょうど仕事が忙しい時期。「長く休むのは難しいけれど、もう腎盂腎炎にはなりたくない」と、悩んでいらっしゃいました。

「では、デフラックスはどうでしょう? 軽い逆流の方には向いている治療ですよ」

デフラックスは、ヒアルロン酸のようなジェル状のお薬です。麻酔で痛みを感じない状態にしたうえで、尿道から膀胱の内視鏡(ないしきょう:細いカメラ)を入れ、尿管の根もとにこの薬を注入します。注入した薬がふくらみをつくり、弱くなっていた「弁」の役割を補うことで、逆流を起こりにくくするしくみです。

おなかを切らずに済み、体への負担や副作用が少ないのが特徴です。一方で、重症の逆流には向かず、効果が十分でない場合には再治療や手術が必要になることもあります。なお、デフラックス注入術は保険適用となっている治療法で、定期的な経過観察を通じて逆流が治まっているかを診ていきます。

Sさんは治療を受けた翌日には退院。その後、腎盂腎炎は一度も起こしていません。

「こんなに短い入院で済むとは思いませんでした。いつまた熱が出るかという不安がなくなって、いまは本当にホッとしています」と、Sさんは笑顔で話してくださいました。パートナーの方も「熱でぐったりしている姿を見るのがつらかったんです。思いきって治療してよかった」と、安堵の表情を浮かべていらっしゃいました。

「また腎盂腎炎」を、体質のせいにしないで

腎盂腎炎を繰り返す背景には、膀胱尿管逆流のほかにも、尿の流れを妨げる病気が隠れていることがあります。次のような場合は、一度泌尿器科で詳しく調べてみてください。

  • 腎盂腎炎を2回以上繰り返している
  • いつも同じ側(左だけ、右だけ)に起こる
  • 子どものころにも高熱を伴う尿路感染症になったことがある
  • 膀胱炎から、すぐに背中の痛みや高熱に進んでしまう

「疲れていたから」で片づけていた不調にも、ちゃんと理由があるかもしれません。繰り返すのにはわけがある。そう気づくことが、つらい発熱を終わらせる第一歩になります。


執筆・監修:小内友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士 女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。 【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

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