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医師「膀胱炎ではありませんね」“痛みのない血尿”が続いた50代女性→内視鏡検査を受けると…“発覚した病気”に言葉を失ったワケ

  • 2026.10.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「尿が少し赤い気がするけれど、痛くないし、疲れのせいかな」そんなふうに、血尿をそのままにしてしまう方は少なくありません。

女性の場合はまず膀胱炎を思い浮かべ、水分を多めにとって様子をみる方も多いでしょう。でも、痛みのない血尿の裏に、思いがけない病気が隠れていることがあります。

今回は、続く血尿の原因がなかなかわからず、詳しい検査の末に「腎盂(じんう)がん」と診断された女性のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

「また膀胱炎かな」と思っていた

55歳の女性、Mさんは、以前から尿がときどきピンク色になることに気づいていました。痛みも熱もなく、「また膀胱炎かな」と、水分を多めにとってやり過ごしていたそうです。

ところが、色が薄くなっても、しばらくするとまた赤くなる。そんなことを繰り返すうちにさすがに心配になり、近所の泌尿器科クリニックを受診されました。

「尿に白血球が出ていないので、膀胱炎ではなさそうですね」

尿検査の結果を見た医師は、そう説明しました。エコー検査でも大きな異常は見つかりません。それでも血尿が続いていることから、念のため総合病院の泌尿器科を紹介されることになりました。

画像でははっきりしない、造影されない部分

総合病院では、造影剤を使ったCT検査が行われました。すると、右の腎盂の中に、造影剤が入らない部分が見つかります。ただ、それが腫瘍なのか血のかたまりなのか、画像だけでは判断がつきませんでした。

手がかりになったのは「尿細胞診」です。尿の中にはがれ落ちた細胞を顕微鏡で調べる検査で、結果は「クラスⅣ」。がん細胞が強く疑われる判定でした。

「入院して、腎盂の中を内視鏡で直接見てみましょう」

医師の説明に、Mさんはしばらく言葉が出なかったといいます。

腎盂がんとは? 腎がんとの違い

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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

腎臓でつくられた尿は、まず「腎盂」という袋状の部分に集まり、尿管を通って膀胱へ運ばれます。

同じ腎臓のがんでも、尿をつくる組織そのものから発生するのが「腎がん(腎細胞がん)」。一方、腎盂の内側をおおう粘膜(尿路上皮)から発生するのが「腎盂がん」です。膀胱がんと同じ種類の粘膜から生じるため、性質も膀胱がんに近いとされています。

もっとも多い自覚症状は、痛みのない血尿です。腫瘍が小さいうちはエコーやCTで見つけにくいこともあり、尿細胞診や内視鏡検査を組み合わせて調べることが大切です。進行すると命に関わることもありますが、転移のない段階で治療できれば、よい経過が期待できます。

尿管鏡で見つかった腫瘍、そして手術へ

Mさんは全身麻酔のもとで「尿管鏡(にょうかんきょう)」検査を受けました。尿道から細いカメラを入れ、膀胱、尿管を通って腎盂の中まで観察する検査です。そこで右の腎盂に腫瘍が見つかり、腎盂がんと診断されました。

続いて転移の有無を調べる検査を受け、幸い転移は認められませんでした。治療はロボット支援手術による「腎尿管全摘除術」。腎盂がんは尿の通り道に沿って広がることがあるため、腎臓と尿管をまとめて取り除くのが一般的な方法です。

手術は無事に終わり、経過も順調でした。お見舞いに来た娘さんは「お母さん、病院に行ってくれて本当によかった」と涙ぐんでいらしたそうです。

腎盂がんは、膀胱など別の場所に再発することがあります。Mさんは今後、画像検査や膀胱の内視鏡検査で、定期的に経過をみていく予定です。

「あのまま『膀胱炎だろう』で済ませていたら——と思うと、怖くなります」

退院の日、Mさんはそう話してくださいました。

痛みのない血尿こそ、一度は泌尿器科へ

血尿は、膀胱炎や結石など身近な病気でも起こります。でも、痛みや発熱がないのに血尿が出る、一度おさまってもまた繰り返す——そんなときは、尿の通り道のどこかに腫瘍が隠れている可能性もあります。

自己判断で様子をみ続けず、一度は泌尿器科で尿の検査を受けてみてください。その一度の受診が、早期発見への大切な一歩になるかもしれません。

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