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渋滞最後尾の“ハザード”…点灯したままはかえって危険なことも?元教習所指導員が解説する正しい使い方

  • 2026.9.23
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

高速道路などを走行していると、渋滞の最後尾でハザードランプを点灯させている車を見かけることがあります。後続車に前方の渋滞を知らせるために行われていますが、実際に自分が最後尾になったとき、「ハザードを点けたほうがいいの?」と迷った経験がある人もいるのではないでしょうか。

SNSでも、「前の車がハザードランプを点けてくれると視界に入りやすい」「早めに渋滞に気づけて安心する」といった趣旨の声が見られます。一方、こうした使い方は法律で決められたものなのか、教習所でも実際に教えられているのか気になるところです。

では、渋滞時のハザードランプには、追突事故を防ぐうえでどのような効果があるのでしょうか。元教習所指導員で安全運転のプロであるちだてつしさんに、使用する際の注意点や、ハザードランプ以外に意識したい運転方法について解説していただきました。

渋滞でのハザードランプは義務?教習所で教える「意思疎通」の重要性

---渋滞の最後尾でハザードランプを点滅させている車をよく見かけますが、教習所ではどのように指導しているのか教えてください。

ちだてつしさん:

「渋滞最後尾でのハザードランプ点灯は、道路交通法で明確に義務付けられているわけではありません。しかし教習現場においては、『現実的な意思疎通と安全対策』として教習生に実践を促しています。

学科教習で扱うのは、主に第2段階の『車両間の意思疎通』という項目です。パッシングなどの合図と並び、『法律上の義務ではないものの、後続車へ危険を早期に知らせる実践的なコミュニケーションとして非常に有効である』という位置づけで伝えています。

一方、技能教習では高速教習などの実場面を活用して指導を行います。前方に渋滞が発生している場合や極端に流れが滞っている状況に遭遇した際、『ハザードランプを点灯させて後続車に合図を出してみよう』と指示し、適切なタイミングや活用方法を体感してもらう流れです。

教習指導で特に強調しているのが、前方の様子だけに気を取られず『ルームミラーで後続車の動きを確認すること』です。ハザードランプを点灯させただけで安心せず、追突を防ぐには後続車が合図に気づいてしっかりと減速したかを見届ける重要性を理解してもらいます。

第2段階は応用走行にあたります。技能教習では学科で得た知識を路上で実践しながら、実際の交通場面へ柔軟に対応できるような指導を心がけています」

ハザードランプの優れた効果と、正しく使わない場合の「追突リスク」

---ハザードランプを点灯させることにはどのような効果があるのでしょうか?

ちだてつしさん:

「渋滞時にハザードランプを点灯することは、後続車からの追突事故を防ぐうえで非常に有効な方法です。高速道路などで前方の交通が渋滞している場合、非常点滅表示灯を点灯させることで、単なるブレーキランプ以上に『前方に異変や完全停止がある』という情報を遠方の後続車へ強くアピールできます。自車との速度差が大きい場面であっても、急減速や停止状態であることを瞬時に伝えられる点が最大の効果といえます。

一方で、正しく活用しなければかえって周囲の混乱を招く場面も存在します。点灯させたまま無意味に走り続けると、周囲の交通に不安感を与えたり、夜間やトンネル内では後続車の目を疲れさせてしまい、かえって追突されるリスクが生じるためです。また、危険を感じてから早すぎるタイミングで点灯させると『この車は路肩に停車するのではないか』と誤解され、不要な追い越しや無理な割り込みを誘発する恐れも否定できません。

そのため教習においては、スイッチを入れるタイミングと共に『消灯のタイミング』意識するよう指導しています。後ろに追いついた車両がハザードランプを点けたことや、安全な速度まで十分に減速したことをルームミラーでしっかり確かめてから消灯するのが基本です。

ハザードランプはただ点灯させて終わりにせず、後続車が危険に気づいたかを見届け、安全が確保できたら速やかに消すという一連の判断とセットで活用することが重要となります」

ハザードに頼らない!追突を防ぐ「ブレーキランプ」と「減速」の組み合わせ

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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

---後続車に前方の渋滞を知らせたいとき、ハザードランプの点灯以外に効果的な方法はありますか?

ちだてつしさん:

「渋滞最後尾などで後続車に前方の状況を知らせる場合、ハザードランプの点灯だけに頼らず、視覚的な変化を併用することが非常に効果的です。

特に有効なのが、ブレーキペダルを数回に分けて踏み込む操作になります。ブレーキランプをポンポンと点滅させることで、単に点灯させている時以上に後続車の視覚へ強い刺激を与えられるためです。これにより、漫然運転をしている後続車であっても前方の変化にいち早く気づき、ブレーキの遅れを防ぐ効果が高まります。

また、減速を開始するタイミングそのものも重要な合図の一つです。前方に渋滞が見えたらゆるやかに減速を始め、後続車に対して『この先で速度が落ちる』という変化を早めに察知してもらいます。これらを同時に組み合わせることで、遠くの後続車へも確実に危険を伝えることが可能です。

後続車へ渋滞を知らせるときは、ハザードランプという一択にとどまらず、ブレーキランプの点滅や早めの減速動作などを柔軟に組み合わせると効果が高まります。いろいろな方法で前方の変化をアピールし、追突防止のために後続車へ早い段階で危険を知らせることが大きなポイントです。」

ハザードを点けるだけで安心せず、後続車の動きにも注意を

渋滞最後尾でのハザードランプは、法律上明確に義務付けられたものではないものの、教習現場では後続車へ危険を知らせるための実践的な方法として指導されているとのことです。

ただし、ハザードランプを点灯させれば、それだけで追突を防げるわけではありません。前方の渋滞に気づいたら早めに減速するとともに、ルームミラーで後続車の動きを確認し、こちらの合図に気づいて減速しているかを見ることも大切です。

また、必要以上にハザードランプを点灯し続けると、周囲に誤解や混乱を与える可能性もあります。周囲の交通状況を確認しながら適切なタイミングで使用し、後続車に前方の状況を早めに伝えることを意識しましょう。


監修者:ちだてつし

自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


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