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追突された衝撃でバイクが隣の車に接触…巻き込まれた車が「バイク」に請求できないワケ

  • 2026.9.23
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出典:photoAC(画像はイメージです)

車同士の交通事故では、最初に衝突した2台だけでなく、その衝撃によって別の車両まで巻き込まれることがあります。

たとえば、バイクが後方から車に追突され、その衝撃でバイクの運転手が隣の車線に倒れ込み、走行してきた別の車とバイクが接触したといったケースです。

このような事故では、「最初に追突した車がすべて悪いの?」「突然バイクが倒れ込んできた車にも過失がつく?」など、それぞれの責任がどのように判断されるのか分かりにくいところです。さらに、巻き込まれた車に損害が生じた場合、直接接触したバイクと、事故のきっかけを作った車のどちらに賠償を求めるのかも気になるでしょう。

今回は、こうした複雑な複数車両による事故の過失割合や損害賠償の仕組みについて、専門家のスライカズヤさんに詳しく解説していただきました。

追突されたバイクが隣の車線へ…巻き込まれた車にも過失はある?

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画像:TRILL作成

・車①:後方からバイクに追突した車
・車②:隣の車線を走行しており、追突の衝撃で倒れ込んできたバイクの運転手と接触した別の車
という状況です

---車①がバイクに追突し、その衝撃でバイクの運転手が隣の車線を走る車②に接触した場合、それぞれの過失割合はどのように判断されるのでしょうか?

スライカズヤさん:

「まず、車①とバイクの関係は、追突事故として車①100:バイク0となります。後方から追突した以上、バイク側に過失を求める余地はほとんどありません。

次に、バイクと車②の接触です。バイクが隣の車線に倒れ込んだのは追突の衝撃によるもので、バイク側が自らその位置に進出したわけではありません。そのため、車②との関係でもバイク側の過失は0です。

問題は車②です。バイクが車②に接触したこと自体、車①の追突によって生じたものなので、まずは車①の過失100%から考えます。そのうえで、車②に速度超過や前方不注視といった注意義務違反が認められれば、車②にも過失が生じ、車①と車②の間で過失割合が分かれます。

たとえば、前方で追突が起きたことを認識できる位置にいながら減速せずそのまま進行していた場合や、制限速度を大きく超えていて、通常の速度であれば避けられたと判断できる場合です。こうした事情があれば、車②にも過失が問われることになります。

逆に言えば、車②側にそうした落ち度がなければ、一般的には過失は0と考えてよいでしょう。目の前で突然起きたことに反応する時間がなかったのであれば、避けられなかったことをもって責任を問うことはできません」

直接ぶつかったのはバイクでも…「誰」に損害賠償を請求する?

---巻き込まれた車②に傷などの損害が生じた場合、車②の運転手は誰に対して損害賠償を請求することになるのでしょうか?

スライカズヤさん:

「車②が請求する相手は、車①です。

事故の原因を作ったのは車①であり、バイクが車②に接触したことも、車①の追突から生じた結果です。バイク側に過失がない以上、車②がバイク側に請求することはできません。実務上も、車②の損害は車①の対物賠償責任保険から支払われるのが一般的です。逆走車を避けようとしてガードレールに接触した場合と近い考え方で、事故を誘引した側が負担する形になります。

仮に理由のない急ブレーキなどでバイク側にも過失があった場合、実務では、車①とバイクのうち過失が大きいと見込まれる側の保険会社が車②に100%を賠償し、割合に応じた分をもう一方の保険会社に請求する流れをとることが多くなります。車②から見れば、窓口が1社に集約される形です。ただし、これは実務上の慣行であり、それぞれの契約者の意向によっては別の対応になることもあります。

いずれにせよ、事故後には車①とバイクの両方と連絡先を交換しておき、自身の保険会社へ事故報告をおこないましょう。その後は、相手の保険会社からの連絡を待つ流れになります」

過失0だと保険会社が交渉できない?複数車両事故で確認したいポイント

---このように複数の車両が関係する事故で示談交渉をおこなう際、当事者が特に確認しておいたほうがよいことや、注意すべきポイントはありますか?

スライカズヤさん:

「複数の車両が関係する事故では、当事者の数だけ主張が出てきます。まず確認していただきたいのは、自分が誰と賠償の関係に立つのかという点です。

今回の事例では、車①の追突からバイクが車②に接触するまでが、一連の事故として扱われるケースが多いです。だからこそ車②は、直接ぶつかったバイクではなく、原因を作った車①に請求することになります。誰にぶつかったかと、誰に請求するかは一致するとは限りません。ここを取り違えたまま交渉に入ると、話が噛み合わなくなります。

次に、ドライブレコーダーの映像です。多重事故は当事者の記憶が食い違いやすく、特に第2、第3の事故となれば一瞬の出来事のため、証言だけでは経過を再現できません。映像があるかどうかで、主張の通り方が大きく変わります。

そして、自分に過失がない場合、自分の保険会社は示談交渉を代行できません。保険会社が示談を代行できるのは、自社に支払い義務が生じる場合に限られるためです。過失0であれば自社の支払いは発生せず、代行の対象から外れます。完全な被害者でありながら、相手の保険会社と自分で交渉することになるわけです。弁護士費用特約に加入していれば弁護士に任せられるので、契約内容を早い段階で確認しておくことをおすすめします」

「直接ぶつかった相手=賠償する相手」とは限らない

複数の車両が関係する事故では、直接接触した車両だけを見て過失や賠償責任が決まるとは限りません。今回のケースでは、バイクが車②に接触していたとしても、その原因が車①による追突にあり、バイク側に過失がなければ、車②は事故の原因を作った車①に損害賠償を請求することになるとのことです。

ただし、車②にも速度超過や前方不注視などがあれば、過失が認められる可能性があります。複数の車両が絡む事故では、それぞれの車両がどのように動き、どの衝突が次の事故につながったのかを整理することが重要です。

事故後は関係する当事者の連絡先を確認するとともに、ドライブレコーダーなどの記録を確保しておきましょう。また、自身の過失が0の場合には保険会社が示談交渉を代行できないため、弁護士費用特約など契約している保険の内容を確認しておくことも大切です。


監修者:スライカズヤ

損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた、保険・自動車分野専門のライター。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所主催 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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