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「連休前に修理できていないと困るんですが」ガードレールへの単独事故→車の見積もり後に70代女性を待っていた“予想外の事態”

  • 2026.9.22
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

「まだ私の車の修理ってできないんでしょうか?」

契約者のAさん(70代・女性)から、そう電話がかかってきたのは、9月のある日のことでした。

以前に損害保険会社で事故対応を担当していた私は、Aさんが起こした単独事故の対物案件を担当していました。今回ご紹介するのは、その時の見積もりと入庫をめぐるすれ違いのお話です。

ガードレールに接触した単独事故

Aさんは自宅近くの道路で、ガードレールに接触する単独事故を起こしました。ガードレールへの賠償が発生するため、対物案件として私が担当することになりました。

Aさんは車両保険には加入していませんでした。Aさんの車の修理については、Aさん自身が工場を探して進めることになっていました。私が担当するのは、あくまでガードレールの賠償に関する部分です。

ガードレールの補修方法や金額について、修理業者と調整し、ある程度話がまとまってきたところで、私はAさんに進捗を報告しようと電話をかけました。

連休前の電話口でAさんは…

電話がつながると、Aさんは開口一番、こう言いました。

「まだ私の車の修理ってできないんでしょうか?」

ガードレールの件で連絡したつもりが、話は自分の車のことへと移っていきます。

「連休に孫が来るんです。それまでに間に合わないと、移動手段がなくて困るんですけど」

Aさんの車の修理には、私は関わっていません。工場とのやり取りはAさん自身が進めているため、まずは工場へ直接確認するようお伝えしました。そのうえで、これまで工場とどんなやり取りをしてきたのかを尋ねてみることにしました。

見積もりを取ってから車は動いていなかった

「見積もりを取ってもらって、それから一旦帰って。そのままですね」

Aさんの車は修理が必要ではあったものの、走行には支障のない自走可能な状態でした。そのため工場で見積もりを取った後、車はそのまま自宅に保管。まだ修理工場への正式な入庫とはなっていなかったのです。

見積もりが出れば、あとは修理を待つだけ。Aさんはそう受け取っていたようです。しかし実際には、見積もりを取ることと、車を預けて修理に入ることは別の手続きでした。

なぜ、見積もりを取っただけでは修理が始まらないのか

見積もりを取っただけで入庫していない車が後回しになりやすいのには、時期的な理由もあります。

連休を控えたこの時期、多くの修理工場もお休みに入ります。そして、連休が明けた後も、予約が入っている車から順に入庫させていくのが通常の流れです。

Aさんから聞いた話では、依頼した修理工場もすでに多くの予約を抱えている状態だったそうです。

近年は雹害や豪雨などの自然災害による車の被害が相次いでおり、多くの修理工場が未入庫の車を抱えています。地域や工場によっては「今年いっぱいは待ってもらわないと難しい」と言われることも珍しくありません。

Aさんの車も、そうした順番待ちの列に加わっていた一台でした。

説明はされていた

「確かに修理工場は、しばらくは入庫できないと言っていたような」

改めて尋ねると、Aさんはそう答えました。修理工場は説明していましたし、Aさんもその話を聞いてはいたのです。

それでも「見積もりが出たのだからすぐに修理が始まる」という受け取り方になっていました。「見積もり」という言葉は、修理の入り口のようにも聞こえます。Aさんがそう受け取るのも、決して不自然なことではありませんでした。

もちろん業者側にも、より伝わりやすい形で説明する余地はあったでしょう。ただ、連休を前に多くの車を抱える慌ただしい現場では、どうしてもこうした「認識のズレ」が起きてしまうのも実情です。

連休が明けても、Aさんの車がすぐに入庫することはありませんでした。孫の来訪までに、修理が間に合うことはなかったのです。

分からないままにしないことが大事

分からないことをそのままにせず、その場で聞く。今回のケースからは、その大切さを改めて感じました。

当たり前のことのようにも思われるかもしれませんが、事故は誰にとっても慣れない出来事です。そんな状態で、工場や保険会社からの説明をその場ですべて飲み込むのは簡単ではありません。

少しでも引っかかる点があれば、その場で聞き返しておきましょう。

今回のAさんの場合、見積もりの時点で「入庫日は決まっていますか」と一言確認していれば、認識のすれ違いが防げた可能性があります。

見積もりが出れば、あとは待つだけ。そう考えてしまうのは、自然なことかもしれません。一方で、修理工場にも順番待ちなどの事情があります。気持ちが焦るときこそ、「次はどうなるのか」を遠慮せずに確認することが重要です。


ライター:スライカズヤ
保険・自動車分野を専門とするライター。損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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