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妻「なんとかなるだろう」6,800万円のマイホームを購入した40代夫婦、引き渡し初日に直面した“大誤算”

  • 2026.10.6
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「引き渡しの日、夫を先に道路で降ろしてから、ガレージに車を入れました。助手席側の壁に寄せても、運転席のドアは半分しか開かなかったんです」

そう話すのは、2年前に都内の住宅地で、ハウスメーカーが分譲する3階建ての建売住宅(2LDK・延床約85㎡/土地約55㎡、約6,800万円)を買ったNさん(40代女性・会社員、夫と中学生の子ども1人との3人暮らし)です。夫とは結婚12年目の共働きです。

家の1階はビルトインガレージ(建物の中に組み込んだ車庫)で、車は幅1.7mのコンパクトカーです。内覧のとき、販売担当からは「間口は2.7mありますが、柱と壁があるので内法は2.4mです。軽自動車より大きい車だと乗り降りが厳しいので、軽自動車専用と割り切るか、月極駐車場を借りるかになります」と説明を受けていました。間口は車庫の入り口の幅、内法は柱や壁の内側で測った実際の幅のことです。

それでも、車の買い替えには費用がかかります。Nさんと夫は、乗り慣れたコンパクトカーのまま入居することにしたのです。

狭い土地のガレージは、柱の内側で測る

土地の狭い都心では、1階を車庫にして、2階と3階に住む家が多く見られます。建築基準法施行令第2条(第1項第4号・第3項)では、自動車車庫など、車や自転車をとめるための部分の床面積は、敷地内の建築物の各階の床面積の合計(車庫を含む)の5分の1を限度に、容積率の計算に使う延べ面積に入れないと定めています。容積率とは、敷地の面積に対する延べ面積の割合のことで、車庫をこの範囲に収めれば、住まいの広さを確保しやすくなります。

ただし、間口を広く取ると、建物を支える柱や壁が減り、耐震性に影響するおそれがあります。そのため間口は抑えられがちで、Nさんの家も、図面の間口2.7mから柱と壁の厚みを引いた内法は2.4mでした。

国土交通省が公開している「駐車場設計・施工指針」では、駐車ます(1台分の区画)の幅を、軽自動車で2.0m以上、小型乗用車(Nさんの車のようなコンパクトカーなど)で2.3m以上などとしています。

Nさんの家の内法2.4mは、数字の上では小型乗用車の駐車ますの基準幅である2.3mを上回っています。ただ、指針の数字は駐車場の区画として最低限の幅で、幅2.3mの区画に幅1.7mの車を停めると、左右のすき間は30cmずつしかありません。駐車場なら隣が空いていればドアを大きく開けられますが、両側が壁のガレージでは、いつも壁までのすき間しか使えないのです。ハウスメーカーの解説でも、1台分のビルトインガレージは幅3.0m程度が目安とされています。

実際に停めてみて痛感したこと

引き渡しの日、Nさんは夫を先に道路で降ろし、助手席側を壁ぎりぎりに寄せて車を入れました。「数字上は70cmの余裕があるから何とかなるだろう」と考えていたものの、実際は運転席側のドアは半分ほどしか開きません。体を横にして、すき間から降りるしかありませんでした。

前面道路は幅4mで、車庫に入れるまでに切り返しが3回必要でした。この状態を3か月ほど続けましたが、毎日の乗り降りが億劫になり、車に乗る回数も減っていきました。

車を軽に替えて、ガレージに合わせた

ガレージの両側の壁は、地震や風の力に耐える耐力壁です。削ったり動かしたりすれば、建物の強さを確かめる構造計算からやり直しになるため、あとから広げるのは現実的ではありません。

近くの月極駐車場は月3万5,000円です。新しい車の購入費用と下取り価格との差額は約80万円で、駐車場代を2年払えば、その額を超えてしまいます。そこでNさんと夫は、入居から半年後に、幅1.48mの軽自動車に買い替えました。

いまは助手席側の壁に寄せると、運転席側に約90cmの余裕ができます。運転席から普通に降りられるようになり、切り返しも1回で済んでいます。

ガレージは、車を先に決めてから

狭い土地でも、ビルトインガレージがあれば、雨の日も濡れずに乗り降りでき、駐車場代もかかりません。軽自動車に乗る前提で選べば、内法2.4mのガレージでも無理なく使えます。

一方で、建物の一部である車庫は、あとから広げられません。だからこそ、現在の車を基準にするのではなく、「この家で乗り続ける車」を先に決めてから、家を選ぶことが欠かせません。

・ビルトインガレージは、図面の間口ではなく、柱と壁の内側の寸法(内法)で判断する
・駐車場の指針の幅は、最低限の数字。両側が壁のガレージは、1台分で幅3.0m程度がひとつの目安
・車庫の両側の壁は耐力壁のことが多く、あとから広げられない。車を車庫に合わせることになる
・前面道路が狭いと、切り返しが必要になることもある。買う前に、自分の車で出し入れを試させてもらう

狭小住宅の図面を見るときは、間口の数字から、柱と壁の厚みを引いてみてください。

参考:
ビルトインガレージで必要な寸法は?建てるときの注意点や実例も紹介(パナソニック ホームズ)
駐車場設計・施工指針について(国土交通省)
建築基準法施行令(第2条)(e-Gov法令検索)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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