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妻「ねえ、これ前見えてる…?」“ガソスタ店員の忠告”を無視した40代男性→買い物先で直面した“恐怖の瞬間”

  • 2026.10.3
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「ワイパーはまだ動いているから大丈夫」。そう思って、交換を後回しにしていないでしょうか。

ワイパーはエンジンやブレーキのように、普段から性能を意識する部品ではありません。しかし、雨の日の視界を確保するという重要な役割があります。

今回は、筆者と以前から付き合いのある40代男性のSさんが、ワイパーの劣化を放置したことで、大雨の中で危険な思いをしたケースを紹介します。

「まだ動くから大丈夫」とワイパー交換を先延ばし

Sさんは車の整備についてはそれほど詳しくなく、「エンジンがかかって普通に走れるなら問題ない」という感覚が強い40代男性です。ある日、給油のために立ち寄ったガソリンスタンドで、スタッフからワイパーについて声をかけられました。

「ワイパー、少し拭き取りが悪くなっていますね。ゴムも劣化しているようなので、雨の日に長距離を走るなら交換したほうがいいですよ」

実際に確認すると、ワイパーを動かしたあとにスジが残り、一部分には水滴が残る状態だったそうです。

それでもSさんは、

「動いているし、雨の日も普通に使えているから大丈夫だろう」

と考え、交換を先送りにしました。

ワイパーの交換は、車種や製品によって異なりますが、一般的な乗用車ならゴムだけの交換で数千円程度、ブレードごと交換しても数千円から1万円前後に収まるケースがあります。

しかし、「今すぐ困っているわけではない」という理由で、つい後回しにしてしまう人も少なくありません。予算を別の整備に優先したかったり、販売店などからの勧めを「営業トークかもしれない」と受け取ったり、そもそも劣化の危険性を知らなかったりするためです。

Sさんもまさに、「まだ使える」という感覚を優先してしまった一人でした。

妻との帰宅途中、突然の大雨で前が見えない

その後、Sさんは妻と買い物へ出かけました。出発時には雨も降っておらず、ワイパーの状態を気にすることもありませんでした。ところが帰宅途中、突然雨脚が強くなってきたといいます。

「最初は普通の雨だったんですが、急にフロントガラスを叩くような雨になって」

Sさんはワイパーを作動させました。しかし、速度を最速にしてもフロントガラスには水滴が残り、拭き取った部分にも薄い水膜が残ります。さらに対向車や大型車が通過すると、道路にたまった雨水が大きく跳ね上がりました。その瞬間、前方がほとんど見えなくなったそうです。

助手席にいた妻からも、

「ねえ、これ前見えてる?」

と声をかけられました。

Sさんは速度を落としましたが、前方車両のブレーキランプも見えにくくなり、車線や道路端の確認も難しい状態でした。幸い、無理に走り続けることはせず、安全を確保できる場所へ移動。雨が弱まるのを待って帰宅しました。

点検するとワイパーゴムが硬化していた

後日、Sさんから相談を受け、筆者の工場で車を確認しました。

Sさんとは以前から車について話す機会もありましたが、今回の件については「動いていたから問題ない」という判断が、結果的に危険な状況につながったと説明しました。点検すると、ワイパーゴムは硬化・劣化しており、ガラス面に均一に密着できていない状態でした。

「ワイパーって、モーターでちゃんと動いているかだけじゃないんです。大事なのは、動かしたときにガラスの水をきちんと取り除けるかどうかです」

と説明すると、Sさんも、

「多少拭き残しがあっても、動いていれば大丈夫だと思っていました」

と話していました。

今回はワイパーゴムなどを交換し、費用は数千円程度で済みました。もしブレード本体や関連部品まで交換するケースでは、車種によって1万円前後、場合によってはそれ以上になることもあります。

ワイパーは「動く」より「きちんと拭けるか」を確認

ワイパーは、次のような症状が出ていたら点検・交換を検討したい部品です。

・拭いたあとにスジが残る
・一部分だけ水滴が残る
・拭き取りムラがある
・「ビビビ」と振動するような音がする
・ゴムが硬くなっている、ひび割れている
・作動させても視界がクリアにならない

特に注意したいのが、「動いているから大丈夫」という判断です。ワイパーが動いていても、ゴムが劣化してガラス面にうまく密着していなければ、十分な拭き取り性能を発揮できません。

また、大雨ではワイパーだけでは対応できないほど大量の水がフロントガラスにかかることがあります。対向車や大型車の水しぶきで、一時的に視界が大きく遮られることもあります。そのため、雨が強くなったら速度を落とし、前方車両との車間距離を十分に確保することも重要です。視界が確保できないと感じた場合は、無理に走り続けず、安全な場所へ退避する判断も必要になります。

「雨が降ってから考えればいい」と思っても、大雨の最中にワイパーの性能不足に気づいてから、その場で交換することは簡単ではありません。台風や大雨の予報がある時期には、タイヤやライトだけでなく、ワイパーの拭き取り状態も事前に確認しておきたいところです。

Sさんも今回の一件をきっかけに、「動くかどうかではなく、ちゃんと使える状態かを見るようにします」と話していました。雨の日の安全な視界を確保するためにも、ワイパーは「まだ使える」ではなく、「きちんと拭き取れているか」という視点で確認することが大切です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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