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120万円で買ったR34スカイラインが今や“2300万円超”も…約19倍でも36歳男性が売らないワケ

  • 2026.9.27
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

「相談すれば絶対に止められる。それなら、黙って買ってから言えばいい」

そんな強引な理由で妻や親に内緒で古いスカイラインを購入したお話を、現在36歳の男性・Aさんから伺いました。家族に猛反対されながら約450万円をつぎ込んだ彼ですが、現在はライフスタイルの変化でほぼ動かしていないそうです。それでも売らないと語る、旧車所有のリアルな体験談をご紹介します。

納車4日で廃車に…。18歳の苦い記憶とスカイラインへの執着

筆者がAさんからまず伺ったのは、18歳の頃の少しほろ苦い経験についてです。

当時のAさんが、初めての愛車として本当に欲しかったのは日産スカイラインでした。しかし、事情があって100系トヨタ・チェイサーのツアラーVを購入することになったそうです。念願のスポーツカーを手に入れて喜んだのもつかの間、納車からわずか4日後に北海道の毛無山でスピンし、電柱へ衝突してしまいます。幸いにも大きな怪我はなかったものの、車は一瞬にして廃車になってしまったという過去を、Aさんは今でも深く反省していると語ってくれました。

その痛い経験の後、なんとかご両親を説得し、若い頃に一度は憧れるR34型スカイラインを手に入れたそうです。それから時が流れ、30歳になって経済的な余裕が生まれたことで、青春時代の相棒にもう一度乗りたいという思いが再燃していったと振り返ります。大人になっても消えることのなかった車への情熱が、現在の物語の始まりとなりました。

家族への事後報告。妻の呆れ顔と親からの本気の説教

30歳当時、Aさんは北海道で希少になっていた、1999年式のR34型スカイライン4ドアセダンをチューニングショップで発見しました。価格は120万円だったといいます。

今を逃せばもう買えないかもしれないと焦る一方で、すでに結婚してご家庭があったAさんは、セカンドカーとして古い車を買うことを相談すれば、奥様に猛反対されるのは目に見えていたそうです。そこでAさんは、黙って買ってから事後報告にすればなんとかなるという、少し強引な手段に出たといいます。

購入後に報告すると、案の定、奥様からはひどく呆れられたそうです。さらに、車を購入した話はAさんのご両親の耳にも入ることになります。

18歳の頃に納車4日で車を廃車にした記憶が残っているご両親からは、今すぐ売ってこいと本気で怒られたそうです。Aさん自身、30歳にもなって親から説教を受けるのは恥ずかしかったと振り返ってくれましたが、今回は大切に乗ることを誓い、車好きのお父様の理解も得てなんとか収束したようです。

しかし、費用は車両代だけでは終わりませんでした。購入した個体はすでにエンジンやミッション(本人の記憶ではR33用)などに載せ替えられており、各部の劣化も進んでいたため、オーバーホールを中心とした整備が必要だったのです。足回りやシート、エアロパーツなどに約150万円の費用を投じ、現在までに車体を含めた総額は約450万円に達しているとのことです。

ガソリンスタンドでの思わぬ交流と、仕事で活躍した意外な一面

無事にR34を走らせることができるようになってからは、因縁の場所である毛無山や石狩新港など、北海道の各地を一人でドライブしたそうです。かつて事故を起こした毛無山を通るたびに、当時の出来事を思い出し、安全運転への誓いを新たにしていたと語ってくれました。

また、令和の街角ではR34の姿を見る機会も減っており、思わぬ出会いもあったようです。特にガソリンスタンドでは、40代から60代くらいの男性たちからよく声をかけられ、運転席に座っていいかと目を輝かせて頼まれることも多かったといいます。古い車が持つ不思議な求心力を感じるエピソードです。

さらに、前職である運送会社での営業活動においても、この“趣味車”が意外な活躍を見せました。仕事の取引先や同僚との間で車の話題になり、懐かしさから会話が弾むことが多かったそうです。時には取引先の方とR34に乗ってゴルフへ行くこともあり、一見すると仕事には役立ちそうにない趣味の車が、思いがけず営業上のコミュニケーションを深めるきっかけになっていたといいます。

ライフスタイルの変化。エンジンさえかけられなくなっていく現実

順風満帆に見えた旧車ライフでしたが、購入から約3年が経過すると、Aさんを取り巻く環境が一変します。営業部への異動に伴い仕事上の立場が変わり、会社から社用車が貸与されることになりました。奥様の車と合わせて実質的に3台持ちの生活となり、休日も接待やゴルフなど仕事の付き合いが増えていったそうです。

気がつけば、R34に乗る時間はどんどん減っていきました。最初は乗りたいという気持ちがあったものの、忙しさに追われるうちに考える余裕すらなくなり、半年以上もエンジンをかけない状態が続いてしまったといいます。

夜中に保管場所であるお祖母様のお宅へ行き、せめてエンジンだけでもかけようとしたこともあったそうです。しかし、古い改造車の大きな排気音が近所迷惑になることや、高齢のお祖父様、お祖母様を起こしてしまう可能性を考えると、それすら躊躇してしまったと振り返ります。車が嫌いになったわけでも、壊れたわけでもありません。ただ、大人になってライフスタイルが変化するにつれて、趣味に使える時間の優先順位が変わってしまったという現実は、多くの方が共感できる少し寂しい側面かもしれません。

年間維持費7万円。動かさなくても彼が絶対に手放さない理由

現在、R34はご祖母のお宅の車庫でひっそりと保管されています。ほぼ動かしていない状態ですが、最低限の保険料や自動車税などで年間約7万円の維持費がかかっているそうです。合理的に考えれば手放すという選択肢もありますが、Aさんはご自身の経験から、これから旧車を買う方に対して現実的な助言もしてくれました。突発的な故障に備え、少なくとも50万円程度の修理費をすぐに出せる余力がないのであれば、この手の車の購入はおすすめしないと考えているそうです。

そんなシビアな現実を理解していながらも、AさんはR34を絶対に売るつもりはないと力強く語ります。久しぶりに車庫を開けてR34の姿を見るだけで胸が高鳴り、北海道の各地を共に走った記憶が鮮明に蘇ってくるからです。いずれ金銭的な余裕ができれば、また整備して乗りたいという思いを大切に持ち続けています。

車は買った瞬間がピークなのではなく、その後の変化していく人生と共に付き合っていくものなのでしょう。Aさんが最後につぶやいた、若者がまた夢中になれるような安くて速くてカッコいい車が出てきてほしいという言葉には、乗るためだけではない、合理性では測れない趣味車の奥深い魅力が詰まっているように感じられました。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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