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少年の頭でタコが成長!? 海水浴が100倍楽しくなる「海の絵本」3選[絵本の専門家が選出]

  • 2026.8.7

物語は衝撃的なシーンから始まります。荒れた海、親子と思われる男性と女の子の2人、犬1匹を乗せた船が難破し、遭難してしまいます。命からがら逃げついた先は、小さな「しま」。でも実は、大きなカメの甲羅の上だったのです。

「しま」で一夜を過ごした彼ら2人と1匹は、ここで救助を待つことにしたのでしょう。希望と共に、海の美しさがふんだんに描かれています。でも忘れないで。自然には脅威もあることを。

海の中では2人と1匹に知られることなく、カメが凶暴な水中生物と闘い、彼らを守り続けています。壮大な大自然を舞台に繰り返される、数々の命のドラマを描いた一冊です。

どれくらいの月日が流れたのでしょうか。やがて大きな船が通りかかり、2人と1匹は無事に救助されるのですが──。

“絵を読む”ことは、こんなにも贅沢な体験なのだと教えてくれる一冊。演出は、すべて読者にゆだねられています。「この場面では何が起こったのか」「女の子はなんと言ったのか」、そう考えながら読み進めていくと、静かなようで、実はものすごくにぎやかな絵本であることがわかりますね。喧騒と静寂に満ちた美しい世界をぜひ楽しんでいただきたいと思います。

インテリアとして部屋に飾っても涼やかで、プレゼントにぴったり。絵を読み解く経験が少ない小さなお子さんでも、「今、何が起きたのかな?」などと、子どもの想像力を引き出すような声かけをしてあげたら、十分に楽しめると思います。

*読み聞かせ 3さいくらいから

*ひとり読み 4・5さいくらいから

取材・文/星野早百合

cocreco講談社cocreco

『しま』(作・マルク・ヤンセン/福音館書店)

夏休み、家族で海水浴に行った「ぼく」。海から顔を出すと、なんと「ぼく」の頭にちょこんとタコがのっていました。

引っぱっても離れず、頭の上でどんどん成長し、新学期が始まる日にはビックリするほど大きくなったタコ。学校へ行くと、クラスの友達からは当然、大笑いされてしまいます。

でも、ちょっといいこともあったのです。授業中にタコのおかげで先生の質問に正解できたり、からかってくる友達にスミを吐いてくれたり。あり得ない状況を受け入れながら、「ぼく」は、だんだんとタコに気持ちを寄せるようになっていきます。

タコが好きな本を読み聞かせ、ごはんを食べるのも、お風呂に入るのも一緒。いつしかタコを頭から引き離すことはやめて、ちゃんとお世話をしようと心に決めたのでした。

そして、季節は過ぎて1年後の夏。「ぼく」と家族は、再び海辺に向かいます。タコとのお別れのときがやってきたのです──。

ちょっぴり寂しい、けれど特別な「ぼく」とタコのある夏の出来事。頭……ではなく、胸をきゅんと締め付けるような懐かしさが込み上げてきます。

北野武監督の映画『菊次郎の夏』のテーマ曲を思い出すのは、きっと私だけではないはず。たしろさんが描く無国籍な子どもたちのイラストもかわいくて、お子さんと一緒にささやく声で読みたい絵本です。

*読み聞かせ 3さいくらいから

*ひとり読み 小学1年生くらいから

cocreco講談社cocreco

『あたまにのったタコ』(作・絵:たしろちさと、原案:ジェニー・ギヨーム/講談社)

今夏の新刊からもう一冊、次にご紹介するのは『あたまにのったタコ』(講談社)。

世界的な絵本の登竜門「アストラ国際絵本原作コンテスト」で講談社賞を受賞したフランス人・ジェニー・ギヨームさんの原作『あたまにのったタコ』(原題Un poulpe sur la tête)を、人気絵本作家・たしろちさとさんが絵本に仕上げました。

油断大敵、やられました。このユーモラスな表紙絵とタイトルを見て、誰が泣かされる絵本だなんて想像できるでしょうか。

あの夏、ぼくが出会ったのは、誰よりもかしこくて、誰よりもくっつくタコだった──。そんなキャッチコピーを付けたい、切なくも心あたたまる一冊です。

今日は、待ちに待ったバスツアー。夜明け前、「ミケネコかんこう」のバスにネコたちが乗り込んできましたよ。

最初に向かったのは、かつおぶし工場。いい香りにうっとりしながら工場を見学したあとは、売店でお買い物です。削りたてのかつおぶしがのった、ねこまんまを試食したり、かつおぶしの詰め放題に挑戦したり。どこか人間臭いネコたちに、思わず笑ってしまうことでしょう。

工場を出ると、次は人気の観光地「ねこじま」へ。名物「さかなのつかみどり」をしてお腹いっぱい魚を食べたら、夕方までは自由時間。海水浴を楽しみましょう。

浮き輪に捕まってぷかぷか浮かんでいる子、砂遊びをしている子、お昼寝をしている子……みんな、海の遊びを大満喫しています。とっても気持ちよさそう!

空が夕焼け色に染まるころ、向かうは最後の目的地、展望台「きんの まねきねこ」。そこでは、とことん楽しい夏の一日を締めくくるサプライズが待っていました──。

ネコたちとバスツアーを体験した気分になれる、夏休みのギフトにぴったりの一冊。わが子が小さかったころ、バスツアーに参加してすごく楽しかったことを思い出しました。絵本をきっかけにお子さんがバスツアーに興味を持ったら、一緒に参加してみるのもよいのではないでしょうか。

*読み聞かせ 3さいくらいから

*ひとり読み 5さいくらいから

夏といえば、やっぱり海。海水浴を楽しんだり、浜辺で砂遊びをしたり、雄大な景色を眺めたり……海へのお出かけを楽しみにしているご家庭も多いでしょう。

今回ご紹介するのは、そんな海を舞台にした絵本。とにかく楽しい夏のお出かけを描いたもの、ある夏の思い出を描いたもの、自然の脅威と優しさを描いたもの、あえてまったく違う角度から3冊を選んでみました。絵本を通してさまざまな海に出会い、お子さんの感性を育んでほしいと思います。

最初にご紹介するのは、6月(2026年)に発売されたばかりの新刊『ねこバスツアー』(アリス館)。ネコが大好きな絵本作家、くさかみなこさんと北村裕花さんコンビによる新作です。

バスツアー史上、これ以上ないくらいに夏のお楽しみがてんこ盛り! おいしいものを食べて、遊んで……子どもたちにとって夢のような一日を過ごせる、ネコたちのバスツアーを描いています。

絵本は、子どもへの贈りものに最適なアイテム。とはいえ、ぴったりな1冊を選ぶのは、なかなか難しいもの。連載【子どもの本のプロが選ぶギフト絵本】では、絵本の専門家が、プレゼントにふさわしい絵本をセレクトします。

第22回は、絵本コーディネーターの東條知美(とうじょう・ともみ)さんが、おすすめの“海の絵本”をご紹介。

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イメージ写真: Hakase/イメージマート

最後にご紹介するのは、オランダ出身のイラストレーター、マルク・ヤンセン作の『しま』(福音館書店)。こちらは文字がない“サイレント絵本”。大いなる自然の脅威、そして優しさを、パノラマ画面の圧倒的に美しい絵で魅せる一冊です。

少年とタコの言葉を超えた友情の物語

自然の脅威と優しさを描く“絵を読む”絵本

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『ねこバスツアー』(文:くさかみなこ、絵:北村裕花/アリス館)

夏のお楽しみが満載のバスツアーにゃ~

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