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「あれって、持ち帰りしてるのかな」バイキングの料理を持ち帰ろうと詰め込む客。見ていた私が感じた違和感

  • 2026.8.7
「あれって、持ち帰りしてるのかな」バイキングの料理を持ち帰ろうと詰め込む客。見ていた私が感じた違和感

旅先の朝、会場で見た光景

連休を利用して、久しぶりに泊まりがけの旅行へ出かけた。

私にとって楽しみのひとつが、宿の朝食バイキングだった。

焼きたてのパンや温かいおかずが並ぶ会場は、朝から人でにぎわっていた。

料理を取りに行こうと席を立ったとき、少し離れたテーブルの女性が目に入った。

テーブルの上に、大きなランチボックスを広げている。

最初は、自分の席で食べるために取り分けているのだと思った。

けれど、その人は何度も料理コーナーと席を往復していた。

そのたびに、おかずやサラダを箱の中へ詰めていく。ごはんも、煮物も、揚げ物も。トングを持つ手に迷いはなく、まるで自宅の台所で作り置きでもするような手つきだった。

箱はみるみるうちに、すき間なく埋まっていった。

近くのテーブルにいた人が、連れに向かって小さくつぶやいた。

「あれって、持ち帰りしてるのかな」

私は思わず、手を止めてしまった。

バイキングは、その場で食べるためのもの。そう思い込んでいた自分にとって、目の前の光景はどこか信じがたかった。

誰も声をかけないまま

周りの人たちも、気づいていないわけではなかった。

ちらりと視線を送っては、また自分の皿に目を戻す。けれど、その人に直接声をかける人は、誰もいなかった。

「ねえ、あれ大丈夫なの?」

一緒に来ていた連れが、遠慮がちに耳打ちしてきた。

「さあ…こういうの、いいのかな」

私も同じことを考えていたけれど、はっきりした答えは持っていなかった。

会場の隅では、スタッフが小声で何かを話していた。ときおり、その女性のテーブルのほうへ目をやっている。

「どうしましょうか、あのお客様…」

気にかけている様子は、確かにあった。

それでも、スタッフがその人のもとへ歩み寄ることはなかった。

注意するでもなく、見て見ぬふりをするでもなく。ただ遠くから見守るような空気だけが、会場に漂っていた。

「なんだか、こっちが落ち着かないね」

連れの言葉に、私は小さくうなずくことしかできなかった。

やがてその人は、詰め終えた箱にきちんと蓋をして、何事もなかったように会場を出ていった。

悪びれた様子も、こそこそする素振りもない。まるで、それが当たり前の朝の準備であるかのような、堂々とした後ろ姿だった。

会場に残された私たちだけが、どこか宙ぶらりんな気持ちを抱えたまま、冷めかけたコーヒーをすすっていた。

結局、あれが許されることだったのか、そうでなかったのか。私には最後まで分からなかった。

ただ、朝食のあいだじゅう感じていた、あのなんとも言えない気持ちだけが、旅を終えた今も胸の隅に残っている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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