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「効率化より家族の時間を」1歳女の子ママがあえて“毎日早起き”する理由

  • 2026.8.4
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家事も育児もスマートに回せる現代で、なぜか「効率的な日常がしんどい」と感じていませんか?今回は、あえて非タイパな選択をすることで家族の笑顔を増やす「効率化より幸福化」現象をスクープ。産前に続けていた“ある習慣”を復活させたご家族に密着します。

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ママたちが“あえて”選んだ非タイパな選択 令和の家庭に 「効率化より幸福化」現象

多くのママたちが感じてる 「効率的なこと」が なぜかしんどい…!

週末、パパに子どもを任せ、美容院へ。私が帰宅しバトンタッチして次はパパがお出掛け。となると家族皆で過ごせる時間が足りないよね、となり、しんどかった(川口祐菜さん 4歳女の子ママ)

1週間分の献立を考えまとめて買物。料理が完全義務化されワクワクがなくなり、しんどい(天井真実さん 4歳女の子ママ)

朝、学校や園に行くまでの工程をルーティン化。ただ、時間に迫られるとどんどん焦って子どもに厳しくしてしまいしんどい(濱野かやさん 6歳、3歳男の子ママ)

(本当は寝ていたいけど) パパの出社時間に “あえて”家族全員起きてハグ!

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今 彩楓(こん あやか)さん
(1歳女の子ママ)

産前、我が家では毎朝夫の出勤前に“いってらっしゃい”のハグをするのが習慣でした。娘が生まれてからは、夜泣きや授乳による寝不足で、少しでも長く寝ていたい気持ちが勝つように。慣れない育児と家事のタスクをこなす日々の中、早朝に出掛け、帰宅時間も遅い夫とはほとんど会話をしないまま一日が終わることも。そんな時、夫が「家族時間をもっと大切にしよう!」と提案。本当はもう少し寝ていたいけど、あえて産前の習慣だった朝のハグを娘と一緒に復活させることに。最初は、慌ただしい朝にそんな余裕があるのかなと不安でしたが、娘の朝支度を夫が積極的に手伝ってくれたこともあり、実際に始めてみると「今日も頑張ろう!」と前向きなスイッチが入るきっかけに。自然と生活が規則的に改善され、その後の娘とのワンオペ時間も心穏やかに過ごせるようになったりと嬉しい効果が。今では娘も嬉しそうに手を広げて、我が家に欠かせない朝の習慣です。

※掲載のエルメスのアイテムは読者私物です。ブティックへのお問い合わせはご遠慮ください。

みんなに聞いた! 我が家の“あえてな選択”で 「効率化より幸福化」現象

仕事はたまってしまうけど、月1程度で早迎え。お迎え後は娘の好きなことをしたりお出かけしたり、2人でゆっくり外食したり。私も娘もお互いに幸福感が増した(宮澤美那さん 4歳女の子ママ)

図書館やスーパーは私一人で行った方が早いけど、あえて一緒に。新しい発見や今しかない子どもの目線に触れて、私の人生における宝物をもらっている気持ちに(瀬古あゆみさん 6歳、3歳男の子ママ)

夫婦ともに我が子が頑張る姿を見たくて、週末のサッカー付き添いに夫婦で稼働。“一人が付き添い、一人は家事を”の方が効率的だけど、サッカーという共通言語が生まれたことで家庭内の話題も増えた(佐々木陽子さん 8歳男の子ママ)

3人子育てでてんやわんやでも、子どもたちとお菓子作り。キッチンも汚れるし時間も倍以上。だけど、子どもたちとの信頼関係が深まって子どもの自信にも繫がる気が(木植響子さん 4歳・1歳男の子、2歳女の子ママ)

月に数回、夫が休みの日は小学校お見送り→スクールの送迎→習い事を夫婦揃って。子どもが喜んでくれることが嬉しい&2人で行くことで気持ちの余裕が生まれ、大人にとってもいいことだなと思った(濱野かやさん 6歳、3歳男の子ママ)

専門家に聞きました 時間を“資源として消費する” から“味わいとして消費する”へ

経済学の視点から タイパ・コスパの追求が“必ずしも家族の幸せに直結しない”また新しい流れがくる予感がしています

経済学者の山口慎太郎さん

山口慎太郎さん(経済学者)
経済学者、東京大学大学院経済学科研究科教授。専門は子育て支援や少子化対策、男女共同参画の経済・統計分析。『「家族の幸せ」の経済学』(光文社新書)で第41回サントリー学芸賞受賞。

 

私も日々SNSなどでママたちの行動スタイルをウォッチしていますが、現状では効率優先の家庭がまだまだマジョリティで、今回のような事例は新しい流れだと感じます。非タイパで豊かな時間を過ごすことが、例えば「将来の子どもの所得が上がる」といったポジティブなエビデンスはまだありません。ただ一方で多くの研究が示しているのは、「親の精神安定が子どもの社会情緒的能力の発達に役立つ」という事実。だからこそ、今回の実例のように親自身が幸福感を得られているのなら、結果的に子どもにとっても良い影響に繫がります。印象的なのは、そうした価値観にママ・パパたち自身が、すでに気づき始めていること。これまでは、“いかに効率よく回すか”が重視されてきたと感じますが、親自身が幸せだと感じることを自分軸で選び始めているんですね。

一見非効率に見える豊かな 時間の使い方は、子どもの将来に 向けてのよい投資とも言えます

タイパ・コスパだけで考えれば、子どもと料理を作るよりお店で買った方が早いし、送り迎えだって家族総出ではなく一人で行った方がずっと効率的。それでも、“そのプロセス自体を楽しむ”という感覚は、単なる思い出づくりではなく、一周回ってすごく豊かな時間だと思います。一見無駄に見えるかもしれないけれど、家族で同じことをすることで、チームの一体感や安心感が育まれる。これはスポーツでも会社でも同じで、家族にも大事なこと。親自身が満たされ、幸福感を感じられている状態は、結果として子どもの精神的な安定やウェルビーイングにも繫がっていきます。学力やスキルのように数値では測れないけれど、長い目で見ればそうした“豊かな時間”こそが、子どもの「長期的な幸せ」という、未来に向けた投資と言えるのではないでしょうか。

哲学の視点から 効率化は目的ではなく手段。未来に評価軸を置き、今この瞬間何をしたいかママたちは問い直している

哲学家の谷川嘉浩さん

谷川嘉浩さん(哲学家)
京都大学大学院で哲学を学び、現在京都市立芸術大学専任講師。社会の変化を読み解き、現代人の思考やコミュニケーションのあり方を考察する著作で注目を集める。『増補改訂版 スマホ時代の哲学』は累計11万部

 

効率化って本来は目的ではなく、手段でしかないんですよね。何かを早く済ませることで、余白や時間が生まれる。本来はその先に、「その時間で何をしたいのか」という目的があるはずです。給食があるのにお弁当を作ったり、就寝前に1時間お喋りをしたり、あえて非効率だとわかっている時間を選んでいるのは、単なる“丁寧な暮らし”への回帰ではなく、「将来の自分が、この時間をどう振り返るか」と、今この瞬間の評価をペンディングして、未来に評価軸を置いて判断している感じがしました。この瞬間のラクさだけではなく「振り返った時に良かったと思える時間」を選び始めている。そういう意味では、今のママたちが選ぶ“非効率な時間”は、短期的な合理性ではなく、長期的な合理性に支えられているのかもしれません。長い目で見て幸福かどうかを考えているというか。

時間・お金に支配されがちな 世の中で人生の主導権を 取り戻し、理想を手作りして

人って、結構“正しさ”に引っ張られやすいんですよね。「母親なら手作りした方がいい」「笑顔でいるべき」とか。社会が作り出した“理想の母親像”が根強くあるのは事実ですが、そういう“いい母バイアス”を少し引いた目で見始めているというか、“我が家の幸せって何だろう?”と考える人が増えてきたように感じます。実例に出てきたママのように「全部完璧じゃなくてもいいから、寝る前の会話だけは守りたい」というように、自分たち家族にとって何が大事かを選び直している感覚です。実際に、家事を徹底的に可視化したうえで、効率化する部分とあえて残す時間を選んでいる家庭もある。時間やお金、社会の流れに振り回されがちな時代だからこそ、自分たちなりの理想を手作りして、生活の主導権を取り戻そうとしているのかなと思います。

撮影/木村 敦〈ajoite〉 取材・文/川原江里菜 編集/中台麻理恵、清水 環
*VERY2026年7月号「令和の家庭に『効率化より幸福化』現象」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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