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キタノ映画でデビューから30年 写真家としても活躍する“二刀流”イケメン俳優

  • 2026.9.4
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1996年7月、映画『キッズ・リターン』舞台挨拶に登場した安藤政信(C)SANKEI

1996年、安藤政信は『キッズ・リターン』の主演として、初めてスクリーンに現れた。それから30年後の2026年、京都で写真展を開く一方、時代劇では新たな役を演じている。

俳優としてカメラの前に立ち、写真家としてカメラを向ける。同じ表現の仕事でも、立つ場所は正反対だ。安藤政信の30年は、二つの肩書きが増えた歴史ではなく、カメラの両側へ居場所を広げてきた歩みとして見ると、より鮮明になる。

一作目で刻んだ鮮烈な輪郭

1996年7月27日、北野武監督の映画『キッズ・リターン』が公開された。高校を離れ、ボクシングとヤクザ、それぞれ別の道へ進むシンジとマサル。安藤政信が演じたシンジは、ジムで才能を見いだされ、プロボクサーを目指す青年だ。

同じ場所にいた二人が、やがて異なる世界へ入っていく。マサルは組の世界へ進み、シンジはリングへ上がる。友人と並んでいた一人の高校生が、自分の勝負を背負う選手になる。その上昇も挫折も、安藤は主演として引き受けた。

安藤はスカウトされてから約1か月後、『キッズ・リターン』のオーディションを受け、シンジ役を得ている。本作が俳優デビューであり、同時に主演デビュー。経験を重ねてから大役へ進んだのではなく、最初の映画から物語の中心に立つことになった。

安藤は本作で第20回日本アカデミー賞新人俳優賞、キネマ旬報新人男優賞など、複数の新人賞を受賞している。デビュー作で主演を務め、その年の新人として名を刻む。『キッズ・リターン』は、シンジがリングへ向かう物語であると同時に、安藤政信という俳優がスクリーンへ現れた最初の一作になった。

カメラを手に表現を広げる

安藤は俳優として活動する一方、自ら写真も撮ってきた。2016年には写真家として、レスリー・キーのプロデュースによる『憂鬱な楽園』を発表。その後も作品発表と商業撮影の双方でカメラを手にしている。2024年には写真展『MARC JACOBS THE FUTURE FLORAL憂鬱な楽園』を開催。同年、ラフォーレ原宿の「LAFORET SPRING 2024」では、キャンペーンビジュアルの撮影を担当した。

2026年春には、京都・伏見の月桂冠新家で、写真展『憂鬱な楽園』が開催された。会場は、大正末期から昭和初期に建てられた築約100年の和洋折衷建築。和室には自然光が入り、庭園を望む空間そのものが展示の一部になった。

並んだのは、人物、波、花、水を写した作品である。さらに安藤は、この展示に際して酒造りの現場にも立ち会い、米、発酵中のもろみ、そこで働く人々を撮影して新作を制作した。完成した写真を歴史ある建物へ運び込むだけではなく、その土地で営まれている仕事にもカメラを向けたのである。

俳優は、用意された場所に立ち、役としてカメラに見られる。写真家は、自分で立つ場所を選び、何を一枚に残すかを決める。月桂冠新家での展示には、長く見られる側にいた安藤が、場所と人を見つめる側へ回った時間が、具体的な形で現れていた。

主演デビューから30年、カメラの両側へ

2026年3月、TBS系でスペシャルドラマ『ちるらん 新撰組鎮魂歌』が2夜連続放送された。安藤が演じたのは田中新兵衛。その翌月に京都では写真家として写真展『憂鬱な楽園』。さらに10月からテレビ朝日系で放送予定の『真田十勇士 SHADOWS OF THE TEN NINJA』に、真田幸村役で出演することも発表されている。

春に田中新兵衛を演じ、続いて自ら撮った写真を展示し、秋には真田幸村役が控える。俳優活動のあとに写真へ移ったのではない。演じる仕事と撮る仕事が、同じ2026年の時間の中に並んでいる。

1996年の『キッズ・リターン』で、安藤政信はシンジとしてスクリーンの中心に立った。デビュー作で与えられたのは、シンジという一人の人物だった。写真では、何を見て、どこを一枚に残すかを安藤自身が選ぶ。役としてフレームの中に立つ仕事と、フレームの外から被写体を見つめる仕事。安藤は現在、その両方を続けている。

俳優から写真家へ転身したのではない。スクリーンの中に立つことをやめず、スクリーンの外から世界を見る場所も持った。主演デビューから30年。安藤政信の歩みは、一台のカメラを挟んだ二つの仕事へつながっている。


※記事は執筆時点の情報です

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