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【紗栄子】栃木・大田原で営む「NASU FARM VILLAGE」への想い|保護馬活動で“最も過酷な瞬間”とは【独占インタビュー】

  • 2026.7.16

モデル、タレントとして活動しながら、栃木県大田原市の「NASU FARM VILLAGE」で経営者として牧場運営に励む紗栄子。積極的な動物保護活動が広く知られるようになった今、そのきっかけにもなった愛すべきお馬さんについて、たっぷりとインタビュー。

のんびりマイペースに偽りなく真っ直ぐに生きる

ブラウス ¥44,000、パンツ ¥44,000(共にザニュー ソサエティ/H3Oファッションビュロー)

ーこよなく愛するお馬さんの、可愛さに気づいたのはいつごろですか?

「小さなころから動物全般が大好きで、特に、かっこいいし優しいしで自然に魅かれていったのがお馬さん。親には『乗馬クラブに通いたい、お馬さんと暮らしたい! 』と駄々をこねていた記憶があります。その思いが叶わないままだったので、働き始めてお給料が入ったとき、すぐに乗馬クラブに入会しました。ちなみに親は、現在の私の姿を見て、『幼少期からの夢を叶えたのね』と喜んでいます。

乗馬って、視座が上がることで視界も広くなるから大好きではあるのですが、指示を出すときにお腹をポンッと軽く蹴ったりするんですよ。私の場合は、ちょっとかわいそうかも、という気持ちが中途半端に芽生えて、心がチクッと痛んだりして。今、ここの牧場でお馬さんに日々触れて思うのは、手綱を持って一緒に歩くだけでも楽しいということ。同じ目線で同じ時間を過ごすだけでも、充分に満たされます」


ーサイズ感からしても、犬や猫とはまた違った可愛さがありますか? 怖いと思ったりは?

「ないかなぁ。もちろん、500〜600kgとかある大型動物なだけあってしっかりとレクチャーを受けていますし、接するときは細心の注意を払っているのでそれなりの緊張感はあります。でも、人には人の怖さがあるように、個体
差というかそれぞれの特徴の範囲内。嘘をついたり騙そうとしたり駆け引きがあったりとかは一切ないから、心が軽やかで楽です。いつだって偽りなく真っ直ぐに生きてるから。

医療や福祉の現場で取り入れられているホースセラピーって、聞いたことはありますか?お馬さんとの触れ合いを通じて、心身の健康の回復を目指すリハビリテーションのことで、私はそのパワーを毎日のように感じるんです。最近の論文発表によると、お馬さんには人の悲しみや怒り、不安や痛みなどを匂いで敏感に察知して、共感するチカラがあるとのこと。

しかもうちのコたちは、誰よりも速く走りなさいって調教しているのではなくて、誰よりもゆっくり歩いてOK! っていう愛情を注いでいることもあって、みんな優しくて穏やか。自由を謳歌しているようなマイペースな可愛さに触れるたびに、『そのままでいいんだよ』って言われているようにも感じて、気づけば深く癒やされてるんですよ。だから皆さんも、なんだか疲れちゃったな、なんてときはうちの牧場に遊びに来て来て〜!」


とにかく行動あるのみ。立ち止まらずにまず一歩

グリーンワンピース ¥861,300(トリー バーチ/トリー バーチ ジャパン)、シューズはスタイリスト私物

ー「NASU FARM VILLAGE」の経営に参画するまでの過程が知りたいです!

「乗馬やトレッキングをしようと、お客さんとして訪れたのが最初です。『こんな素晴らしい場所があったなんて』と感動すると同時に、経営難に陥っているとのお話も聞いて。お馬さんやワンちゃんの行く末がどうなるか分からない、そのお世話をしているスタッフの雇用も危ぶまれている、と知ったら、もう居ても立ってもいられず。牧場経営なんて未知すぎて悩みましたけど、現場スタッフの後押しもあって、運営に携わることを決意しました」


ー「よし、やろう」と立ち上がって行動に移すことがすごすぎます。何が紗栄子さんを突き動かすんでしょうか?

「できる! という確信より、とにかくやらなきゃ! という気持ちで。あとね、誰に相談しても『無理無理できない』って即答されましたが、そのできないっていう人もやったことはないわけです。だったら私はまずやってみよう! と思って。全てを引き払って、栃木県大田原市に引っ越しました。

原動力になったのは、そうだな、人の都合で左右される命を守りたい、この思いに尽きるかな。黙っていればいいのにって言われるかもしれないけれど、例えば、競馬のサラブレッドは、ゆくゆくは殺処分になることがほとんど。中央競馬で走って、地方に降ろされて、乗馬クラブなどに行って、ボロボロになって最後は……。この状況を、今すぐ全頭はできないにしても、1頭ずつからでいいので保護したいです。

こういう思いを抱えている人って、実は意外といるんですよ。お馬さんを育てていくとなると、月のコストが莫大で、引き取ったはいいけれど厳しくなって、うちにヘルプ要請がくることもあります。競馬界の皆さんは、『うちにできることはありますか?』と声をかけてくださるし、ジョッキーの方は実際に牧場に見学にいらっしゃって、お馬さんの運動をしてくれたり、グッズを買って応援してくださったりもします」


ー「NASU FARM VILLAGE」は、そうして保護したお馬さん達がセカンドライフを築く牧場。

「そうです。うちにいるのは、健康ではなかったおじいちゃん、おばあちゃんばかり。そういうコを率先して保護しています。でもね、来たときは怪我やコンディション不良でボロッボロでも、ケアをするうちに、もう全然普通に屋外で放牧もできるようになるし、自信を取り戻して表情がイキイキと輝き出すんですよ。そんなお馬さんを、牧場に来たお客様が可愛がってくださって、で、また、お馬さんも喜んでる。こういうハッピーの広がりや循環を肌で感じることができるんだから、私は幸せ者。ひとつの命をちゃんと守れたんだなって、自分のチカラにもなっています」


命を救いたくて始めたのに命の終わりを決断する憂苦

ブラックワンピース ※参考商品(CO/EASTLAND)、ピアス ¥49,500(スワロフスキー・ジュエリー/スワロフスキー・ジャパン)、シューズはスタイリスト私物

ー保護馬活動をする中で、もしも辛いことがあるとしたら?

「それはやっぱりただひとつ、お別れしなきゃいけないことです。自然の流れに任せるような老衰だったらまだ気持ちの整理がつきやすいかもしれませんが、お馬さんはほとんどがそうじゃなくて。生きるためにあらゆる治療や対策を試みて、もう無理だね、頑張ったね、という局面を迎えたら、私が安楽殺の決断をしなければならないこともあります。そして、獣医師にその旨を伝えます。

命を救いたくて始めた取り組みなのに、命の灯火を自らが消してしまうんですから。何度体験しても慣れることは決してないし、正直、本当にしんどいです。スタッフにはどんなことも共有していますが、この重く辛く張り裂けるような気持ちだけは、私の中だけに留めておかないといけないと思っています。もうね、とてもじゃないけど、代わりにはさせられないです」


ー保護馬活動をしているうえでは、どうしても避けられないこと。

「ですね。死と向き合うことも含めてずっと続けていく、という覚悟を持って始めたことなので、頭で理解はしているんですけど。せめて、最後に過ごしたところは温かだったな、と思ってもらえるようにお見送りしたいです。たぶんスタッフ全員が同じ気持ちなはずです。

正直、うちみたいな受け入れ先がないと、歩けるうちに処理しやすい場所に連れて行かれて、薬殺されて、重機で運ばれる、みたいな殺処分の連鎖は止まらないまま。誰かが行動しないと、状況は何も変わらないんです。後悔は
つきもので、正解を模索するような毎日。それでも私は、どんなときも優しさで支えてくれる仲間達と一緒に、恐れることなく前に進むのみです」


人も動物も自然もみんなで幸せに進んでいく

ー当たり前かもしれませんが、スタッフからは「社長」と呼ばれて、とっても慕われているように見えますが!

「私が答えを持っていないまま進むことにベットしてくれて、一緒に進んでくれたスタート当時のメンバーも多くて。重ねた時間が濃密なぶん、絆は強いのかもって思いますね。 スタッフとは、一頭でも多くのコを保護していこうね、みんなで幸せに進んでいこうね、というのが共通認識。もちろん、被災地支援も含めてです。根本のコアな部分が一致してるから、いつだってひとりひとりがブレずに動ける。有事の際は本当に強いです。ある程度のインパクトを持ってアクションを起こせるようになったのは、間違いなく今いるスタッフたちのお陰」


ー軌道に乗るまでの道のりは、決して平坦ではなかったはず。

「最初は完全によそ者だったので、受け入れてもらえるようにあらゆる業務をやりましたし、草むしりをしながらでも、黒字化させるための方法をずーっと考えてました。24時間。

保護事業って、自己犠牲のもとに成り立っているような空気感があって、例えば自分のお給料から身を削って莫大なコストを捻出したりも。それも素晴らしいことではあるのですが、そういう座組みだと長期的には厳しくなる可
能性がゼロではない。私はもっと持続可能にしたくて、経済活動に変える取り組みをしています。牧場でのカフェやアクティビティ、オリジナルグッズで売り上げを立てて、利益の一部を支援活動費にあてる。皆さんの善意を正しく使わせていただいています。いつもありがとうございます!」


ー5年後の保護馬活動について、どんな未来を思い描いてますか?

「今、『NASU FARM VILLAGE』でしていることは、思い描いていたことがMAXでできているんです。お客様にはゆっくり過ごしてほしいから、来場者数増加を目指すとかではなく、現状を維持したいかな。ただ、お馬さんの受け入れは、慎重に広げていきたくて。だから、うちのような牧場を全国に作っていくっていうのが、私の近い未来像。でも、たくさんじゃなくて、欲張らずにまずひとつです。大切な命を預かる場所だから、丁寧に進めます。

それにしてもいつも思うんですけど、お馬さんを救いたくてこの牧場を始めたのですが、実際は、お馬さんが私達にエネルギーを注いで、元気にして、救ってくれてる。この感動体験、ぜひたくさんの人にしてみてほしいの!」


NASU FARM VILLAGEのお馬さんを紹介

現在暮らしているのは、引退した競走馬の18頭。怪我や病気などの苦難を乗り越えて、今をのびのびと楽しんでいます。

name : カッサンドロ

年齢 : 24歳
性別 : 男のコ
障害物をジャンプする競技に出場していた元アスリート。大きなボディでも優しい性格。


name : フウカ

年齢 : 21歳
性別 : 女のコ
沖縄からやってきたサラブレッドで、男のコからモテモテ。目印は、両頰にあるつむじ。


name : ジャズ

年齢 : 18歳
性別 : 男のコ
ぱっつん前髪がチャームポイントのイケメン。父親は、有名な競走馬「キングカメハメハ」。


name : ドリーム

年齢 : 11歳
性別 : 男のコ
たった5歳で殺処分の危機にさらされたところをレスキュー。繊細で人見知りなシャイボーイ。


name : アルゴ

年齢 : 17歳
性別 : 男のコ
カリフォルニア出身のクォーターホース。食欲旺盛で何でも食べるので、人の服もムシャムシャかじります。ファームに来たばかりなので、アルゴの新しい一面をぜひ探して欲しいです。


name : アポロ

年齢 : 17歳
性別 : 男のコ
前脚にあった怪我が、持ち前の回復力で目立たなくなるまでに。名馬「クロフネ」を父に持つ。


name : サニー

年齢 : 18歳
性別 : 女のコ
ファームいちのフレンドリーガール。鼻を「ププン」と鳴らしての挨拶を欠かさない陽キャ。


name : ルナ

年齢 : 24歳
性別 : 女のコ
何が起きても動揺しない仙人。トレッキング中、眠りながら歩いてしまう特殊能力の持ち主。


name : シロ

年齢 : 16歳
性別 : 男のコ
年齢を重ねるにつれて白い毛が増える、珍しい芦毛。扉ガシガシは「人参ほしい!」のサイン。


name : コマメ

年齢 : 22歳
性別 : 女のコ
ファームで唯一のミニチュアホース。食欲旺盛な万年ダイエッター。


name : カリメロ

年齢 : 12歳
性別 : 男のコ
青毛という真っ黒ボディが印象的。やきもち焼きでも冷静。紗栄子を乗せて3ページ目に登場。


name : メラニア

年齢 : 17歳
性別 : 女のコ
愛称メル。紗栄子のマブダチで、1ページ目のモデル。一番の甘えん坊で愛されキャラ。


name : スウィート

年齢 : 13歳
性別 : 女のコ
たくさん走ってもすぐに元気を取り戻す体力おばけ。しかも、気が強く賢いというインテリ系。


name : アールヴヘイムとバレンタイン

アールヴヘイム
年齢 : 5歳
性別 : 女のコ

バレンタイン
年齢 : 0歳
性別 : 女のコ
北海道の牧場からレスキューした親仔。ママのアールヴヘイムは本誌撮影時の沖縄土産「黒糖」が大好物。2026年2月14日生まれのバレンタインは、みんなの愛情をたっぷり受けてすくすく成長中。


name : ウッディ

年齢 : 22歳
性別 : 男のコ
アメリカ出身の元カウボーイホース。分かりやすく態度を変えるほどの、実は女子好き。


name : シェリー

年齢 : 26歳
性別 : 女のコ
真面目で優しく、ホースセラピーで活躍中。隣のお部屋のサニーちゃんが、心許せる親友。


name : 千代丸

年齢 : 13歳
性別 : 男のコ
仲間をグイグイと引っ張るリーダー格。スーパーポジティブでタフな性格。サニーに恋心♡


NASU FARM VILLAGE GOODS

トートバッグ ¥8,800、お馬さんチャーム ¥4,180

キャップ ¥5,500(全てNASU FIRM VILLAGE)

NASU FIRM VILLAGE オリジナルのお馬さんグッズ。オンラインでも販売。

photo : SAKAI DE JUN(model),MAYA KAJITA[e7](still)

styling : AKIKO KIZU

hair & make-up : KENJI TAKAGAKI[SHIMA]

text : AKIKO NISHIMURA

model : SAEKO

web edit : KIMIE WACHI

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