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私が伝えた候補日だけ、好きな人の予定が埋まっていた話

  • 2026.7.4
ハウコレ

考えすぎだと言い聞かせても、画面の中の事実は変わりませんでした。迷った末に送ったメッセージへ、返ってきたのは文字ではなく、着信音だったのです。

手帳の来月の欄に、小さな丸を三つ書き込みました。友人の紹介で知り合った彼に、会える日を伝えるためです。返事はすぐに届いて、二人で会うのは次で三度目になるはずでした。

予約ページで決めてきた、二度の約束

彼はWeb制作の仕事をしていて、日程の連絡には自分の予約ページを使う人です。空いている枠を選ぶだけで約束が決まる仕組みで、最初に届いたときは、打ち合わせみたいですねと、彼に笑って返したくらいです。それでも、決めた日を一度も動かさない、その几帳面さごと好きになっていました。

だから今回は、私のほうから日にちを送ってみたのです。

「来月なら、18日か21日か26日が空いています」

「了解。ちょっと調整するから、少し待ってて」

返事の早さに、少しだけ浮かれていたのだと思います。手帳の丸を、上からもう一度なぞりました。

選べたのは、私の知らない日ばかり

二日たっても、続きの連絡は来ませんでした。急かすつもりはなく、空き具合だけでも見ておこうと、私は保存してあったリンクを開きました。

ページを下の端までたどって、それからゆっくり上へ戻りました。18日も、21日も、26日も、枠ごと選べなくなっていたのです。その前後の日は、いくつも空いたまま残っています。

偶然なら、ここまできれいに重なるでしょうか。伝えた三日だけが塞がって、ほかの日は選べる。仕事が入っただけ、たまたまだと並べてみても、先に浮かぶのは別の言葉でした。避けられている。一度そう読めてしまうと、ほかの読み方が見つかりません。

その日は手帳に触れる気になれないまま、鞄の奥にしまいました。

精いっぱいの強がりを送ったあとで

翌日になっても、ページの並びは同じでした。理由を尋ねるのは重いし、知らないふりで誘い直すのも苦しい。迷った末に、いちばん傷つかずに済みそうな言葉を選びました。

「予約ページ、見ました。忙しそうなので、落ち着いたらまた誘ってください」

送ってすぐ、アプリごと閉じました。これで終わるならそれまでの縁だと、先回りして自分に言い聞かせるためです。

返ってきたのは、文字ではありませんでした。彼の名前が、着信の表示といっしょに浮かんでいます。出ると、いつもより早口の声が聞こえました。

「あれは埋まったんじゃなくて、埋まらないようにしてたんだ」

説明を待つ私に、彼は続けました。

「行きたいって言ってた店の予約が取れてから、誘うつもりだった」

彼は、二度目に会った帰りに私が話した、路地裏のイタリアンの予約を取ろうとしてくれていたのです。あの店は来月分の予約がまだ取れないのだと、彼は言いました。

「先に言ってよ」

「ごめん。先に言えばよかった」

返した声は、自分で思っていたより明るく出ました。

「お店なんて、どこでもよかったのに」

そして...

21日、駅前で待ち合わせて、店は歩きながら相談して決めました。彼は閉じたままの三つの枠の話をして、今さらのように頭を下げました。

手帳の三つの丸は、会えた日だけを残して消しました。次の約束は、予約ページではなく、ふたりのトーク画面で決めるつもりです。

(20代女性・営業事務)

本人記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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