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新種の「歩くサメ」をパプアニューギニア沖で発見

  • 2026.6.18
※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

サメと聞くと、多くの人は大海原をすばやく泳ぐ姿を思い浮かべるかもしれません。

しかし世界には、ヒレをまるで手足のように使い、浅いサンゴ礁の上を“歩く”ように移動するサメがいます。

そして今回、豪サンシャインコースト大学(USC)を中心とする研究チームは、パプアニューギニア南東部沖のごく限られた海域で、この歩くサメの新種を発見しました。

新種は「ダジョンズ・ウォーキングシャーク(Dudgeon’s Walking Shark)」と呼ばれており、正式な学名は「ヘミスキリウム・ダジョナエ(Hemiscyllium dudgeonae)」と命名されています。

研究の詳細は2026年6月15日付で学術誌『Zenodo』に掲載されました。

目次

  • 「歩くサメ」とは、どんなサメなのか?
  • パプアニューギニア沖で新種の歩くサメを発見

「歩くサメ」とは、どんなサメなのか?

歩くサメは「ヘミスキリウム属(Hemiscyllium)」に含まれる小型のサメの仲間です。

英語では「ウォーキング・シャーク(walking sharks)」などと呼ばれており、オーストラリア北部、パプアニューギニア、インドネシア周辺の熱帯の浅い海に分布しています。

最大の特徴は、胸ビレや腹ビレを使って、海底や干潮時のサンゴ礁の浅場を歩くように移動できる点です。

もちろん、これは陸上で暮らすという意味ではありません。

歩くサメは基本的には海の生き物であり、浅瀬や潮だまり、リーフフラットのような環境で、ヒレを支えにして体を前へ進めるのです。

視聴の際は音量にご注意ください。

この移動方法は、複雑なサンゴ礁のすき間を進んだり、低潮時に水深が浅くなった場所を移動したりするのに役立つと考えられます。

また、これらのサメは海底の無脊椎動物を食べており、人間にとって危険なサメではありません。

見た目も大型の捕食者というより、サンゴ礁のすき間をゆっくり探索する小さな夜行性ハンターに近い存在です。

一方で、歩くサメの仲間には分布域が非常に狭い種が多くいます。

ひとつの島や湾、限られた海域に適応して暮らしているため、環境の変化に弱い可能性があるのです。

そのため、歩くサメは「変わった移動をする珍しいサメ」であると同時に、保全上も重要なグループだといえます。

パプアニューギニア沖で新種の歩くサメを発見

今回の発見は、パプアニューギニアのミルン湾と周辺の浅海域で行われた調査の中で起こりました。

研究チームは、歩くサメ類の個体数や分布を調べるため、夜間潜水、シュノーケリング、リーフウォーキングなどを実施していました。

調査は15地域35地点で行われ、合計70回にわたる専用調査が実施されています。

新種の最初の個体は、サンシャインコースト大学のクリスティン・ダジョン博士によって手で捕獲され、慎重に調査船へ運ばれました。

実際の画像がこちら

その個体を見た研究チームは、すぐに体の模様が既知種とは違うことに気づきます。

決め手のひとつになったのは、茶色い体に沿って並ぶ白い短い線状の模様でした。

チームが予想していたのは、ヒョウ柄のような斑点をもつ既知の近縁種でしたが、この個体は明らかに異なるパターンを示していました。

その後の2晩で、同じ模様をもつ個体がさらに11匹見つかり、チームは測定を行って、血液や組織サンプルを採取。

そしてオーストラリアに戻って遺伝子解析を行った結果、このサメが新種であることが正式に確認されたのです。

新種「ヘミスキリウム・ダジョナエ(Hemiscyllium dudgeonae)」は、この属で2013年以来に記載された新種となります。

新種の別の画像

名前は、20年以上にわたってこのグループを研究してきたダジョン博士にちなんで付けられました。

今回の発見は、新種を見つけたというだけでは終わりません。

この研究では、ニューギニア島周辺にいる他の歩くサメの分布についても新しい情報が得られました。

これまでは、川や深い海のような地理的な障壁によって、それぞれの種の分布がはっきり分かれていると考えられていました。

しかし今回の調査により、パプアニューギニア東部では種ごとの分布域が重なりうることが示されました。

ただし、複数の種が同じ地点で同時に見つかる「共存」は確認されていません。

さらに、新種は生息範囲がごく狭いとみられており、生息地の劣化、漁業活動、気候変動の影響を受けやすい可能性があります。

チームは今後さらにデータを集め、IUCNレッドリストでの評価につなげたいとしています。

サメの新種が見つかることは、そう頻繁にあるわけではありません。

しかも今回のサメは、海を泳ぐだけでなく、浅いサンゴ礁を歩くように進む不思議な仲間です。

この小さな「歩くサメ」の発見は、パプアニューギニアの海に、まだ私たちが知らない進化の物語が残されていることを教えてくれます。

参考文献

New species of walking shark found during remote reef survey
https://www.sunshinecoastnews.com.au/2026/06/16/unisc-led-team-discovers-new-walking-shark-species/

New Species of Walking Shark Discovered off Papua New Guinea
https://www.sci.news/biology/hemiscyllium-dudgeonae-14849.html

元論文

A review of walking shark (Hemiscylliidae: Hemiscyllium) distributions in Papua New Guinea and description of a new species
https://zenodo.org/records/20575429

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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