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女性軽視の実家、子宮の病気、妊娠出産の葛藤。「女であること」に苦しみを感じてきた著者が、自分と向き合うまでを描いた実録コミックエッセイ【書評】

  • 2026.5.9

【漫画】本編を読む

『女だからこんなにつらいの? 家族も子宮も捨てたかった私が幸せになるまで』(砂田うるが/KADOKAWA)は、女性として生きることに強い苦しみを抱えてきた著者・砂田うるが氏が、自身の半生を振り返りながら「自分を取り戻すまで」を描いた実録コミックエッセイである。

物語は、女性を軽視する家で、祖父や父親、兄から抑圧を受ける家庭で育った主人公・うるがの幼少期から始まる。女性であることそのものが理不尽な扱いの理由となる日常の中で「女だからつらいのか」という疑問が彼女の中に深く刻まれていく。

やがて彼女はその環境から抜け出すために上京して自立を目指す。しかし、これまで家庭で強いられてきた価値観は消えず、自分を大切にできないままの生活が続く。さらに、結婚後には子宮の病気や妊娠、出産をめぐる問題に直面し、死産を経験するなど過酷な現実に向き合うことになり、うるがをさらに追い詰めていくのだった。

本作が描き出すのは「女性であること」に伴う多層の苦しさだ。家庭内にあるジェンダー差別、社会的な役割の押し付け、そして身体的な負担。それらが複雑に絡み合い、うるがの人生を規定していく。成人して自立したはずであるにもかかわらず、人との出会いや関係の中で苦しみは再び発露し、無力感に苛まれる姿が痛々しく描かれる。

しかし「女性であること」を否定するところから始まった物語は、やがて「自分自身をどう受け入れるか」という問いへと変化していく。「母になること」や「女性らしさ」といった社会的な期待に違和感を抱きながらも、うるがが少しずつ人生を取り戻していく過程が見どころだ。

性別や役割に縛られず、自分自身の人生をどう引き受けるのか。本作は過酷な体験を描きながらも、最終的には自分の人生を選び直すという希望へと着地する。痛みの中から立ち上がる姿に勇気をもらえる作品だ。

文=七井レコア

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