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「100%忘れない」特殊清掃員の壮絶な苦悩→ゴミ山遺体が導く予想外の展開に「鳥肌」【作者に聞く】

  • 2026.5.2

見た光景を写真のように一瞬で記憶し、二度と忘れることができない特殊能力「シャッターアイ」。一見すると便利な能力に思えるが、主人公の憲にとっては、膨大な情報が脳を支配し続ける呪縛でもあった。2026年4月現在、漫画ファンの間でその独創的な設定が話題となっているのが、可惜夜季央(@atarayokio)さんの『記憶遺棄』だ。

特殊清掃員として働く憲は、取り壊し間近のアパートで、ゴミの山に埋もれた身元不明の遺体を発見する。腐敗臭が漂う過酷な現場で、憲の脳裏に「シャッター」が切られた。かつてどこかで見た男の顔。脳内に蓄積された無限のアーカイブから、彼は遺体の男の正体を手繰り寄せ、真実を伝えるために遺族のもとを訪ねる。

YouTubeの遺品整理動画から着想。脳内フル回転の代償として描かれる主人公の苦悩

画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)
画像提供:可惜夜季央(@atarayokio)
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本作は第87回ちばてつや賞にて期待賞を受賞。審査員からは「設定やアイデアが秀逸」「キャラクターが魅力的」と高い評価を得た。可惜夜季央さんは制作の裏側について、「母がYouTubeで遺品整理のチャンネルを観ていたのがきっかけ。“記憶”と故人が残した“残置物”の組み合わせは相性がよいと感じた」と語る。

主人公の憲は常に頭痛に苛まれている。「脳がフル回転し続けているため、日常生活ではぼんやりしがちで、周囲への気遣いまで手が回らない」という設定は、超能力を単なる万能な力としてではなく、生活に支障をきたすリアルな特性として描いている。勉強こそ「イージーモード」だったものの、自分を守ろうとする保守的な性格ゆえに、ネガティブな記憶が優先的に呼び起こされてしまうという能力者ゆえの孤独が胸を打つ。

「人の多面性」を暴き出す。消したい記憶と向き合う特殊清掃員の眼差し

物語は、単なる遺体発見では終わらない。憲が辿り着いた遺族である死んだ男の娘は、父親との忌まわしい記憶を消したいと願っていた。亡くなった男は、人には言えない罪を犯していたのだ。「外面からは想像もつかない“ある一面”をどう見せていくか」をテーマに掲げる作者の言葉通り、物語は人間の美しさと醜さを残酷なまでに描き出す。

同じように消えないトラウマを抱えて生きてきた憲は、彼女の願いにどう向き合うのか。ヤングマガジンでの活動やKADOKAWAのアンソロジーへの寄稿など、ジャンルを問わず魅力的なキャラクターを描き続ける可惜夜季央さん。本作『記憶遺棄』は、単なるSF設定に留まらず、私たちの記憶の在り方そのものを問いかける一作となっている。

取材協力:可惜夜季央(@atarayokio)

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