1. トップ
  2. 京都駅周辺で巡るアート旅!「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」注目会場&楽しみ方ガイド

京都駅周辺で巡るアート旅!「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」注目会場&楽しみ方ガイド

  • 2026.5.1

国際的写真フェスティバル「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」が、2026年5月17日(日)まで開催中。今年のテーマは「EDGE(エッジ)」。町家やギャラリー、博物館や寺院など、普段非公開の場所を含む京都の文化空間を会場に、8カ国・地域から参加のアーティスト14組による展示会を没入的に楽しめるイベントだ。今回は京都の玄関口、京都駅周辺の会場を紹介する。

京都市内のさまざまな場所が、会場となっている
京都市内のさまざまな場所が、会場となっている

街を歩いて巡る!KYOTOGRAPHIEの楽しみ方

同写真祭は、「1カ所の美術館を見る」イベントではなく、“街全体を歩きながら巡る”のが特徴。展示ごとに場所も料金も違う、いわば「街歩き+アート体験」だ。

【写真】会場は、赤い旗や看板が目印
【写真】会場は、赤い旗や看板が目印

会場はギャラリーや町家、寺院など、京都市内各地に点在しているので、公式ホームページや各展示会場にあるMapで確認しよう。チケットの購入や回り方などに関しては、烏丸周辺の会場記事を参考にして欲しい。

歴史的建築で体感する“記憶”のアート空間

JR京都駅から徒歩約7分の東本願寺は浄土真宗「真宗大谷派」の本山。今回、作品が展示されている大玄関は、1867年(慶応3年)に竣工した現在の東本願寺境内で最も古い建物であり、1864年(元治元年)に蛤御門の変による大火で消失し、復興されている。

東本願寺 大玄関(通常非公開)
東本願寺 大玄関(通常非公開)

こちらでは、レボハン・ハンイェの「記憶のリハーサル」を展示。近年注目されつつある、南アフリカ出身の現代美術作家による日本初の大規模個展だ。

写真や立体作品など多様な表現を通して、家族や国家、アイデンティティに関わる「記憶」をテーマに探究する展示。個人的なアーカイブをもとに、過去と現在が交錯する没入的な空間を生み出している。

「記憶のリハーサル」は、個人的なアーカイブがもとになっている (C)Lebohang Kganye
「記憶のリハーサル」は、個人的なアーカイブがもとになっている (C)Lebohang Kganye
ライトボックスの中に南アフリカの灯台守の孤独な生活が再現されている (C)Lebohang Kganye
ライトボックスの中に南アフリカの灯台守の孤独な生活が再現されている (C)Lebohang Kganye
家族写真に写っていた人々を、パッチワークによる巨大な人物像として再構成した作品 (C)Lebohang Kganye
家族写真に写っていた人々を、パッチワークによる巨大な人物像として再構成した作品 (C)Lebohang Kganye

荘厳な木造建築と作品が、光や影を通じて日本的な美意識と共鳴し、記憶を体感的に感じさせる空間を創出。ただ作品を眺めるだけでなく、現代の中に生き続けている過去を認識するような感覚を味わえる。

展示空間と作品のコラボレーションも見どころ (C)Lebohang Kganye
展示空間と作品のコラボレーションも見どころ (C)Lebohang Kganye

元学生寮の廃墟で没入体験

東本願寺から東へ徒歩約7分の場所にある重信会館で展示されているのは、イヴ・マルシャン&ロマ・メェッフェルによる「残されるもののかたち」。

彼らは、2002年のパリ南部のとある廃墟での探検をきっかけに廃墟の記録を始め、デトロイトや軍艦島などを撮影し、衰退した建築を通して社会の変化を捉えてきた。

展示風景(地下) (C)Yves Marchand & Romain Meffre
展示風景(地下) (C)Yves Marchand & Romain Meffre

会場である重信会館は、1930年(昭和5年)築の元学生寮。鉄筋コンクリート造・地上4階、地下1階の建物で、蔦が生い茂る外観に、内部には昭和初期の建築らしいアールデコの特徴を残している。

重信会館(通常非公開)
重信会館(通常非公開)

今回の展示では、2001年3月31日に閉寮となった現代の廃墟とも言える、元学生寮を舞台に、廃墟をテーマとした作品世界へと観客を誘う。生活の痕跡が残る廃墟に展示することで、よりリアリティを感じさせられる。

写真とともに流れるサウンドも展示への没入感を高めている。サウンドデザインは京都を拠点とする、ヤニック・パジェ(N'SO KYOTO)が担当。

2008年と2012年、2度の訪問で撮影された軍艦島 (C)Yves Marchand & Romain Meffre
2008年と2012年、2度の訪問で撮影された軍艦島 (C)Yves Marchand & Romain Meffre
2、3階の和室では、床や壁、天井にふれない浮遊感のある展示壁を設け、既存の空間と作品を切り離すことで、たがいに干渉せず、共存する空間構成を目指している (C)Yves Marchand & Romain Meffre
2、3階の和室では、床や壁、天井にふれない浮遊感のある展示壁を設け、既存の空間と作品を切り離すことで、たがいに干渉せず、共存する空間構成を目指している (C)Yves Marchand & Romain Meffre

近年は生成AIも取り入れ、都市を“未来の廃墟”として再構築する作品を発表。写真のリアリティを問い直しながら、なぜ人は廃墟に惹かれるのかを探っている。

今回の展示では、地下と2階にリアルな廃墟写真を、3階と4階(屋上)に、AIによるシリーズを展示。写真と生成AIとを組み合わせることで、パリや京都を「廃墟化」している。屋上から見える京都タワーとともに鑑賞できる「未来の京都」は必見だ。

3階奥の部屋には、AI生成の際のプロンプトと完成までに生み出された画像が展示されている。向かって左の壁がプロンプトで、右がそれによって生み出された試作の数々。右側に大きく掲示してあるのが完成品 (C)Yves Marchand & Romain Meffre
3階奥の部屋には、AI生成の際のプロンプトと完成までに生み出された画像が展示されている。向かって左の壁がプロンプトで、右がそれによって生み出された試作の数々。右側に大きく掲示してあるのが完成品 (C)Yves Marchand & Romain Meffre
屋上にある赤いのぞき窓から「未来の京都」をみてみよう
屋上にある赤いのぞき窓から「未来の京都」をみてみよう

注目の若手が集結!もうひとつの写真祭「KG+」

じつは、同写真祭には連携・同時開催されている、“もうひとつの写真祭”「KG+」がある。「KG+」は、活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的として、2013年にスタートした公募型アートフェスティバル。今年は高校生から80歳代まで、過去最多の200名以上が参加し、新たな作品との出合いの場としても注目されている。

「KG+SELECT」過去の受賞者たち
「KG+SELECT」過去の受賞者たち

通常の「KG+」に加え、「KG+SELECT」「KG+SPECIAL」の3つの展覧会がある。「KG+SPECIAL」は、スポンサー企業やKG+が主催する展覧会。「KG+SELECT」は、2019年から始まった新プログラム。

応募者の中から選出された10組のアーティストを紹介し、この中から受賞者が一組選ばれて、2027年のKYOTOGRAPHIEのオフィシャルプログラムのひとつとして展覧会が開催される。

くろちく万蔵ビル
くろちく万蔵ビル

「KG+SELECT」が開催されているくろちく万蔵ビルの1階には、KG+インフォメーションセンターがあり、カリモク家具の椅子や机を設置し、コーヒーを楽しみながら、写真集を眺めたり、グッズの購入もできる。

KG+インフォメーションセンター
KG+インフォメーションセンター
京都の老舗コーヒーロースター・小川珈琲が手がけた「KG+ Drip Coffee by OGAWA COFFEE」(200円)と「KG+ Mug by OGAWA COFFEE」(3300円)
京都の老舗コーヒーロースター・小川珈琲が手がけた「KG+ Drip Coffee by OGAWA COFFEE」(200円)と「KG+ Mug by OGAWA COFFEE」(3300円)

世界の新鋭作家が集う、多彩な展示をチェック

2階と3階の展示スペースには、日本をはじめ、韓国、インド、ポーランド、中国など多様な国籍の作家たちの作品が展示されている。

「キム・セヒョン| Kim Sae-hyun」HYUNMIN RYU (C)HYUNMIN RYU
「キム・セヒョン| Kim Sae-hyun」HYUNMIN RYU (C)HYUNMIN RYU
「Behind Motherhood」AYA KISHIMOTO (C)AYA KISHIMOTO
「Behind Motherhood」AYA KISHIMOTO (C)AYA KISHIMOTO
「砂の旅|The voyage of sand」Manarsuzhal (C)Manarsuzhal
「砂の旅|The voyage of sand」Manarsuzhal (C)Manarsuzhal

「KG+」は、ギャラリーだけでなく、カフェや寺社仏閣などを舞台に100以上の展示が開催されており、見応えたっぷり。入場無料の会場も多いため、街歩き途中の立ち寄りにもぴったり。感性の合う作家が見つかるかもしれない。

わかりやすい解説のほか、スタンプラリーやクイズで子どもが展示を楽しく学べる「キッズパスポート」。すべての展示会場とインフォメーションセンターで無料配布されている
わかりやすい解説のほか、スタンプラリーやクイズで子どもが展示を楽しく学べる「キッズパスポート」。すべての展示会場とインフォメーションセンターで無料配布されている

同写真祭ではほかにも、アーティストと直接出会えるトークイベントや次世代の才能を支えるポートフォリオレビュー、参加アーティストが直接指導するマスタークラス、子ども向けの教育プログラムなど、多様なアクティビティが用意されている。詳細は公式ホームページで確認して欲しい。

アートと一緒に楽しむ!京都駅周辺の観光スポット

会場を巡るごとに異なる京都の表情に出会えるのも、この写真祭ならでは。アートと観光がゆるやかにつながり、気づけば一日中歩き回ってしまうはず。ちょっと立ち寄りたい京都駅近くの観光地を紹介する。

■ジェイアール京都伊勢丹

1997年、京都駅ビル内にオープン。地下2階から11階までさまざまなアイテムを取りそろえている。特に地下1階には京みやげ、地下2階には老舗料亭のお弁当が充実する。7階から10階にはオープンビューレストランがあり、窓いっぱいに広がる美しい京都の風景を眺めながら食事が楽しめる。また、7階には美術館「えき」KYOTOを併設しており、国内外のさまざまなアート作品を紹介する展覧会を開催している。

■渉成園(枳殻邸)

京都駅から徒歩10分の場所にある渉成園(枳殻邸)は、東本願寺の飛地境内地(別邸)で、国の名勝に指定されている。石川丈山が趣向を入れた池泉回遊式庭園には四季折々の花が咲きほこり、変化に富んだ景観は「十三景」と称されている。秋の紅葉の時期も美しく、約1万6000坪の庭園にはイロハモミジやイチョウなど約50本の木々が植えられており、10月下旬から12月上旬まで楽しむことができる。

■西本願寺

京都の玄関口、京都駅にほど近いところにある西本願寺は「お西さん」として親しまれている。親鸞聖人が開いた本願念仏の教えを継ぐ浄土真宗本願寺派の本山だ。1994年(平成6年)には世界文化遺産にも登録され、篤い信仰と歴史的名建築物を今に伝えている。親鸞聖人の廟堂(墓地)を京都東山に創建したのが始まり。その後、各地に寺基を移転した後、1591年(天正19年)に七条堀川の地を豊臣秀吉より寄進され、今日にいたっている。

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」を訪れるなら、ぜひ京都駅周辺の街歩きもセットで楽しんでみてほしい。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026

会期:2026年4月18日〜5月17日(日)

会場:京都市内各所

取材・文・撮影=二木繁美

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる