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大学デビューの何が悪いの?「あの頃に戻りたい」「絶対に戻りたくない」変わりたい女と変わらない女の友情の行方【作者に聞く】

  • 2026.4.9
くだらないことでも笑い合えた高校時代。あの頃のような関係はもう戻らないのだろうか…。 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)
くだらないことでも笑い合えた高校時代。あの頃のような関係はもう戻らないのだろうか…。 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)

高校時代の友達に会えば、またあの頃みたいにくだらないことで笑い合える。そう思っていたのに、久しぶりに再会した相手はすっかり変わっていた――。そんな“あるある”で終わらせるにはあまりにも生々しい女友達のすれ違いを描いたのが、イララモモイ(@iroiro_kangae)さんの「大学デビューしちゃったおともだち」と「大学デビューで救われた」である。今回は、変わった側と変われなかった側、両方の視点から描かれる2つの物語を紹介する。

“変わった友達”ではなく、“変わらざるを得なかった友達”かもしれない

高校時代の友達がメイクもばっちりで、すっかり垢抜けていた 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)
高校時代の友達がメイクもばっちりで、すっかり垢抜けていた 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)
変わっていない京子をどこか見下すように「変わってなくて安心するわぁ」というみゆ 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)
変わっていない京子をどこか見下すように「変わってなくて安心するわぁ」というみゆ 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)
おならをしてしまったという自虐ネタで、みゆを笑わせようと思ったのにつれないみゆ 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)
おならをしてしまったという自虐ネタで、みゆを笑わせようと思ったのにつれないみゆ 画像提供:イララモモイ(@iroiro_kangae)

本作の主人公は、高校時代からの友人であるみゆと京子。高校時代と変わらないままでいた京子から見た「変わってしまったみゆ」と、大学デビューを果たしたみゆから見た「変わらない京子」という、対になる2つの視点で描かれている。

だからこそ、この作品は単なる“友情の亀裂”では終わらない。どちらか一方が悪いわけではなく、それぞれがそれぞれの場所で、自分なりに必死だったことが見えてくるからだ。「どちらの心情も痛いほどわかる」と反響を呼んだのも、そのリアルさゆえだろう。

“あの頃のまま”でいたかった京子の寂しさ

京子にとって、みゆは高校時代の延長線上にいる存在だった。久しぶりに会えば、またバカみたいな話で笑って、くだらないノリではしゃげると思っていた。ところが、再会したみゆは髪を明るくし、メイクもばっちり決めた“大人っぽい女の子”になっていた。京子は昔のように笑いを取りにいこうとするが、みゆの反応はどこかよそよそしい。「恥ずかしー」と返されるたびに、あの頃と今の距離がじわじわと浮かび上がっていく。

好きではなさそうなお酒を無理に飲んだり、カラオケで恋の歌を歌って涙したりするみゆを見て、京子は“無理して変わってしまった友達”を寂しく思う。けれどその寂しさは、裏を返せば「自分だけは変わらない場所にいたかった」という切実な本音でもある。

“大学デビュー”は逃避ではなく、生き直しだった

一方のみゆは、京子に対してまったく違う感情を抱いていた。京子は昔から、すっぴんでもかわいくて、自然体でいられる存在だった。みゆにとってそれは、ずっとまぶしく、少し苦しいものでもあったのだろう。だからこそ彼女は、京子とは違う大学へ進み、メイクを覚え、遊び方を覚え、自分を変えようとした。京子から見れば“変わってしまった”ように見えるその姿は、みゆにとってはようやく手に入れた自信そのものだった。

久しぶりに会った京子は相変わらずかわいく、何も変わっていないように見える。だからこそ、みゆの中には懐かしさと同時に、戻りたくない気持ちもあった。「あの頃を懐かしく思うことはあっても、戻りたいとは絶対に思わない」。その感情には、過去の自分を置いていくことでしか前に進めなかった切実さがにじんでいる。

“どちらに寄り添うか”で、自分の痛みも見えてくる

この作品には、「みゆ側の話を見ると、京子に会う時だけ性格が悪くなってる」「みゆは、息苦しかったんだ」といった読者の声が寄せられている。どちらの視点から読むかで、見え方も痛みも変わるのがこの作品の巧みなところだ。相手が変わったのか、自分が取り残されたのか。それとも、ただ進む方向が違っただけなのか。女友達との関係は、ときに恋愛よりも静かで、ときに恋愛よりも残酷である。だからこそ、この2人の物語は“あるある”で済ませられないほど刺さる。

人の内面をえぐるイララモモイ作品の魅力

イララモモイさんはこれまでも、容姿コンプレックスや女同士の感情の揺れを繊細に描いてきた。ウォーカープラスでも以前、「美人はいいね」を紹介し、大きな反響を呼んだ。サイコミでも「付き合えなくていいのに」を連載。人の内面にある見せたくない感情や、言葉にしづらい劣等感をすくい上げる作風は健在だ。本作もまた、“大学デビュー”というわかりやすい題材を入り口にしながら、本当に描いているのは「人はなぜ変わりたいのか」「変わらないことは本当に悪いのか」という、もっと根深い問いなのかもしれない。

取材協力:イララモモイ(@iroiro_kangae)

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